遺跡9
あれは大体八割ぐらい攻略したかというときのことだ。
「ガッポガッポですなー」
コメント︰ガッポガッポでんがなー
コメント︰儲かりまっかー
コメント︰なんだこの雰囲気
コメント︰ついていけない
「いやあ、苦労もあったが遺跡はそれに見合う分の宝をくれたな」
そう言うとおれは戦利品を眺める。
遺跡の最初に比べると攻略がスムーズになり、何回か遺跡の道が変わったりしたときもキレながら攻略できた。
そのおかげかいろんなものを戦利品として持っている。
そうすえ戦利品を眺めて歩いていると…
「いてっ!」
コケた。
よそ見して歩いていたから普通にコケたのである。
そうしてコケたのをなかったようにスッと立ってみる。
コメント的には普通に駄目だったっぽい。
コメント︰大丈夫!?
コメント︰うわー痛そう
コメント︰よそ見してるからー
コメント︰え!?
「ん?」
コメントでちらほら驚いたような声がある。
何かを見つけたのかと辺りを見渡す。
「は!?」
すると見つけた。
暗い遺跡とは比べものにならないぐらい光り輝く部屋が俺の転んだ先にあった。
先程までこれほど目立つ部屋なんてなかったと思う。
何かスイッチみたいなのがあったかと言われるとなかったし、俺は転んだだけだ。
だが、こんな光り輝く部屋を見つけたなら入るべきだな。
そう思うとすぐに部屋に入る。
するとすぐに部屋の入り口が閉まった。
「罠か!」
コメント︰知ってた
コメント︰知ってた
コメント︰この遺跡そこのところ容赦ないよね
コメント︰絶対に罠があるくせして罠確認できないっていう
「次はなんだ!」
この遺跡は明らかに何かがあると絶対に罠がある。
宝箱がある部屋や今の光り輝く部屋など罠がないことが今のところ一度もない。
けれど《罠感知》は発動しないっていういやらしさ。
でもそうした罠は必ず攻略できるようになっており、攻略すると普通の宝よりも良いものが手に入る。
この光り輝く部屋もそうだろう。
「何が来る…!」
そう身構えているとすぐに異変が起きた。
部屋の奥から剣が飛んできた。
それを弾く。
すると剣はまた切っ先を俺に向けて飛んでくる。
それをまた弾いて再び飛んでくるのを弾く。
そうやっていると二本目が飛んできた。
その剣もこちらに切っ先を向けて飛んでくるため避けるのが厳しくなる。
それを避けて奥に行こうとすると剣は連携して攻撃してきた。
まず俺に向かって飛んできた剣を避けるとすぐに二本目が避けた地点にむかって飛んでくる。
それでも二本目だと避け続けて奥に向かうことはできる。
そうしてさらに奥に進むと一気に三本の剣が飛んできた。
これで合計五本。
流石に避ける事も弾くことも出来ずに攻撃を受けると俺は最初の剣が飛んできた位置に戻っていた。
「なるほど」
また剣が飛んで来る前に異常がないか確認するとHPが一割減っていた。
HPを回復することはできない。
…どうやら挑戦回数は十回のみらしい。
そうして状況を確認しているとまた剣が飛んできた。
それを弾き、剣が少し動きを止めている間にその剣を掴む。
「っ!」
すると弾くために動いた体が戻っており、ステータスはさらに一割減っていた。
触るだけでも駄目らしい。
次はスキルを使って奥に行く。
…スキルが使えない。
今のステータスでしかここの攻略はできないっぽいな。
それを確認するとそのまま走っていく。
剣は今のところ、奥からしか来ていない。
なら奥に注意を向けつつ、弾いた剣の場所を意識しておくだけでいい。
全方位警戒しないだけでだいぶ楽だ。
そうして弾きつつ近づいていく。
五本目になった途端に動きを止めて剣を弾くことを優先する。
そうして弾いているうちに弾く力を変えることでタイミングが調整できるようになった。
それをうまく使いつつ、ゆっくりと前進する。
剣三本を前に弾き、二本が同時に飛んできたのをぶつける。
すると少しタイミングがズレて前に進める様になる。
そうやっているといつの間にか奥まで到達していた。
なかなか楽しいミニゲームで面白かった。
そう思っていると五本の剣が奥の像に向かっていく。
奥にあった像の近くで五本の剣が地面に刺さっていくと像が光りだした。
そうして像は女神像になり、ネックレスがついていた。
そのネックレスが報酬だと思い回収すると鑑定して驚いた。
これで呪短剣を扱えるようになる。
…そうやって呪短剣を扱うためのネックレスが獲得できた。




