遺跡8
走ってる間に武器を二刀流に戻す。
本来は特大剣で攻撃を防ぎながら動きを覚えるつもりだった。
だが紫の雷を纏ってる大剣の重騎士の攻撃が特大剣で受け止められるとは思えない。
だったら危険性は高くなるが二刀流で避ける方向にしたほうがマシだ。
大剣の重騎士の相手なら荒垣流の歩法も役に立つだろう。
「《先歩》」
『オオオオッッッ!!!』
「《仙歩》…っ!《ステップ》」
《先歩》で近づくとすぐに大剣の重騎士に攻撃される。
それを《仙歩》で避けようとする。
大剣の重騎士の大剣は地面を叩く。
すると紫の雷が地面を広がり、大剣を避けた俺にも紫の雷が来た。
すぐに《ステップ》で距離を離したがダメージを受けてしまった。
どうやら紫の雷は大剣へのエンチャントだけでなく範囲攻撃も兼ねているらしい。
特大剣で受けるのはきついと思っていたが避けて攻撃も大変そうだ。
またすぐに近づく。
「《封印術・動弐》」
『オオオオッッッ!!!』
「これじゃないか!《間点》!」
近づきながら封印術を試みた。
《封印術・動弐》は成功したが動きは何も変わらなかった。
どうにかしてあの紫の雷を止めないとダメージを与えることは難しい。
封印術ならもしかしたらいけるかもしれない。
次は離れて封印術を続ける。
「《封印術・魔弐》《封印術・常》《封印術・支》《封印術・意》《封印術・行》」
《封印術・魔弐》は成功、《封印術・常》は失敗、《封印術・支》も失敗、《封印術・意》も失敗《封印術・行》も失敗。
封印術は後半のスキルほど成功率は低くなるがボスだけあってさらに効きづらい。
そうして封印術を試すと離れていたからか大剣の重騎士が違う行動をし始めた。
大剣の重騎士は地面に大剣を突き刺すと力を込める。
紫の雷は地面を通りながら部屋全体を明るく照らす。
俺は直感に従い、すぐに対処する。
「《浮遊》!」
『オオオオオオオオッッッッッッ!!!!!!』
地面を通っていた紫の雷が大きく波打つ。
すると《浮遊》をできなかった分身が弾け飛んだ。
地面にいる敵を攻撃する技のようで《浮遊》したから大丈夫だったが危険な攻撃だ。
そうしている間にも封印術のクールタイムは過ぎたから《浮遊》を続けながら封印術をもう一度する。
「《封印術・常》《封印術・支》」
よく考えてみれば《封印術・意》《封印術・行》は効いたとき、とてつもないチャンスになるからあまり使うようなものでもない。
だから目的を達成するために残った二つの封印術を使う。
結果は《封印術・常》、《封印術・支》両方とも成功。
しかし、紫の雷は消えない。
どうやら今の封印術では紫の雷が消せないらしい。
そうして空中で封印術を使っていると大剣の重騎士がまた違う行動に出た。
『オオオオッッッ!!!』
「!?《浮遊》解除!」
大剣の重騎士は大剣を大きく振りかぶって投げてきた。
俺は驚きすぐに《浮遊》を解除する。
《浮遊》は浮遊するためのものだから空中行動はできない。
あのままだと大剣が直撃していた。
そうしてギリギリ投げられた大剣を避けると大剣の重騎士がまた何かをしてきた。
『オオオオオオオオッッッッッッ!!!』
「うわ!?《ステップ》!《聖迅》!《ロングステップ》!」
大剣の重騎士は大剣をまた新たに手に持つとすぐに紫の雷を俺に向けて一直線に放った。
それを《ステップ》で避けるとそのまま紫の雷が俺に向かってくるのを色々なスキルを使って避ける。
避け続けていると紫の雷の放出は終わった。
…ここまで多彩な遠距離攻撃を持ってるなら遠距離での攻撃は悪手だな。
そう俺は思うとすぐに大剣の重騎士に近づいていく。
もう持ってる手段の中で紫の雷の対処ができないとなると最後の手段しかない。
そうして俺は二刀流の片方の封魔の剣をしまって新たな剣を出した。
それは紫の雷を封印術以外で対処できる唯一の可能性。
そうそれは《呪短剣》スキルデリートだ。
《呪短剣》を装備するには呪耐性がいる。
俺は呪耐性を持ってないし、転職で呪い人になったわけでもない。
けれど《呪短剣》を持てている理由はこれだ。
――――――――――――――――――――――
聖女神のネックレス
品質︰A レアリティ︰伝説
とある女神の作った生命ある者を悪意から護るネックレス。
装備者が善なる者であり女神の寵愛を受けているとき世界の悪への特効付与
装備者が悪意ある者から被害を受けてそれでも善なる者である場合、邪なるものへの耐性付与
装備時︰INT 2000 MID 30000
装備条件︰呪い称号 呪物所持 悪魔に出会う 善なる心を持つ 女神の試練の突破 解放者 etc. のうち複数条件達成
呪耐性 闇耐性 暗黒耐性 混沌耐性
――――――――――――――――――――――
これのおかげ呪い耐性もついて《呪短剣》を持てるようになったし、《妖刀の呪い》も弱体化した。
これはだいぶいいものだ。
どうやってこれを見つけたのか?
それを教えるには少し時間を巻き戻す必要がある。
そう、これを手に入れたのは遺跡を探索しているときだった…。




