クエスト7
戦いの誘いに乗り、ついていって庭に着いた俺とフウマさんは、互いに向かい合い構えていた。
フウマさんは二刀流使いらしい。
「封魔の剣というのを持っていたのにフウマさんは刀を使うんですね」
「ええ、作り上げたのは封印の為なので、剣の方が封印しやすかったんですよ。使い手がいなかったので渡りに船でした。あと、この辺りにない刀を知っているんですね」
「ええ、もとは刀を使ってました」
「なるほど、趣味がいい。この辺りだとあまり、流行らなくて」
「ぜひ、売ってもらいたいです!」
「報酬に追加しましょう」
「ありがとうございます!」
「…では、いきます」
「はい!」
すると、フウマさんは斬りかかってきた。
コメント︰話の流れがわからない…
コメント︰シリアスだと思ったら戦いになった…
コメント︰病み上がりで大丈夫なのか?
コメント︰戦いって理解したときのアラガキの顔よ。笑ってやがるぜ
――――――――――――――――――――――
《封魔の忍》フウマ LV???
種族︰人間 状態︰平常 属性︰???
HP︰??? MP︰???
――――――――――――――――――――――
何も参考にならないなぁ…。
ふぅ、やるか!
「ふっ」
「“流閃”」
「ぐっ…!《風斬り》!」
攻撃してきたフウマさんの初動を“流閃”で潰す。
すぐに体勢を立て直したフウマさんは素早く技を放ってくる。
「“仙歩”、“剛断”」
「至近距離なんですけどねぇ!《風乗り》!」
「まだいける!“瞬天撃”!」
「《風写し》!」
技を“仙歩”でギリギリで避ける。
そのまま、“剛断”を放ちダメージを与えに行くと空中に行かれ避けられた。
すぐに“瞬天撃”で仕留めに行くとフウマさんが弾けて地上に姿を現した。
「うーん。強いね」
「笑われながら言われましても」
「まだ行くよ」
「はい!」
仕切り直しとばかりに離れて喋っていたフウマさんが素早く駆け寄ってくる。
フウマさんは攻撃が重く、素早い、STRとAGIが高いと見た。
防御は低いだろう。
切り替えるか。
「“先歩”、“空連”」
「《風迅》!《旋風》!」
「“到拍”、“羅伸”」
「くっ!《風解》!《旋風》!」
「“仙歩”、“速突”!」
「なに!?ぐっ!!」
“先歩”という前に行く歩法でフウマさんのすぐ近くに行き“空連”という連続で攻撃する技を使う。
フウマさんは俺が近づいてきたのを確認するとすぐに離れるために技を使い逃げながら牽制してくる。
それに対して隙をついて近づく歩法である“到拍”を使いフウマさんの隙をつくと剣が伸びるように相手からは見える“羅伸”で突き刺そうする。
フウマさんはぎりぎりに避けて反撃してきた。
それに対して最小限で避けるとそのまま“速突”で素早く攻撃した。
これによってダメージを負わせることができた。
「私にダメージを与えるとは…」
「これで終わりですか?」
「いいえ。まだ終わりではありませんよ」
「わかりました」
「ではこちらから行きます。《風劫》!」
「…こうやるのか?《魔斬》!」
「ほう!すぐ使えるとはすごい!」
仕切り直しに軽くフウマさんと話す。
フウマさんは攻撃に当たるつもりはなかったようだ。
フウマさんというこの世界の実力者に少しは認められたようで嬉しい。
そのまま戦闘開始するとフウマさんが魔法を放ってきた。
それに対して《魔斬》を発動して斬りつけるとその魔法は消えた。
《魔斬》はこういう鑑定結果だった。
――――――――――――――――――――――
魔斬
魔を斬り滅する。
魔法の核を斬って魔法を消すことが出来る。
魔の者の核を斬って滅することが出来る。
――――――――――――――――――――――
核はなんとなく真ん中だろうと斬ってみたが当たってよかった。
これで避ける以外にもそのまま突っ込んで攻撃する選択肢が増える。
フウマさんにとっても予想外だったようだ。
フウマさんが更に攻撃を激しくする。
「ならもっと増やしましょう!《風斬》!《風月》!」
「“仙歩”、《魔斬》、“流穿”!」
「《風写し》!《風牢》!」
「《魔斬》!“先歩”、“流閃”!」
「《風絶》」
「くっ!《ヒール》」
風の斬撃と風の月が飛んでくる。
それに対して斬撃を避けると風の月を《魔斬》で斬ってそのまま攻撃に移る。
それを風の身代わりのようなもので躱されてそのまま風の弾が飛んできたが名前から嫌な予感がして《魔斬》で斬った。
すぐに間合いを詰めると攻撃するが風の壁で防御されダメージを受けてしまった。
すぐに回復して攻撃に備える。
「《風穿》!《風刃》!」
「“仙歩”、“到拍”」
「っ!《風纏》!」
「《魔斬》!“奪刃”」
「ぐぁっ!」
フウマさんが風の刃を周りに浮かせながら走ってくる。
それを避けてフウマさんの死角に移動する。
フウマさんが俺が死角に移動したことに気づき、風を纏って迎撃しようとする。
その風を《魔斬》で斬るとそのままフウマさんの武器を落とす。
反動でフウマさんがよろめいた。
「これで終わりですね」
「…参りました」
フウマさんは武器を落とされたことで降参した。
コメント︰なんだこれ…。なんだこれ…?
コメント︰高度すぎ
コメント︰フウマさんがクソ強いがそれ以上に被弾が少ないアラガキ化け物だろ
コメント︰初見相手によくやるわ
視界にコメントが入る。
フウマさんがいるため返答はできないが見た感じ問題はなさそうだ。
というか今まで流れでやってきたがこのクエスト中、コメントに対応ができなさすぎた。
いつも通りとはいえこういうのは反省しないとな。
それよりフウマさんだ。
攻撃が当たってしまったところを見るが致命傷ではなさそうだ。
病み上がりだったのを思い出して武器狙いに切り替えたが普通のNPCだと思って攻撃を加えてしまった。
この世界のNPCが死んだら終わりっぽい以上、格上とはいえ万が一があった。
これも種族スキルのせいか…?
なんか精神制御が難しくなるみたいなスキルがあった気がする。
戦闘狂の種族だから、戦いに遠慮はいらねえとか言ってそういうのをなくすスキルとか隠し要素とかあるかもしれん。
種族スキルとかを改めて確認するか。
そうして反省しているとフウマさんが話しかけてきた。
“仙歩”
ゲーム『剣聖100連勝負』において二番目の中ボスが使う技。
“仙歩”とは攻撃に対応して避けながら近づく技であり反撃の一歩となる技である。
技の性質上、避ける際に攻撃を間近で空振らせるため度胸が必要な技。
回避技であり第二のボスの“破断”を避けやすくなる。