試練12
この応龍との均衡状態を破るためには俺が危険を承知で動かなければならない。
俺が防御側として反撃しても応龍の対応を貫くことはできないし、応龍が攻撃側として今の俺は突破できない。
根本的に応龍も俺も受け側を得意とする戦い方もだ。
どちらも防御が得意である以上、応龍が攻撃側として戦いながら俺を応龍警戒して防御側にもなっている今の状況は均衡してしまった。
どちらも防御に力を入れているから相手の防御を突破できない。
応龍は流石というべきか防御を意識しつつも攻撃をしてきている。
対して俺は応龍の攻撃の隙を突く形でしか攻撃を繰り出せていない。
技量に差があっても均衡状態である以上zどちらかが動かざる得ない。
そして動いたやつが勝ちを手繰り寄せられる。
けれど動いて失敗すれば負ける。
ハイリスク・ハイリターンだ。
だからこそ技量の劣っている俺が動くべきだろう。
「《千威剛断》」
「《仙歩》」
応龍が攻撃してきたのを相殺もパリィもせずに歩法で避ける。
今まではそのまま攻撃に繋げていたが動きを変える。
「《注目》《蹴撃影》《間点》」
「《千威大鳴》」
《注目》で応龍が俺だけに視線を向けるようにする。
ソロの場合《注目》は使っても意味がないが《注目》をして応龍が視線固定を受けるまでに《蹴撃影》を使用する。
《蹴撃影》は蹴撃をする影を作り出す武技だ。
影である以上、俺とは全く違うが《注目》によって視線誘導された先に《蹴撃影》の影があれば視線が固定される。
《注目》と《蹴撃影》を組み合わせることで本物の俺から視線を一瞬だけでも外す事ができる。
そして応龍はそれに引っかかり影に攻撃した。
その間に俺は歩法で応龍の死角に移動した。
これで俺はチャンスを作り出した。
だがこのチャンスは一度きりだ。
この一度きりのチャンスで応龍を仕留める。
…なら全力を!
「《武覇解禁》《聖進化》《斬刀穿》《致命殺・覇天》!」
久しく使っていなかった《武覇解禁》を使って一瞬しか効果のないバフも使うことで攻撃力を最大限に上げる。
そして武技と荒垣流を組み合わせて応龍の死角から急所へと攻撃した。
応龍への攻撃は成功したように思えた。
「っ!《千威覇威》!」
しかし応龍は当たる寸前に刀で俺の攻撃を防御した。
そのままでは防御が成功してしまう。
俺の勝ちの目が無くなる。
俺は力を振り絞った。
「はぁぁぁっっっ!《剛力》…っ!」
俺は防御している応龍の刀を無理矢理に弾き飛ばすと応龍の首にむかって渾身の一撃を放った。
「《断頭・首狩》っ!」
「があっ…!見事…!」
そうして首へと向かった攻撃は成功し応龍を倒すことができた…。