試練10
後ろに下がった応龍が伏せていた顔を上げる。
すると喋りだした。
「我が身を傷つけるとは見事よ」
応龍が技のときにしか抜刀しない刀を抜刀する。
すると応龍は二刀流になった。
「参る!《千威雷双》!」
「っ《ステップ》!」
二刀流ですぐに攻撃してくる。
それを《ステップ》で避けながら考える。
…俺は前に応龍の片手を斬り落とした。
そしてそれの回復もされた。
だが今回は傷をつけたことを見事と言って二刀流をし始めた。
何が違う?
腕と胴体の違いか?
だが胴体には前の戦いでも傷をつけることはできていた。
ならどうして?
「《千威雷突》《千威雷咆》」
「《仙歩》《剛魔斬》!」
刀の突きを避けて刀からの雷咆を魔斬で斬りながらも思考を続ける。
そういえば応龍が攻撃を受けて後ろに下がったのも始めてみた。
胴体にしっかりと高火力の技を当てたうえで後退させるのが条件か?
…これ以上は今考えることではないな。
別のことを考える。
応龍の先程の攻撃は運良く避けれたが俺が対策していた一刀流のときの技ではない。
これでは対策が意味をなさないだろう。
あとはアドリブでやるしかないか。
だが受けてのほうが得意だ。
更に歩法潰しもやってこなかった。
これならまだチャンスはあるな。
そう考えている間も応龍は攻撃を続けている。
「《千威双斬》」
「《残滓投影》《衝撃流し》」
《残滓投影》をすることで自分の位置を誤認させることで応龍の攻撃をずらす。
そしてずらしても避けれない攻撃を刀で受けて《衝撃流し》で威力を分散する。
応龍の攻撃に対処したら俺から踏み込む。
「《到拍》《灯影下ろし》」
「っ!」
「…《朧断》」
《灯影下ろし》と使ってなかった気配遮断系のスキルを全開にすることで影のようになり応龍から一時的に身を隠す。
そしてそのまま歩法ですぐに近づくことで不意打ちをする。
そうして応龍が対応できないうちに《朧断》という殺気がでない荒垣流斬術を放った。
これで首とかの急所を斬れたら良かったんだがな。
流石は応龍。
当たる寸前で体を動かし致命傷を避けた。
だが《千威神成》もせずに受けたから良いダメージは与えたようだ。
やはり応龍はそこまで硬くない。
そこは据え置きで良かった。
だが今回でこの初見殺し不意打ちは使えなくなった。
次の攻撃を当てる手段を考えないとな。
まだ応龍との戦いは始まったばかりだ。