17 『さようなら』と『またね』
「そうだね、ナギサの言う通り風魔法の使い方は教わってるよ。だけど必要最低限、自分の身を守れる程度。お父さんも中々家にいられないから」
「あー……そうだったね。じゃあ今度時間がある時に教えるよ」
シルフもできることなら家族と一緒に暮らしたいよね。それについても早い内に改善してあげたいかなぁ。
「うん、ありがとう」
「……お二人さん。そろそろ良いか?」
「なにが?」
「いや、話し込んでいるところ悪いが、そろそろ帰らないと暗くなってくるぞ」
もうそんな時間? 早くない? ……と思ったけど、たしかにあたりを見渡すと薄暗くなり始めている。夏だから完全に暗くなるのはもう少し後だろうけど、このままランスロットくんに何も言われなかったら気付かなかった。
「王様、わたし達のこと忘れてたね!」
「まあまあ、リー。仕方ないのではありません? ナギサ様は配下である僕達のことですら、全力で守ろうと大切にしてくださっているのです。それが恋人、それも長らく想っていらっしゃった方との再会なら、周りが見えなくなるのも当然といえば当然でしょう」
……それは庇ってくれてるのかな? なぜか安堵しているようにも見えるけど、普通に嫌味も混ざっていると思う。良い笑顔だからねぇ。
「ごめんごめん。今日はこれで解散しよ。アリスは俺の宮に呼んで良いー?」
「駄目だ」
「えー」
ゆっくり話したいなって思ったのに。まあ急に連れて帰ったらエルサちゃんが心配するよねぇ。今日は諦めるしかないか。
「ナギサ、また月曜日に会おうね。これからも変わらず大好きだから安心してくださいな」
「俺もだよ。バカップルみたいな会話だけどね」
「それは私も思った!」
まあ俺とアリスの関係は前世と変わらず恋人同士で婚約者、ということで問題ないらしい。シルフとエルサちゃんにもまた話をしておかないといけないね。
「じゃあね」
また月曜日、と今日はここで解散した。今日は別々で帰るけど今度からはアリスも一緒に下校することになるかもしれないね。
それはそうと……前の人生、俺はいきなり息絶えたから彼女になにも伝えられなかったんだよ。死ぬ直前も夏休み中だったからしばらく会ってなくて。でも良く考えると『さようなら』は言えなくて良かったかもしれない。別れを告げる前に『またね』という、次に会う約束ができたのだから。
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