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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

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7 光の王子

 ◇


 突然だけど、俺は今窮地に立たされている。どういうことかと言うと、夏休み明け初日に決まった魔法を活用した劇、『光の王子と小さなガラスの靴』の主役である『光の王子』は俺がやれと言われてるんだよね。一番魔法を使うシーンが多いし人気の役だったんだけど、俺は他人事だと思って遠くから眺めてた。でもねぇ、決まらないならナギサ様にやってもらえば良いんじゃない? って誰かが言ってきたんだよ。


 それに皆が賛成して、でも俺は裏方をやるつもりだったから断って……何だけど押し切られそうになってるってわけ。

 どう考えても俺は光の王子なんて柄じゃない。絶対に嫌なんだけど! 俺がやることを提案した人、許さないからね?


「だーかーらー! 俺は裏方が良いの!」


 俺が精霊王だと分かっても態度を変えることなくグイグイ来るのは良いんだけどさぁ……(いささ)か遠慮無さ過ぎではありませんかね?


「王子様ならほら、セインくんとかピッタリでしょ! 俺には似合わないって」

「僕は監督なので無理ですね」

「じゃあランスロットくんは!?」

「俺こそ王子なんて似合わないだろう」


 ……たしかにそうだけど。でも俺より良いんじゃないの?


 そもそも王子様役なんて、前世でもほとんどやったことないし……

 どうせやるなら完璧に演じたい。『元』ではあるけど一応プロだからそこは譲りたくない。だからと言って仕事や特別な理由がある時以外で演技をするのは恥ずかしい。


「とにかく、嫌なものは嫌なの。それに無理強いをして適当に演じられたらどうするのー? 劇が台無しになっちゃうでしょ」

「ナギサ様はそんなことしないと思いますわ。人に迷惑をかけるような方ではないでしょう」

「だとしても似合わないって。何なら女の子が男装してやれば? 俺、メイクは得意だよ」


 悪役顔でも正統派王子様でも、荒っぽい感じでもいけるし基本的に何でもいけるよ。何か母さんに教え込まれたんだよね。自分でメイクをすることは演技以外では無いに等しいけどー。男装王子様でも人気出ると思うんだよねぇ。この国では合法だし。貴族社会なくせにその辺は適当なのか何なのか……


「ナギサ様……」

「……無理なものは無理。皆の前で演技とか恥ずかしい」


 仕事なら仕事だと割り切れるけど、それ以外だとほんとに恥ずかしいんだよ。憑依型と実力型、俺はそのどちらでもあるから周囲が見え辛くなる。


「ナギサって変なところで恥ずかしがるよな」

「放っといてよ」

「……では光の王子役についてはまた後日、改めて決めましょう。ナギサ様がやらないとしても立候補が多すぎますから」


 良かった。俺が光の王子様役を回避できたとは限らないけどまあ大丈夫でしょー。どうしても断れない理由があればやるだろうけど、そんな理由はないだろうからねぇ。たとえ精霊達に俺の演技を見たいとおねだりされても、悩んで悩んで悩み抜いて、結局や……らない、と思うし。

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