3 嫌いじゃないよ
「し、失礼致しました。尾行はついでで……学園の視察に来ていたのですよ」
「公務ならなおのこと、俺を尾行なんてしてる暇なんてないじゃん」
「うっ……ごもっともで……」
何してんのほんとにさぁ。最初の勢いはどこに行ったのかな? まあ想いが通じ合ったなら認めてもらえるってことが分かったから良いのかな。俺への嫉妬とやらは筋違いだしねー。
それとも今になって冷静になったのかな? ま、何にせよ俺にはもう関係ないね。
「じゃあ俺は授業があるから行くよ」
「はい」
「……俺は君のこと、嫌いじゃないよ。やり方は色々と物申したいけどさ、好きを貫くために行動している姿は良いと思う。だけどノームが嫌がることはしないでよ。それと他人に迷惑は掛けないでよねぇ」
校舎に向かう途中、一度振り向いて言うと驚いたように瞠目した。普段はこんなことするタイプじゃないんだろうね。それだけノームが好きってことなら俺が認めない理由はないでしょー。
ノームの気持ちは知らないけど、あの子はあの子で恋愛に興味あるようには見えないんだよね。シルフもだったけど、精霊の皆が恋愛してる素振りって全然見えない。隠すのが上手いのか、単に俺が鈍感なだけか……まあどちらでも大した差はないけれど。
「やはり放課後の中庭には誰もいませんね」
「大体の人は食堂に集まってるもんねぇ」
少し時間が経ち、まさかの王弟殿下にストーカーされた日の放課後。あの後は一限目の途中だったから授業中に入っていくのもどうかと思い、セインくん達に言ったように散歩で暇つぶしをした。
どうせ俺はセインくんに勉強を教えるためと、面白そうだからって理由で学園に入ったのだからまともに勉強する必要はない。
最近ではランスロットくんやエリオットくんにも教えてるけど、俺が勉強するのはその時くらいだねー。前世の知識もあるけど精霊王として長く生きている分、皆より知識量が多いから苦労もしない。だけど俺は凡才だからある程度真面目に勉強しなければどんどん学力が落ちていくと思う。それは怖いから適度に勉強しないとだよねぇ……
「今日は夏休み明け初日ですが早速次の試験の話がありましたね。でも今回の範囲はあまり自信がないんですよ……」
「俺は得意な範囲だな。今度こそ、今度こそはセインに勝つ!」
「二人とも頑張れー」
「頑張れじゃなくて、お前もちゃんと受けろよ」
「んー……無理!」
俺は試験を受けたところで何の利益もないからね。どうせ約半年後にはこの学園にいないし、この試験があったことすら忘れていると思う。それに俺は就職するわけでも家の跡取りとかでもないから試験を受ける必要がないんだよ。
……跡取りと言えば、次代の精霊王は俺の子にして王族を作れと言われたんだったね。王族がないのは精霊だけだもんねぇ。まだまだ先の話になるけどどうしたものかな。
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