71 失ったもの、そして得たもの
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夏休みも終盤になり、明日からは新学期となる。夏休み明けは様々な行事が詰まっていてかなり忙しくなるみたいなんだよねー。のんびり自由にやっていこうと思ってたけど、こういうのも悪くないかもしれない。精霊王と知っても態度を変えたりしない楽しい友人もいることだしね。
転生して一年。転生してきたその日にアルフォンスくんを助けてほしいとお願いされて、精霊殺しによる呪いかもしれないと考えて。その日から半年間、怪我でも病気でもなく元気なのに眠り続けて。起きたその日に家族のことを思い出して久しぶりに泣いちゃって。
精霊達と街に遊びに行ったり、わざと攫われたけど穢れに耐えられなくて結構苦しめちゃったり、アルフォンスくんが精霊殺しによる呪いで侵されていることが確定して復讐を決意したり。
それからも色々あり、学園の夏休み初日に立食パーティーを開いてもらった。その日の夕方には精霊が呪いになるまで苦しめて殺した奴に復習しようとして……
でも世界が介入してきたから殺すことは出来なかった。途中で止められたことは今でも怒ってるし許すつもりはない。元々好きじゃなかったけど、あの件でさらに世界のことが嫌いになったよー。
……で、夏休み中にはセインくん達と遊んだりシュリー家に行ったりして。後半にはシーラン男爵家に戸籍を作ってもらい、ナイジェル・シーランが誕生した。
そしてその身分で初めて参加した夜会が建国祭。その時も一騒ぎあったし……
うん、思い返してみるとこの一年、俺は結構忙しくしてたんじゃないかな? 前世と比べたら比べ物にならないくらい緩いスケジュールではあるけど、これはのんびりとは掛け離れてるでしょ。
でもまあ、充実した一年ではあったかな? 許し難いことも度々あったけど、前世とは違うたくさんの仲間がいて楽しかったしね。新学期こそは平和な日々を過ごしたいけどさ……
俺は本来平和主義なんだよ? 犯人達を殺したいとか何とか言ってたし思ってたけど、決して争いごとが好きなわけではないからね。
夏休み最終日、王都では夏祭りが開催されていた。この水の宮からも、夜空に咲く色とりどりの大輪の花が海面に反射し、より一層美しく輝いているのが見える。
はしゃぐ精霊達を少し離れた所から眺めるナギサ。その表情は夜空に咲き誇る花火のように美しく、普段の計算され尽くしたものとは違う魅力を持った、とても華やかで幸せそうな満面の笑みだった。
【第一章・完】
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