84 繋がる糸
「んー……この辺にあった気がするんだけど、どこやったっけ俺?」
「どうしてここだけこんなに本が積み重なってるの……?」
「一度に調べたいことが多すぎて、たくさん並べて一気に確認してたから」
どの宮にある書庫も宮の大半を占める広さだけど、禁書室もそれなりに広さがある。当然のことながら一般開放してある書庫の蔵書に比べたら数は少ないんだけど、それでも禁書も数千冊はあるんだよね。この中から必要なものを探し出すのは割と面倒な作業になる。事前に用意しておくべきだったね。
「────っ!」
「ナギサ様!」
「い……ったぁ……ちょっと俺、何やってんの。馬鹿でしょ。馬鹿だよね?」
「だ、大丈夫? 結構崩れ落ちてきたね……」
一瞬の隙を突いて本に攻撃……もとい、俺が積み上げていた本が降ってきた。傷が付かないよう咄嗟に本には魔法をかけたけど俺自身を守るには時間が足りず、久しぶりに怪我をしてしまった。しかも物凄くしょうもないことで。
「うわ……やだな。よりにもよって顔だし」
いまだに顔に傷を付けてしまうとショックが大きい。これはもう長年芸能活動をしてきた以上仕方ないことだとは思う。まあ一瞬で治るから怪我くらい大丈夫なんだけどねー。
「あ、見つけた」
ちょうど崩れ落ちた本の中に俺が探していたものがあった。不幸中の幸いってやつ?
「これさ、ちょっと読んでほしいんだよ。だけどヴェリトアの皇帝が読むならそれなりに覚悟がいると思う。無理はしなくて良いよ。どうする?」
「無論、読ませてもらうよ。少し時間をもらってもいい?」
「どうぞ。俺はこの後の準備をしてくるね」
少し緊張した面持ちで頷いたのを確認し、禁書室を出た。書庫の中とはいえ、これほど静まり返った空間にいるのも久しぶりかもしれない。結局俺が心置きなくゆっくりできたのは、転生してすぐの眠っていた半年だけ。仕方ないよ。
自分の守りたいものを失ってまで俺自身の自由を望むことはない。自由には責任が付き物だしね。王として、親として、仲間として、自分の守るべきものはしっかり守り通してみせる。
「ノーム、ウンディーネ、サラマンダー、シルフ。今夜二十一時、水の宮に集まること。大切な話がある。その他各属性の幹部や最終決戦に協力してくれる人にも集まるよう伝達をお願い」
『御意』
精霊と精霊王は繋がってる。だからどんなに距離が離れていても呼べば絶対に聞こえるし、こちらに来なくても会話はできる。いつもはすぐに姿を見せてくれるけど今日は宮に立ち入らないよう言ってあるから返事だけだったんだろうね。しっかりルーの伝達が行き渡っているようで安心した。
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