81 敬うことに
『怒っているのに敬語に戻ったのか? 我に対する口調は悪化するとばかり思っていたが』
「私が敬語をやめた理由、元々は精霊殺しの呪いの件で復讐を止めてくるなどで怒りが溜まっていたからです。それに関して実際に手を出したのは彼らでも操られていたことは分かりましたし、止めた理由もあるのでしょう。その黒幕が私を狙っている理由も最近分かりました。敬語をやめるきっかけとなったのは精霊への愛をあなた様と同じにされたからですが、それはもういいです。今一番許せないことは……私にあのようなことをさせたことです。私は抵抗しました。絶対に嫌だと、それだけは絶対にしたくないと。それを世界の権限で強制したことに怒っています。それに関しても命じられたとはいえ、手を下したのは他の誰でもなく私自身ですから、今は一旦敬うことにしました」
『ナギサが本当に嫌ならもっと抵抗できたのでは?』
「分かっていて言うの、やめていただけます? 私は単純に戦うだけなら余裕であなた様に勝てます。ですが世界には強制力というものがあるでしょう。使用制限があるくせに、それを私に使ったのは誰です? あれに関しては私でも抗うことができないと知っているでしょうに」
世界はあるルールに則って動くことがあるらしい。大抵は自分の意思で世界を操ることができるけど、俺のような世界にすら勝る異端児も存在するし、世界が自分の持つ力ではどうにも出来ないことがあったりする。
そんな時、強制力というものを世界は使用できる。使用制限があるけどそれには何があろうと絶対に抗えない。まさに絶対命令。
『その様子だと自分で封じた記憶も蘇ったのか?』
「そうですね。色々とショックが重なり過ぎて傷心中です。なのでさっさと本題に入りますよ。あなた様は今後、私に何かを強制する予定はあります? 具体的には、最終決戦の際に」
『ないよ。あの時のことは悪かったと思っている。それでもこの世界に存在していては秩序が乱れると判断してナギサに命じた。今後ナギサの行動を止めることはないと断言していいだろう』
「そうですか。自分の言葉には責任を持ってくださいね。俺が確認したかったのはそれだけですから、それが分かれば十分です。さようなら」
『冷たいな……愛しの彼女によろしく伝えておいて』
「はいはい」
念のために契約でもするかと聞いてきたくらいだから大丈夫だと思う。俺と契約してそれを破った場合、恐らく世界は死に匹敵するレベルの罰を受けることになるから。俺の答えが分からない状態でそれを自ら提案してくるのだから大丈夫だと信じたい。
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