80 どちらかと言えば天才型
アリスが部屋から出て行ったのを確認し、代わりにルーを呼び出した。俺の姿を見たルーが一瞬目を見開き、予想通り呆れたように溜め息を吐かれた。
「おはようございます。不躾ですが、服を着てください。体調を崩しますよ」
「無理。これ、痛むからさ」
お腹の傷を指さして言う。アリスには魔法で何とかなるって言ったけど、古傷だからか効果が薄いんだよね。昨晩は冷え込んだから服で擦れて少し痛かった。魔法よりも服を脱ぐだけの方が楽になるって時もあるんだよ。基本的には魔法の方が効果は大きいんだけどね。
「それはお大事にしてください」
「うん、もう少ししたら着替えるよ。それで呼び出した理由だけど、地水火風すべての宮を今日一日空けておくよう伝えて回ってくれない? レンとの話はあまり精霊達に聞かれたくないんだよ。今日はルーも別行動でお願い。好きに過ごしていいからそれだけお願いできる?」
「承知致しました。お仕事がありましたら大精霊の皆様にお伝えしておきますよ」
「そうだね……もう少ししたら最終決戦に向けて詳しく話をしようと思ってるから、いつでも大丈夫なように予定だけ空けておくよう伝えておいて。レンにも話さないとだから、もしかしたら今日になるかもしれない」
「分かりました。彼との顔合わせはいつ頃で?」
「一時間後。まだちょっと早い時間だけど、やることが多いからね」
「ではそれまでに伝達しておきます」
「よろしく」
基本的には子供の姿で過ごしているルー。中位精霊ならそれが本当の姿だからおかしいことはないんだけど……有能すぎるんだよね。俺のことを良く褒めてくれるけど、俺なんかよりよっぽど完璧なんだよ、あの子。ルーは側近にするつもりで生んだわけではないし、魔法に関しても正直あそこまで強くなるとは思わなかった。強くなりすぎて大精霊には及ばなくても、ただの中位精霊にしておくにはバランスが取れないから俺の側近にしたんだよ。そう考えるとすごすぎるよね。精霊のバランスを取るために立ち位置を調整するって聞いたことないんだけど……
なんていうか、どこを取っても子供なのは見た目だけなんだよね。年齢はどの精霊も長生きだから関係ないようなものだけど、それでもやっぱり中身が大人すぎる。
「世界、もうそろそろ回復していますよね」
『……久しいね、ナギサ。そなたのおかげでいまだに本調子ではないよ』
「遅すぎません? もっと早く回復すると思っておりましたけれど」
『ナギサの魔法は精度が高すぎる。その分効果も長引くんだよ』
「それはまあ、私の記憶を弄ったのですから自業自得ということで。子供のかわいい仕返しだとでも思えば精神的ダメージも少ないでしょう」
本調子ではなくとも順調に回復しているのは俺の目から見ても分かる。前に会った時からちょうど一ヵ月くらいかな? そんなに久しぶりってほどでもないね。
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