26 ティルアード王国直系王族
許せない。許さないよ、俺は。精霊を殺したというだけでなく、この呪いの元となったのは下位精霊で他の子たちと比べるとかなり弱い方だったみたい。それにもかかわらず強さは───《《大》》精霊殺しによる呪いに匹敵する。
残酷な殺され方だったようだねぇ、信じられないほどに。どれほど残酷に殺されたらここまで強力な呪いになるんだろうね。ほんと、怒りでどうにかなりそうだよ。
「ほ、本当ですか? やはり呪いで間違いなかったのでしょうか?」
「うん、それもかなり強力。君たちは余程恨みを買っているのか、あるいはそれだけの立場なのか……ねぇ、アルフォンスくんはもう無理だよ。このままでは衰弱死する。俺ならなんとかできるけどねー。ジェソンさん? 君はこの子をここまで追い詰めた奴に復讐したいとは思わない?」
「もちろん思います。簡単に出来るとは思いませんが」
覚悟を決めてる目だね。一瞬葛藤があったように見えたのは俺の気のせいではないと思うけど。
「それなら先に謝っておくよ。この件の犯人を俺は絶対に許さないから。君が報復する前に俺がこの世から消す。何があろうと絶対に……俺がこの手で、殺すよ」
「そういうことでしたら構いません」
……構わないの? 最終的に復讐できれば何でも良いってこと? 俺なら何が何でも自分の手で復讐しないと気が済まないと思うんだけどねぇ。まあ彼が構わないと言うのなら俺としては助かるけど。
「ありがとう。それと一つ聞いておくよ。君はティルアード王国の国王陛下? ジェソン・ティルアード、アンネ・ティルアード、アルフォンス・ティルアード。ティルアード王国王族、現直系は王弟殿下を除いてこの三人だけだったよね?」
「なっ、なぜそれを!?」
「やっぱり正解か。見るからに高貴そうだし、呪いまでかけられるほど恨まれるようには見えないからさ。そして何より……精霊の、精霊王の情報力を馬鹿にしたら駄目だよ?」
それにさっき、余程恨みを買っているのか、あるいはそれだけの立場なのかって言った時に後半の言葉には僅かにでも反応したように見えたからねぇ。軽くしか調べていなくても、ある程度確信に近づいていれば少しの動揺から気付けるものだよー? 王族なら注意しないといけないねぇ。
「……お見逸れしました。まさか気付かれてしまうとは。隠していたつもりだったのですが」
「偶然だよー。それで、君たちの正体を知った上で問うけどしばらくアルフォンスくんを俺に預ける気はない?俺の宮なら安全だし治療もできる。呪い、完璧に浄化するのは簡単じゃないよ。定期的に浄化する必要がある。犯人に報復してアルフォンスくんが完治するまで。どう?」
「こちらからお願いしたいくらいです。ご迷惑でなければ少しの間お預けしてもよろしいでしょうか?」
「りょーかい。今日みたいに海まで来てくれたら宮に入れてあげるから声をかけてね」
「ありがとうございます」
ご覧頂きありがとうございます。よろしければブックマークや広告下の☆☆☆☆☆で評価して頂けると嬉しいです。




