70 ただでは参加しない
「そして最後、精霊殺しによる呪いの件。あれは今でも許してないよ。ティルアード王国王弟アベル、エルフ王妹カナン、魔王の右腕クシェイド……あんな奴らのことなんて覚えていたくないけどさ、忘れるのはもっと嫌だからね。あのクズが……」
「ナギサ様」
「……許さないよ。どうせ死ぬのなら俺が自分で手を下したかった。でもね、先に話した事件や俺が関わっていない事件、大きなことから小さなことまで、この一年で起きた事件のほとんどは全部同じ人物が裏で糸を引いていたことが最近分かった」
ここにいる人達でこの話を知っているのはルーを除けばレンとジェソンさんだけ。知らなかった人はこの時点で何が何だか、理解が追い付かないんじゃないかな。
「ちなみに不発だった精霊狩り、あれはわざと不発になるよう仕組まれたものだったからね。すべての黒幕は……俺と深く関わりがあり、俺にも非があるんだよ。だからね、許すつもりはないけど責めるつもりもないよ。俺から心に留めておいてほしいことを二つ伝えさせて。一つはこれらに関わったティルアード王国、エルフ族、魔族と精霊族の友好関係には亀裂が入っていないから余計な茶々は入れないでほしいということ」
余計な勘違いをしてこの国に手を出されると俺にも不都合が生じる。それは困るからやめてほしい。
「もう一つだけど、そもそも俺はこの場にいる君達にこんな話をする必要なんて皆無なんだよ。『どうせ守秘義務があるのだから包み隠さず話せ』。そう言われたところで俺が従う義理はない。つまり何が言いたいのかと言うと……この話を聞いたのなら、俺がこの件を解決する時はあちこちに被害が出るかもしれないけど多少は許してねってこと。とはいえ、心配しなくても被害は最小限に抑えるし、基本的には迷惑もかからないと思うよ」
嫌々この会合に参加したんだからさ、これくらいは許してほしいよ。少しは最終決戦に役立つ材料を持ち帰りたい。俺の話を無視することなんてできないのだから、この場にいる全員望んでいなくても俺の話を聞くことになってしまった。だから彼らは強制的に俺の言葉通りにしなければならなくなっちゃったけど、悪いようにはしないから……ね?
「今回だけでいいから、俺のわがままを聞いてもらえない?」
「強引ですがさすがですね。私は事前に協力すると伝えておりましたので、今もその言葉に変わりはありません」
「恩に着るよ」
渋々と言う感じの人もいたけど俺に逆らう気にはなれないのか、何とか了承してくれた。でもこの場にいる全員に伝えたのは保険で、もし何かあった時に文句をつけられることのないようにするため。主に関わってくるのはティルアード王国とヴェリトア帝国、そしてエルフ族と魔族くらい。でも、万が一のための保険と言うのは大事だからねー。
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