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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第3章 動き出す思惑

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68 エルフ族長の判断

「あなた様の国の……何代前か忘れてしまいましたが、先の国王陛下は我がエルフ族との信頼関係を結ぶのに大層苦労しておられたと聞きました。それでもそのお言葉に間違いはないのですね?」

「ええ」

「そうですか、よく分かりましたわ。はっきりお答えいただきましたもの、前言撤回は許しませんのでそのおつもりで」

「言われるまでもなく」

「ところで皆様、我々の友好関係が破綻したことは今見聞きされていた通りお分かりでしょうけれど、今後もそちらの国と親しくするつもりの方はどれほどおられます?」


 そうなんだよね。アシュリー族長の顔を見れば一瞬で分かるんだけどさ、完全に激怒してるんだよ。そりゃあ自分達のことをあんな風に一方的に貶されたらこうなるのも理解できるよ。笑顔だけど目が少しも笑っていない。

 ここで彼らはどう出るかな? 俺の予想としては、エルフ族を敵に回したくないから彼の国とは関係を断ち切る人がほとんどだと思う。


「失礼ですが、エルフの族長。本当に友好関係は断つのですね?」

「ええ。このようなことになった経緯を話せば、きっと我が族の者も反対しないと思いますし」

「そうですね。では、ヴェリトア帝国は今後そちらの国と取引をすることはないと宣言致します。友好関係は元より結んでいませんので、ほとんど関わる機会は無くなることでしょう」

「ティルアード王国も同じく」


 あーあ……やっちゃったね。本当に馬鹿でしょ。考えなしでしょ。エルフに恨みでもあるわけ? レンの言葉を聞いて迷いがなくなったのか、国の重鎮とか国民と話し合うまでもなく、他の国からもどんどん関係が断ち切られていってる。

 王の判断で相談もなくこの判断をするくらいには、敵に回したら駄目な相手なのにねぇ……誰がこうすることに決めたんだろ? まさか独断ではないよね? もはや彼の国に他国の手の者が忍び込んでいて、国を亡ぼすためにこのような判断をするよう誘導したと言われた方が納得できる。まさかこんな大事になるとは思わなかったのか、どんどん血の気が引いていってるね。エルフ族長は満足そうな笑みだけど。


 どうせなら俺がとどめを刺しちゃおうか。ルーに視線を送ると、俺が言いたいことを察したらしくすぐに頷いてくれた。確認したのは念のためだからね、精霊に関することの全権は俺が持っているのだから反対するはずがない。


「我ながら性格悪いけど、今回は参加してて良かった。面白いものが見れたね」

「その発言は本当にクズですよ」

「ふふ、知ってる」


 一国を守っていくために、この先も存続させていくために、必要な存在を見誤るような人物は駄目だよ。国を運用していくことなんてできない。国に帰って国民にこの話をした時、彼はどんな目に遭うんだろうね。少なくとも一年後に顔を見ることはなさそう。


「期待させてるところ悪いけどね? 精霊族も君の国との絶縁を宣言させてもらうよ。さらに言うなら我が族は少なくとも俺の代が終わるまではこの宣言を撤回しない。つまり、向こう三千年くらいは関わることがなくなるね。精霊王が四代目に移ったとき、まだ君の国があるといいね」


 割とまともな国だったのに。経済力も軍事力も特に突出したものはなかったけど、良くも悪くも普通の国だったから悪い印象はあまり持たれていなかったはず。ご先祖にはローランド様が親しくしていた王もいたらしいからさ、俺も近付き過ぎず離れ過ぎない距離関係を保っていたんだけどねー。


 俺の言葉が見事に絶望に突き落としちゃったんだろうなぁ。あんなに自信あり気にアシュリー族長に対して前言撤回はしないと言ったくせに、今は焦りや動揺なんてものじゃなさそう。


「……ナギサ様、鬼畜だね」

「最初から優しくしてるつもりもないけどねー。ああでも、安心してよ。君達が俺の大事なものに手を出さない限り、レンの国とは仲良くするつもりだよ」

「それは嬉しいね」

「どっちもどっち……」


 たしかに。絶望に打ちひしがれている横でこんな和やかな会話をするのは悪趣味かもしれない。

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