46 精霊が祝福するのは
ウンディーネの言葉で一気に空気が凍った。だけどその空気を凍らせた張本人であるウンディーネはわざとらしく満面の笑みを浮かべている。絶対こうなることが分かってて言ったよね、この子……
「……ウンディーネ、言い過ぎです」
「否定はしないんだねぇ」
「そうは言ってません」
こんなに不機嫌なのも珍しいね。体調が回復したばかりのところをこうしてしつこく擦り寄られたからかな? 言われた側の貴族達も精霊に向かって不敬だとかそんなことを言う勇気はないらしく、羞恥や怒りに顔を赤くして震えている。
「じゃあ教えてあげるよ。わたし達精霊はねぇ、役に立つかどうかで人を選ばないの」
ちょっとウンディーネ、さらに煽んなくて良いから! 俺、ナイジェルとしては恐らくこの中で一番立場が低いからあまり発言できないんだよ。
「じゃ、じゃあ祝福される人とされない人ではなにが違うのですか……?」
「少なくともその程度のことも知らない人は祝福しないかなぁ。精霊のことを正しく理解している人、『役に立てる』だなんて身のほど知らずなことを言わない人、そして心の綺麗な人だねぇ。みんな基準は違うけど、これらは大体共通してるよぉ」
まあそうだね。他種族が精霊の役に立てることなんてほとんどない。精霊が一番得意としている情報戦。これで精霊を上回れる人なら役に立てるかもしれないけどねー。情報は時に他のなによりも強い武器になるから。
ウンディーネの言った基準に加えて、自分の恩人や大切な人などなど……個人差があるけど精霊によってはそのあたりも入ってくる。ちなみに俺が今祝福してるのは大精霊四人とルー、そしてアリスくらい。他にもいたかもしれないけど覚えてるのはそれくらいかなぁ。シルフからは一度祝福を取り下げたけど大精霊だからまた祝福し直したんだよね。大精霊じゃなくても精霊王が祝福するに足るものを持っているし。
でもこうして考えてみるとルーは特別扱いなことが多いかもしれない。俺の側近だからというのもある。でもその側近にした理由は、ルーが大精霊と並べて考えられるくらいの強さを持っているからなんだよね。想像したくもないけど、もしウンディーネが絶命したら次の大精霊は間違いなくルーになる。それほどまでに彼は強い。
「それと、なにか勘違いされておられるようなので言わせていただきますが、私は別に祝福されているわけではありませんよ。親しくしていただいているだけです。なので今回、ウンディーネにパートナーとして一緒に参加してもらえたのは偶然ですよ」
「ああ……そういうことか」
もちろん大嘘だけど。俺は精霊どころか大精霊全員から祝福を受けてるし、ウンディーネの気分で偶然パートナーになってもらえたわけでもない。
俺の言葉を聞いて数名から哀れみや嫉妬が混ざった複雑な視線をもらったけど、彼らはなにが言いたいんだろうねぇ……大精霊と親しい時点で嫉妬の視線をいただいてしまうのは分かるけど、前者は本当になに? 『祝福されるほどではないのか』とでも言いたいのかな……?
でもほとんどの人が興味をなくしたみたいだし、さっきより目立ってないならそれで良いか。
ご覧頂きありがとうございます。よろしければブックマークや広告下の☆☆☆☆☆で評価して頂けると嬉しいです。




