45 精霊を怒らせるとは
「んー……」
見当たらないね、それらしいものは。俺の勘が当たっていればセインくんは黒幕と繋がってる。何を思ってそんなことしてるのか分からないけど俺は黙っておくつもり。自分で言ってくるのか、それとも無言を貫くのか。自分の意思で繋がっているのか、そして最終的にはどちらの味方につくのか……
ただの勘にすぎないから全く関わりなんてないって可能性もあるんだけど。でもその可能性は薄いかなっていうのが俺の考え。だって俺が黒幕のお兄さんと会った時、あの人から感じたのと同じ気配をセインくんからも感じたし。恐らくそれが黒幕でしょ? だから俺はセインくんが敵側だと思って動くことにする。そうじゃなかったらラッキーで終われるだけだし。
「何か資料でもあってくれたら楽だったけど、そう上手くはいかないよねぇ」
夜会に来たついでだから本来の目的を達成できるだけで十分だけど。
セインくんの件、少しの計算違いくらい大したことはない。最終決戦はこの冬。それは絶対に変えるつもりはない。今度の会合で俺が協力要請している人が来る。彼の持っている情報によっては一気に事が進む。場合によっては俺の欠けた記憶が戻る可能性まである。
「……戻ろ」
◇
「ただいま戻りました。ミシェル様、クレア様はどちらに?」
「向こうで親しくしているご夫人方と談笑中ですよ。もうよろしいのですか?」
「ええ」
「ではウンディーネ様の救出と、一曲だけでも踊っては?」
俺、踊れないかも。前世ではうんざりするくらい社交の場に出ていたし、社交とは別で習ってたからダンスは得意だったけど、今はちょっと……
「そうですね」
どうしようかな、ウンディーネが踊りたいって言ったら頑張ろうか。醜態を晒すほど衰えてはいないはず。
ミシェルさんの視線の先にいる大勢に取り囲まれたウンディーネの救出へ向かう。擦り寄る声が聞こえてくるから、興味なさげに無視しているけどイライラしてるだろうねー。一部の人とはいえ、なぜあんなに遠慮がないのか。命知らずなの?
「ウンディーネ」
「ナイジェル様ぁ! 体調はもう大丈夫なのぉ?」
「問題ないですよ。彼らは……?」
パートナーとして一緒に参加していたはずの俺が今更迎えに来たから不審に思う人もいるかなって思ったけど、ウンディーネが助けてくれた。
こうして『ナイジェル・シーラン』としては格上の人達に囲まれていても、無表情キャラにしてるからすっごい楽。表情を作らなくて良いって、ほんっとうに楽なんだよねぇ。
「ナイジェル様より自分の方が役に立てるとか言って擦り寄ってくるバカ達だよぉ?」
「…………」
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