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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第3章 動き出す思惑

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39 狙い定め

 ◇


「……えっ」

「やっほー。久しぶりだねぇ」

「きょ、今日もお休みかと思っていたのですが……」

「寝坊しちゃってこんな時間になったんだよ」


 約一ヶ月ぶりに学園に来た。とはいってもちゃんと朝から登校したわけではなく、ちょうどお昼時……つまり今俺がいる場所は学園の教室ではなく食堂なんだけどね。

 寝坊したというのは嘘。オールして、起きてきたアリスと話した後に寝ていたから。本当はやらないといけないことがあったんだけどねー。


「一応生存報告のために来たんだよー。急遽用事が入っちゃったからランスロットくん達にも顔を見せたら帰るつもり」

「そうなのですね。ご無事で何よりです。ランスロットは席を外していますがすぐに戻ってくるはずですよ」

「そっか」

「アリス嬢はご友人と一緒に過ごされるそうです」

「そう」


 なんだろう、セインくんに限らず俺がアリスと別行動してたら何をしているのか教えてくれる人が多い気がする。俺の気のせいなのかな? 俺とアリスは常に一緒に行動しているものだと思われてそうなのは考えすぎ……?


「ちなみに用事というのは?」

「んー、俺が嫌いなこと」

「……多すぎて分かりませんね」


 そんなことよりランスロットくん……いた。エリオットくんも一緒だね。二人とも昼食を取りに行ってたのか。


「お、ナギサじゃないか」

「ちょっとエリオットくん、目が怖い! 自分の名前を良く思い出してよ」


 完全に狙いを定められていた。『エリオットくん』を強調して言うと残念そうにしつつも諦めてくれたけどね。思っていたより大人しくしてくれて助かった。


 それはともかく、三人とも無事で良かった。パッと見た感じ、俺とそれなりに関わったことがある人達も含めて黒幕に目を付けられた様子はない。


「みんな、ありがとね。これからは俺が守れるから好きなように過ごしていいよ」


 三人の護衛に付けていた精霊達に声をかけると、一つ頷いてどこかに飛んでいった。四六時中彼らの傍にいてもらったわけではないけど、長期間他の種族と行動するのは大変だったと思う。精霊も他の種族と絡むことが増えてきたとはいえまだまだ慣れてはいないだろうから。


 他の種族といっても学園祭がきっかけだから、おもに人族と関わることが多いかな。魔族やエルフ族に関しては人それぞれって感じ。俺は元々人間だから他種族を相手にすると疲れるとかそういうのはない。


「一応聞いておくけどさ、怪しい人物との接触はなかった?」

「俺はないな。母さんとアリスも」

「右に同じ」

「それは良かった。セインくんの方は?」

「僕も大丈夫でしたよ。何もありませんでした」

「そっか。俺はこの後すぐ抜けるけど、また明日からは一緒にいると思うからそのつもりでね」


 三人の返事を聞いて静かに微笑んだナギサに安心した彼らは普段の会話へ戻った。そんな彼らが気付くことはなかっただろう。親しげに話をしている三人の姿を見て、まるで獲物を狙い定めるように鋭く目を細めたナギサの姿に。

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