78 推しカプ
「明日は学園休みだけど……どうする? ここに泊まっていく?」
「そうしたいが、今日は父さんが帰ってきてるしな……どうする? アリス」
「うーん……」
明日、日曜日は学園が休みで明後日は振替休日。どうしよっかなー……魔法講義の件で精霊達には色々手伝ってもらったし、しばらく仕事は俺が代わりにしようか。
「じゃあ今日は泊っていきなよ。しばらくはシルフ達に休みをあげるから、今日じゃなくても会えるでしょ?」
「それならそうさせてもらおうかな。良いよね、お兄ちゃん」
「ああ」
「ルー、おいで」
今晩の予定も決まったことだし、早速精霊達に伝えてもらおうとルーを呼び出す。するとなぜか大人の姿で眼鏡をかけ、いつもと違う服を身に纏ったルーが疲れ切った顔で現れた。
「はい……」
「あれ、似合ってるけどその格好なに? 可愛いね?」
「色々ありまして、リーに着せ替え人形にされていました。何か御用ですか?」
「後でリーを褒めておこうかな。用事ってほどでもないんだけど、最近は精霊達に色々頑張ってもらっていたから、しばらくは俺が全員分の仕事をやるよ。だからみんなはゆっくり休んでねって、精霊達に伝えておいてくれない?」
シルフに頼もうと思っていた仕事については俺がしようかな。別にシルフじゃないとできない仕事ってわけではないからねー。
「分かりました。それとナギサ様とアリス様に一つ忠告というか……助言のようなものですが、ミサには気を付けた方が良いですよ。害意はありませんし、どちらかというと好意的ですけど、何というか……」
「ん?」
「えっと、何と言えば良いのでしょうか……ご家族ではないのですが、ナギサ様が前世で常に傍にいらっしゃった……」
「常に傍にいた人……? そんな人いたっけ」
「旭さんじゃない?」
「そうです! 恐らくその方かと」
旭? 彼がどうかしたのかな。旭って、俺の従者兼護衛だった人のことだよね。いつも一緒にいて家族のような存在だったから、今のルーのような言い方をされるとすぐには分からないんだけど、彼がどうしたんだろうね?
「彼、お仕事以外では『ナギサ様大好き』という感情がすごく強い方だったと思うのですが」
「ナギサの大ファンだったからな」
「ええ。ミサはまさにそんな感じで……ナギサ様とアリス様が親しくしておられるのを見るのが好きだと言っていました。その話を聞いた時の勢いがすごかったので伝えてみたんですけど、聞き流す程度で構わないと思います」
つまり……どういうこと? ルーの話を聞いた感じ、旭のようにただ俺のファンっていうのは少し違う気がするんだけど。
「あっ、なるほどね」
「アリスは何の話か分かったの? どういうこと?」
「つまり、その子は私とナギサが推しカプってことじゃない?」
「……余計に意味が分からないんですけどー?」
推しカプ……が何かは大体分かるけどさ。なんで俺たちにそれが当てはまるの? 推されるようなことをした覚えはないよ? 俺達をどんな目で見ていようと彼女の勝手だけど……なんで?
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