表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/281

74 言葉で言い表せないほどに

 ついに僕達二年一組の出し物、『光の王子と小さなガラスの靴』の演劇が始まりました。


 ナギサ様を主役にする計画を立てている時、『ナギサと一緒に演じるなら、舞台役者になれるくらいの演技力がないと物語が成り立ちませんよ。ナギサ一人で舞台に立っているように見えるでしょうから』、とアリス嬢に助言されました。彼女の言う通りでしたね。まさかこれほど演技がお上手だとは思ってもみませんでした。


 まず、物語が始まった瞬間に別人になったのかと錯覚するくらい雰囲気が変わりました。光の王子に相応しい輝きですが、所々滲み出る言動に腹黒さを感じます。本来光の王子に腹黒さなんてありませんでしたが、こちらの方が人間味が出て物語に合っている気がします。


 照明が付いた瞬間……いえ、舞台に立った瞬間に間違いなく会場中の視線をナギサ様が奪っていきました。先ほどの練習の時もすごいとは思いましたが、ちゃんとした舞台に立ったナギサ様は王子役ではなくても主役だったでしょうね。


 声の出し方がすごくお上手で、体の動かし方一つ、息継ぎのタイミング一つが言葉で言い表せないくらいに完璧。本当に。以前アリス嬢からお聞きした時は正直半信半疑でしたが、声も表情もまさに変幻自在。どの角度から見ても恐ろしいほどに完璧な演技。舞台役者や演技に詳しくない僕でもそう思うほど、とにかく完璧としか言いようがありません。

 ナギサ様は前世で舞台役者のお仕事でもしておられたのでしょうか。学生だったと聞きましたが……もしそうだったなら、大人と並んでも見劣りしないどころか、この場と同じように全ての人の視線を奪っていたでしょうね。


 同じような言葉しか出てきません。『すごい』、『完璧』。とにかくそればっかり。


『そうですか……あなたにならきっとできると思いますよ』

「───っ!」


 ゾッとしました。自分の夢を語るヒロインにたった一言、それだけでヒロインの心を愛で満たす。ナギサ様がおっしゃっていたようにアレンジされていてもほとんど台本通りで、今のセリフも台本通りのものなのに心に染み渡るような声と表情。


 一体どれだけ練習すれば、何を学べばここまで人の心を掴む演技ができるようになるのでしょうか……


「さくら………なぎ。さくらい、なぎさ……?」


 僕の隣で演劇を観ていた方の言葉が不意に耳に入って来ました。サクラ……なんと言ったのかは良く分かりませんでしたが、これでもかと言うほどに目を見開いて口を手で覆っていたのは───僕の友人の一人である、エリオットでした。

ご覧頂きありがとうございます。よろしければブックマークや広告下の☆☆☆☆☆で評価して頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ