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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

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63 イレーナ・リーメント

「イレーナ、今入っても大丈夫?」

「あらアリス。ナギサ様とデート中? 相変わらず仲良しなようで何よりだわ。今は空いているからどうぞ」

「もう……余計なこと言わなくて良いの!」

「はいはい。ナギサ様も楽しんでくださいね!」

「ありがとう」


 イレーナ……って、どこかで聞いたことのある名前だね。イレーナ……あ、イレーナ・リーメントか。前にセインくんから聞いた。ランスロットくんの従妹でセインくんの婚約者候補。


「イレーナは私の友達なの。うちのお店の常連さんだったから、この学園に入学する前からの知り合いでね」

「へぇ……イレーナちゃんってランスロットくんの従妹らしいね」

「あ……たしかに言われてみれば家名が同じだし、雰囲気も似ているかも。世間は狭いね」

「それはそうだけど、従妹だってこと知らなかったんだね? てっきり聞いているのかと」


 アリスは特に気にしたことなかったらしい。ずっと一緒にいても気付かないのはアリスらしいなと思う。観察眼とか見る目がないとかそういうことじゃなくて、単純に気が合う子なら家柄に興味がないんだと思う。そうじゃなかったら平民と公爵家、恐れ多すぎて友人なんて以ての外、話しかけることすら無理だろうし。


 なんて言えば良いのかな……ある意味度胸があるよね。だからまあ、公爵家ということは知っていたかもしれない。それでもあの仲の良さだから、家柄を特に気にしていないのは間違いないけど。


「わぁ……すごいね。凝ってる」

「でしょ! お化け屋敷と言っても雰囲気だけそれっぽくして、お化け役の人は仮装をしているだけなの。可愛かったりかっこよかったりで、全然怖い人はいないでしょう?」

「そうだねー。こういうお化け屋敷も面白いかも」


 怖がらせるよりも、仮装した自分達と雰囲気で楽しんでもらおうって感じかな。中々ないアイディアだし、これなら怖がりの人でも楽しめそうだね。実際、教室内では楽しそうに盛り上がっている声が聞こえてくる。たしかに学園祭だから楽しんでもらうことを重視した方が評価は高いかもしれない。


「どのクラスが賞を取ることになるだろうねぇ」

「個人やグループで何かしている人もいるけど……そっちは関係ないか。皆が一番気にしているのはクラス部門の最優秀賞だもんね」

「うん。名誉賞だから賞状くらいしかもらえないだろうけど、名誉がどうのこうのは置いといて、普通に頑張って準備した出し物を評価されると嬉しいからね。こればっかりは皆純粋に楽しもう、楽しませようと思っているみたい。今日のように平和な日は楽しい上に、穢れを全然感じないから精霊達も嬉しそう」


 俺も気分が良い。ハーフでも精霊の血が流れているアリスやエリオットくんだって、精霊と同じように穢れを感じることはあると思う。精霊の血を持つ人にしか分からない不快感は、少し減るだけで全然違うんだよ。

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