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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

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閑話 アリスの独白

 ナギサは私なんかでは全く想像できないレベルの心の傷をたくさん持っている。誘拐、異物や毒物の混入、命を狙われることが日常で。同じく名家に生まれたものの、跡取りではない私はナギサほど辛い環境で生きているわけではなかった。

 何も知らない人はみんな口を揃えてこう言う。『もし桜井家に生まれていたならお金にも職にも困らず、一生幸せに悠々自適に暮らせたんだろうな』と。自分達の生きている環境が、普通であることが一体どれだけ幸せなのかを考えもせずに。もちろんそんな家に生まれていないのだから、名家の闇を知らないのは当然だけれど。

 いくらお金があっても、職に困らなくても、権力があったとしても、常に自分の命を狙われるような世界ではどこにいても気が抜けない。


 偶然良い環境に生まれただけなのに恵まれていて良いよねと言われるけれど、その恵まれた環境に生まれた代償を少しでも考えたことがある? 絶対にないよね。あの世界で生き抜くには相当な努力がいる。跡取りならば尚更。それに日本は安全な国なんだから常に命を狙われる環境なんて、と思うかもしれないけど誰もが同じわけではない。


 同じ跡取りでも、私のお兄ちゃんはナギサのような危険に巻き込まれたことはほとんどない。『日本屈指の大財閥』という肩書があっても世界的に有名な、世界一と言っても過言ではないであろう家には、当然のことながら敵うはずがない。どんなにすごくても同じ国にそれを軽く上回る存在がいればどうしても霞む。だから私達は比較的安全区域にいたわけだけど、その代償はあまりにも大きすぎるもので。

 権力やお金があって、護衛を雇っていたとしても万能ではないからやっぱりナギサはどんどん傷付いていく。当の本人は全然平気そうにしているんだけどね。

 でも平気そうに見えるからといって本当に平気とは限らないんだよ。『桜井渚(さくらいなぎさ)』という人間は世界的に有名な大俳優。舞台役者。芸能界でも生きる人間。ポーカーフェイスは得意中の得意だと思う。自分が見せる感情をコントロールできる人間が平気だと言っても、こちらからすれば全然説得力がない。


 ナギサは私に対して好きって、愛してるって言う。もちろんそれは信じてる。だけどナギサの弱い部分だけは絶対に見せてくれない。ナギサが本当に辛いことは話してくれない。それはナギサのプライドであり意地なんだろうと思っているけど、弱音を吐ける相手がいないといつかナギサは今以上に壊れてしまうと思う。今世でも精霊王というすごい立場。すでに十分すぎるくらいに傷付いているのに、これからもっと苦しむことになるかもしれない。


 だからいつか、取り返しがつかなくなる前に私でも他の人でも良いから、ナギサが弱音を吐ける相手ができてほしいなと思ってる。すでに一人くらいはいるかもしれないけれど、欲を言えば私にも弱いところを見せてほしい。無理にとは言わないけど、いずれそうなるように仕向けてみようかな……

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