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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

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49 扇と精霊王の基準

「アリス、風属性の拘束魔法って使ったことある?」

「一応練習はしたけど、使う機会がないから上手く発動できないかも」

「感覚は分かる?」

「大体は。ごめんね、こんな中途半端で」

「大丈夫、気にしなくて良いよ」


 魔法を発動するには想像力が大事。その魔法を使うところを想像して魔力を巡らせる。対象を指差すか手をかざすか、そんな感じで魔法を掛ける対象が分かりやすいようにした方が発動も上手くいくね。俺のように慣れていればそれも不要なんだけど。


「ねぇ、ナギサって魔法を発動する時に扇を使っていることが多いよね。あれはどういう仕組みなの?」

「知りたいー?」


 別に秘密とは言わないけど、知って面白いものでもないと思うんだよね。まあ見てる側からすると興味深いのかもしれないけど。


「知りたい! もちろん言えないならそれで大丈夫だからね」

「知られて困ることではないよ。この扇は精霊王の(あかし)。精霊王に代々受け継がれている物なんだよ。精霊王は世界によって生み出されるんだけど、精霊王になるための基準があってね。最初はどの精霊王も同じ強さになるように作られて、そこからは自分の努力次第で強さが変わるらしい。でもその基準とされている魔力量に達していなかったらすぐに消滅させられる」

「……精霊も闇深い部分がありそうだね」


 そう、その通りだよね。強制的に作られて、世界の決めた基準に達していなければ消滅してしまう。それが夫婦の間に生まれた子なら当てはまらないとは思うけど、今のところ精霊に王族制度はないから正確には分からない。


「基準に達しているかはどうやって分かるの?」

「さあ? 生み出した張本人である世界には保有している魔力量が分かるらしいけど。だから自身の定めた魔力量に達していなかったらすぐに消滅させる」

「なるほど……生み出された直後なら、精霊王でも抵抗できないだろうね」

「うん。まあ俺は少し違ったんだけど」

「違った?」


 あはは……当時は俺自身もちょっと驚いたんだけど、今となっては笑い話かな。いや、あの時の俺からしたら冗談じゃないって感じだったんだけどー。


「俺、実は基準に達してなくて消滅しそうだったんだよ」

「え!? でもナギサは過去一の実力者って言われてるよね?」

「今はね。生まれた瞬間、その本当に一瞬だけは過去最弱。消滅させられた精霊王を含めても一番弱かったらしいんだけど、消滅させられる前にわざと魔力を暴走させた。つまり抵抗したわけだよ。で、その瞬間に覚醒しちゃったみたいで……」

「そのおかげで基準に達したってこと?」

「そんな感じ。話が長くなったけど、この扇は特殊で大切なものなんだよ。だから厳しい基準で選ばれて精霊王になれた者はこれを受け継がれる。最初に精霊王の証だと言ったのはそういうこと。そして魔力貯蔵庫でもあるこれに自分の魔力を常時注ぎ続けているから、扇でも魔法を発動できるってわけ」


 今までの精霊王は常に扇を持っているわけではなかったらしい。俺の場合、魔力を増やしすぎて全てが自分の中にあると危ないから常に扇に流してるって感じかなぁ。だから魔法は扇に溜めてある魔力を使って発動することが多い。

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