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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

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41 幻惑

 光の如き速さで移り変わる景色の中で、唯一変わらないのはその全てに必ず俺の家族全員がいること。俺の記憶をそのまま映し出しているような感じだから、俺自身忘れかけていたものも多い。懐かしい思いで見ていると、教室内がやけに静かなことに気付いた。視線を向けると、みんな俺の魔法で作り出された景色を凝視している。


 ……いや、ほんとになんで? そんなにおかしかった? ちゃんとした披露するに相応しい魔法は精霊達が見せてくれたから、これはほとんど俺の癒し目的だけど。まあ不思議ではあるだろうね。この世界にはないくらい発展した街だし、その中に俺がいたらこの反応も頷けるか。俺は転生したのに容姿が変わっていないからね。アリスもだったけど、もし他にも転生者がいたらどんな姿なんだろ。やっぱり俺達と同じように前世のままなのかな。


「はい、おしまい」

「えー!」

「えー、じゃないよ。文句言わないの」

「ナギサ様、今のは何の魔法ですか?」

「幻惑みたいなものだよ。俺が想像したものが景色となる」


 幻覚とも言える。今のは想像したのではなく指定の記憶だけを映し出したんだけど、それは言わない。言ったら俺が転生者であることを説明しなければならなくなる。

 キラキラした目で質問してくるセインくんに答えると、なるほど! と元気いっぱいな返事が返ってきた。何気に好奇心旺盛だよねー。良いことだと思うよ。


 でもこれ、使い方によっては強力な武器にもなるよね。敵に幻覚を見せれば同士討ちだってさせられるはずだから。ただ、数ある中でも特に難しい魔法で魔力の消費量も多いから、俺もほとんど使ったことがない。まだ二、三回目とかじゃないかな? 普段使ってないからやっぱり粗がある。コツを掴んだから次からは完璧に使えるだろうけど。


「……先程の景色ですけれど、あれは一体……」

「さっきも言ったけど、ただの俺の想像の世界だよ。俺が昔読んだ書物に、どこかの世界ではあれくらい発展した国もあるかもしれないと書かれていた。少なくともこの世界ではないんだけどね」


 もちろん真っ赤な嘘だよ。そんな書物読んでない。でもこう言わないと怪しまれるし、『どこかの世界』にあの景色があったのは嘘じゃない。いつかこの世界も前世と同じくらい発展させたいものだねぇ。


 ◇


「さっきの魔法で見せてくださった景色って、前世のナギサ様ですよね」

「なんでそう思うの?」

「普通にナギサ様が写っていましたし、必ず同じ三人が一緒にいました」


 まあ、俺の前世の話を知ってる人はそう思うよね。ランスロットくんも同じことを言いたそうだしさ。


 精霊達も勘付いているようだね。これは言い逃れしようがない。別にするつもりはなかったし、気付かれるかもしれないとは思ってたから全然良いんだけど。


「正解だよー。俺の弟、どの子か分かった?」

「傍に少しチャラそうな男を連れていた子だろう?」

「そうそう。あの子、俺の弟で直人って名前なんだよ。可愛くない? かっこよくない? 国宝級の美しさでしょ」


 ランスロットくんの言うチャラそうな男はあの子の側近だろうね。チャラそうで意外とそうでもないんだよ。そう見えるのは見た目と口調だけ。


 直人くんはもう可愛い、かっこいい、褒め言葉のオンパレードだよ。あれで本人は俺に負けるって言うんだから意味分かんないよね。アイドル様が何を言っているんだか。

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