37 ランスロットから見た精霊は
「ナギサ様、久しぶり」
「ラン、久しぶりだねー。クレアちゃんとミシェルさんはどんな感じ?」
「元気。ミシェルはまたナギサ様と話したいって言ってた」
「そっか。今度会いに行くって言っといて」
静まり返る教室の中で呑気に話をするナギサと精霊様。他の精霊様達も主であるナギサに似てるのか、こちらには目もくれず自由気ままに遊んでいる。ただ、その遊びが魔法を使ったものという、俺達からすると信じられない光景だがな。
「ナギサ様、授業始めないんですか? 皆様お待ちですけど」
「あ、忘れてた」
なにが『忘れてた』だ。忘れるなよ。精霊様が可愛いのは分かるが、授業中なのを忘れられては困る。
セインは精霊様が遊びで使っている魔法に興味津々だし……しっかりしてるのかしてないのか。どちらか一方にしてほしいところだ。
「えーっと、まずは自己紹介? からだね」
「じゃあ俺から。俺は火の大精霊サラマンダーだ! こっちは火の下位精霊メル! よろしく!」
「ちちち、ち、地の大精霊……ノームです。この子は……地の下位精霊、ルナ……」
早速個性的なお二人だな。まだ最初の二人だというのに、どこからか感じるこのナギサにそっくりな雰囲気……性格は違うが、精霊様は誰でも個性的なものなのか? それとも、そんな性格になるようにナギサが生んでいるのか……?
「僕は水の中位精霊ルーです。こっちはリー」
「よろしくね!」
「風の中位精霊ラン。よろしく」
「以上七名ね。魔法講義って真面目そうなこと言ってるけど、魔法の使い方を覚えるだけの簡単なことだから安心して。俺は見てるからあとはよろしく!」
適当に締め括ったナギサは『俺は一番最後に魔法を披露するよー』とだけ言って後のことは他の精霊様に任せ、こちらに戻ってきた。
爽やかによろしくと言ったが、その内容が残念だな。かっこいいのか悪いのか、清々しいと言うべきなのか良く分からない奴だ。
「どうします? お二人が仕切れますかね?」
「し、仕切るって言っても……ナギサ様は魔法を披露すれば良いって、い、言ってた……」
「そうだな!」
「どうしましょうリー。この方々、全然駄目ですね。ナギサ様が一番駄目ですけど」
随分と辛辣なことを言っているがそれで良いのかと思って隣を見ると、頬杖をついて『やっぱり皆可愛いなぁ』とか親馬鹿なことを言うナギサがいた。
セインは明らかに引いているが、それに気付いているのか? 普通、こういう場ではナギサが何とかすべきだろう。
「誰から魔法見せる?」
「……人の話を聞きましょうよ」
「頭が固いね、ルー」
「うるさいですよ。……あーもう、ナギサ様が何とかしてくださいよ! あなたが提案したことなのでしょう!?」
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