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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

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36 魔法講義と火の大精霊サラマンダー

 大精霊四人に演劇のことで相談を持ち掛けた一週間後。ついに俺達のクラスでは魔法を教える時間───魔法講義の日程が発表された。授業時間を使うことになるため、セインくんと先生で相談して決めたらしい。俺も精霊達の都合があるだろうからと呼ばれたけど、こちらが合わせるのでお好きにどうぞと言っておいた。


 今日、九月の十七日。最初の魔法講義は三限目に時間を取ることになっている。今日は魔法の披露がメインになるらしい。講義の段取りはほぼ全て精霊達に任せた。前世では『百聞は一見に如かず』という言葉があったけど、やっぱり何度言葉で聞くよりも、一度その目で見る方が分かりやすいに決まってる。


 目の前で魔法を使うところなんて滅多に見られないと思うんだよ。もちろん、精霊と顔を合わせれば絶対に一度は見ることになるだろうけどね。


「セインくん、なんか嬉しそうだね?」

「はい。前にセナが攫われた時、ナギサ様が助けてくださったでしょう? その時に見たナギサ様の魔法が綺麗で素晴らしかったと、散々自慢されまして。ですからちゃんと見れる日を楽しみにしていたんです」

「魔法を使う姿自体は高頻度で見るが、大体一瞬だしな」

「ええ」


 そうだっけ? あーでも、たしかに……俺が二人の前で魔法を使う時って大体転移魔法だからね。そりゃあ一瞬だよ。だって転移魔法だし。転移魔法以外でも俺は発動に時間が掛からないから、どちらにしても一瞬なんだけど……


「……って、セナちゃん自慢してたの? あんなに怖がってたのに?」

「たしかに怖かったとは言っていましたよ。ですが同じくらい……いえ、それ以上にナギサ様の魔法が綺麗だったのだと聞きました」

「うん、メンタル強くない? 普通あの状況でそんなこと考えられる?」

「あの子は可愛い顔をしていますが、筆頭公爵家の令嬢なだけあって意外と強かなんですよ。たまに僕や兄上すらも言い負かしたりします」


 それはすごい。言い負かすことができるのもだけど、セインくんにここまで苦々しい顔をさせられるのが。でもこのセインくんとあのセリスくんの妹さんだからねぇ。そう考えれば強かなのも分かるかな。


「そういえば最近シュリー公爵家に行ってないね。今度お邪魔して良い?」

「はい。兄上とセナが喜ぶと思いますよ」


 ちょうど話したいこともある。話したいことって言っても、ただの近況報告的やつだけどさ。


 ◇


「今からは魔法講義の時間になります。後のことは精霊様にお任せしますので、しっかり話を聞くようにしてください」

「……精霊様、いなくね?」

「そうよね」


 軽く今後の日程を話し、その後先生は教室から出て行った。途端に教室内が(ざわ)めく。とりあえず俺が取り仕切らないといけないので、立ち上がって教卓の方に移動するとクラスメイトの視線が集まる。

 この前のアリスの件は良い感じに広まり、精霊が操作してくれたおかげで噂も適度に収まったので、俺を見る目に怯えは含まれていない。それでも多少の緊張感は感じられる。


 すぐにこの緊張感も消えてしまうだろうけど、それくらいが一番ベスト。ふとした瞬間に俺を思い出すだろうからね。全て思い通り展開になって良かった。


「おいで」


 俺が声を掛けると、誰もいなかった空間に次々と精霊が姿を現した。サラマンダーは表面上はいつも通りだけど、この場にいる人間へ向ける視線が少し冷たいね。大勢の人間と一度に関わることがあまりないから、警戒しているんだと思う。ノームはいつも通りおどおどしてるね。


 ある意味ノームの方が肝が据わってるのかな? いつも通り、という点においては。それにしてもサラマンダー、君って本性は結構クールというかドライなところあるよね。特に、俺と二人きりだったりで周囲に人がいない時は静かで落ち着いてることが多い。彼は頭が切れるから、上手く仮面を使い分けているみたい。俺はそんなサラマンダーも好きだけど、こういう場でその視線はやめようか。サラマンダーの瞳の奥が冷たいこと、気付いている人はすでに何人かいるよ。

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