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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

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33 未来を考えるのならば

 ◇


「ノーム、ウンディーネ、サラマンダー、シルフ」


 宮に帰った俺は演劇の件を相談すべく、大精霊を呼び出した。大精霊四人にのみ聞こえるように風属性の覚醒魔法を使うとすぐにみんなが集まってきた。


 しばらくの間、俺は地の宮に滞在することにした。理由は演劇のために精霊達に協力してもらうことになり、話し合いをする機会が増えると思うから。それで相性の悪い属性がない地の宮を選んだ。

 火と水は相性が悪いし、風の宮も空にあるから呼ぶのが大変。転移魔法を使えば良いだけなんだけど、毎回となると面倒だからねぇ。結果、消去法で地の宮になった。


「ナナ、ナギサ様……どう、したの?」

「ここに呼び出すなんて、珍しいこともあるものだな!」

「うん、話があってねー。ここが一番ゆっくり話せると思ったんだよ。みんなはもう知ってるんじゃない? 俺が今年の学園祭でクラスメイト全員に魔法を教えることになったことを。それについての話なんだけど……」


 精霊は情報が早いし、知ってるんじゃない? と聞きはしたけど、間違いなく把握していることだろうね。逆に知らなかったのなら大精霊として情報面に問題がある。


「その件でしたらすでに存じ上げております。僕達なりに話し合って誰が協力するかも決めていますが、聞きますか?」

「あ、そうなの? じゃあ聞かせてよ」


 把握してるだけではなく、その次まで考えて行動してくれていたとは。さすが俺の子であり臣下。仕事が早いねー。


「火の大精霊サラマンダー、地の大精霊ノーム。水の中位精霊ルーとリー、風の中位精霊ラン。火の下位精霊メル、地の下位精霊ルナ。以上、七名でいかがでしょう?」

「精鋭揃いだね。ちなみにだけど、この人選はどうやって? 彼らを選んだ理由はあるのかな」

「サラマンダーやノームはもっと人族と関わった方が良いんじゃないかって話になったのぉ。わたしとサラマンダーは相性が悪いから、長時間一緒に過ごすのは無理でしょ? で、シルフは人族と関わる機会がこの中だと一番多いし……」

「ルー達は?」

「ル、ルーとリーは……ウンディーネの代理、で」

「ランは僕の代理です。代理と言っても様子を教えてもらいたいから送り込むのですが。メルやルナはお二人の支援です。ノームとサラマンダーが同じ属性の精霊なしでしっかりやれるとは思えません」

「そういうことだ!」


 辛辣だね、シルフ。事実とはいえ、この子達も言われっぱなしで良いの? でもたしかに、二人はもう少し他の種族と関わるべきだと思ってたから良い機会だと思う。格下の種族だと思って関わりを絶つのは良い判断とは言えないし、今後のためにもなる。今回はほんの少しだけど恩を売ることができるし、各々誰かと親しくなれば人脈も広がる。


 今のままの世界では面白くない。俺は強いだけではやっていけないような、異種族でも協力し合うのが当然という共通認識がある世界に作り変えたいと思ってるんだよねぇ。今でも協力し合っているけれど、まだ足りない。以前建国記念パーティーで言ったように、一方的に頼りすぎるのではなく、お互いの得意分野で正しく頼って協力できるようにならなければこの国も、そして世界も長くは持たないと思う。主な四種族に加えて俺が知らない種族や特性を持つ者もこの世界にはいる。様々な種族が共存しているのだから、それぞれのトップは未来を見なければならない。


 具体的なことは決めてないし、いつ動き出すかも未定だけどね? だって、今の俺にはやることが多いから。それでもこの世界の未来を考えるのなら、どの国も比較的平和な時代である今動き出さないと、完全にタイミングを逃してしまうだろうね。


 ……ということで、精霊も他の種族と関わりを持つのは良いと思うよー。まずは交流の機会を増やしていこう。俺が俺らしくない行動をする時は大抵大きな理由がある。今回のこれも同じ。一度にできることは少ないのだから、しっかり段階を踏まないとね。

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