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【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?  作者: 山咲莉亜
第2章 亜麻色の光

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28 愛する人への侮辱は

「俺もだが現実逃避してる場合じゃないだろう。この騒ぎ、どうするんだ?」

「んー……セインくんになんとかしてもらう。そして俺は逃げる!」

「無理だな。いくらナギサでもこの状況では逃げられないと思うぞ」


 あーうん、たしかに無理かも。前後左右、つまり俺の周りをクラスメイトたちが囲ってるからねぇ。今だって呑気にランスロットくんと話してるけどその間にも質問攻めされている。


「ねぇ、みんなちょっと落ち着こうよ」

「ナギサ様の……その、恋仲の方ってやっぱり……」

「噂に聞いてるんじゃないの? 一年生の子だよ。アリスって言えば分かるかな」


 俺が答えると今度は逆に静まり返る。納得の表情を浮かべる人もいれば、意味が分からないとばかりに顔を歪める人もいる。面倒そうにしているであろう顔を扇で隠し、周囲に聞き耳を立てる。

 案の定、『あの子平民でしょう? 外見は綺麗だけど身分が……ねぇ?』『精霊王と平民か。正反対だな』とか。そんな声が聞こえてくる。隠す気があるのかないのか。身分が釣り合う釣り合わないとか言う前に、自分の言動を見直した方が良いと思うんだよねぇ。


 それに身分がどうこう言うのなら、精霊王の俺が決めたことに口を出すことの方がよっぽど不敬なんじゃないのー?


「……ねぇ」

「外見しか取り柄がない癖に」

「ナギサ様に取り入るなんて、体を使ったとしか考えられませんわね。下品ですこと……」


 くすくすと嘲笑う声が聞こえる。この前の王都での騒ぎの時もだったけど、外見がどうとか体を使うとかそんなことしか考えられないのー? 俺とアリスが恋人である理由がそれしか考えられないなんて、そんなこと言ってる人の方がよっぽど下品でしょ。


「おいナギサ。ちょっと落ち着け、」

「あんな子、いなければ良かったのに。そうしたらこの私が選ばれていたかもしれませんのに」

「おい」


 途端に教室内が静まり返る。なんか俺、この世界に来て感情的になること多くない? 前世より大切あものが多いからかな。まあなにも言わずにはいられないんだけど。


 自分の最愛の人を目の前で貶されて侮辱されて、黙っていられる人が一体どれほどいると言うのか。少なくとも俺には絶対に無理。


「いい加減にしろ。黙って聞いていれば良く知りもしない相手を侮辱して貶して。良く俺の前で言えたな? 逆に感心するよ。俺が言ったことを忘れた? 彼女は俺の恋人だと言ったよね。どいつもこいつも、そんなに痛い目に合いたいわけ? 喧嘩を売っているのなら喜んで買ってやるよ」

「そ、そんなつもりじゃ」

「なかった? そんなわけないでしょ。それなら悪意なく誹謗中傷していたと? この俺の前で?」

「お、おいナギサ!」

「ランスロットくんには関係ないよ。俺はお前らに聞いている」


 あえて怒りを隠さず、口調も戻さないことにした。噂で聞いても悪口、本人の口から真実だと聞いても悪口。みんなそんなに暇なわけ? 馬鹿なことをしている暇があるならその弱い頭をどうにかすれば良いのに。


 周囲にいる彼らから恐怖、怯え、あるいは困惑や焦りといった感情が伝わってくる。殺気は出さないように気を付けているけど、それがどの程度抑えられていることやら……怒っても疲れるだけ。良いことはなにもない。だけど俺だって怒りたくて怒ってるわけじゃない。我ながら沸点が低い自覚はあるけど、大切なものに関わること以外ならあまり怒らないと思うし、こういう時くらいは許してほしい。

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