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27 精霊王は彼女持ち

 演劇の役はシンデレラとほとんど変わらない。物語自体違いがほとんどないんだし、それが当たり前なんだけどね。


「では最後に光の王子ですが、話し合いで決まりましたか?」

「いや、決まってない。もう多数決で良いと思う」

「そうしましょうか。では皆さん、光の王子をやってほしいと思う方の名前をこの紙に書いて提出してください」


 俺はランスロットくんでいっか。たしか立候補してない人でも自分以外と、役が決まってないなら誰でも良いんだよね。誰が王子役になるか楽しみー。


「えっと……では発表しますね。多数決の結果、光の王子役はナギサ様になりました」

「…………」


 えーっと? 聞き間違い、だよね? でもこのクラスにナギサって名前の人俺以外にいたかな……?


「良かったな、ナギサ。お前が嫌がっていた王子役だぞ」

「あの、セインくん? ナギサって……まさかとは思うんだけど俺、じゃないよね?」

「他に誰かいます?」


 ……ですよね? なんで俺なのか分からない。俺、やりたくないって言ったんですけど!


「断るのは駄目?」

「理由があるなら良いですよ」


 理由って言われてもね……特にないかなー。強いて言うならやりたくないからだけど、それじゃ駄目なのは分かってるし。

 他に向いてる人がいると思うから? だったらなんで俺が選ばれたのかって話になるよねぇ。……あ、でもちゃんとした理由……かは分からないけど、一応あるかもしれない。


「彼女持ちだから、では駄目? 『光の王子と小さなガラスの靴』って恋愛要素あるじゃん」


 俺がそう言った途端、教室内では大きな悲鳴が上がった。男子も女子もほとんどの人が叫んだようで、思わず耳を塞いでしまった。あらゆる意味を含んでいそうな悲鳴にセインくんも目を白黒させている。


 俺は今そんなにおかしなことを言ったかな? すっごい悲鳴だったんだけど。まだ頭が痛い……なんてものじゃなくて、片耳鼓膜が破れたよ? こういう時耳が良いとほんとに困る。まあ魔法で治癒できるから痛みは一瞬だけど。


「な、なに……?」

「なに? ではないだろう。お前に恋人が出来たと聞いたらこの反応は普通だぞ。むしろ控えめなくらいだ」

「おまっ、ナギサ! お前、彼女がいるというのは本当だったのか!?」

「え、うん」

「一体どこの誰なんですの!?」

「お、落ち着いてください!」


 セインくんが一番落ち着くべきじゃない? 動揺しすぎだよ。


 それはまあ良いとして、ここまで驚かなくて良くない? そんなに意外なの? ここまで驚かれるとは思わなかった。とっくにこの話は広まっているはずだけど……噂で聞くのと、改めて本人の口から聞くのでは違うってことかな?

 こんな騒ぎになるとは思わなかった。意外に思われているのだとして、俺はそんなにモテなさそうに見えるのかな。別にどう思われていても良いけどさ……


「なにを考えているのか知らないが、お前が考えていることは絶対に違うと思うぞ」

「前にも同じような会話しなかったっけ? ランスロットくんじゃなかったかもしれないけど」


 いつだったかな。ランスロットくんと関わるようになったばかりの頃? それくらいの時にまったく同じようなことを言われた記憶がある。

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