警察官
自分は河村秀二、この春警察学校を卒業して、警察になったばかりです。
今日はじめて、自分が配属された交番所に出勤します。
○×派出所
「どうも自分、今日からここに配属されました河村秀二です」
「ああ~、君が河村君か!私は店長の後藤勇」
「店長?」
「ああ~君、ちょっと硬いよ」
「はっ!少し緊張していまして」
「いいかい。サービス業はまず笑顔が大事だから」
「えっ、サービス業?」
この人何を言っているのだろうと心の中で思いました。
「いいかい、まずお客様が来られたら、いらっしゃいませ!と大きな声で」
「あのう、お客様って?」
「河村君、我々は国民の税金で給料をもらっているんだよ。だから、勤務中は国民の皆様は大事なお客様です」
「……」
その時交番の電話が鳴った。
「私が出るから、君は私がやるのをよく見て勉強するんだよ」
「は、はい」
「お電話ありがとうございます。○×派出所の後藤です。はい、えっ?○×公園で男性二人が喧嘩!スイマセンが、うちはそういうサービスは行なっていませんので、他のお店を、えっ!前はやっていたって!スイマセン。人手不足で、今年の1月からうちは今行なっていないのです。はい、スイマセン。では失礼します」
「えっ!止めに行かなくていいのですか?」
「ああ、うちは今そういうサービスはしていないから、まあ、たまに期間限定でやるときもあるけど」
日本の警察ってこんなんだっけ?
これじゃ~税金泥棒の騒ぎどころじゃないような気がします。
「おっ、パトロールの時間だ」
あっ、やっと警官らしいことができる。
「自分、運転します」
「君は今日1日、私の行動を見て勉強していればいいの」
「はあ~」
そしてパトカーに乗ってパトロールをしていたら、一旦停止を無視した車が横切った。
「スイマセン。そこの車の運転手様、左に止めてもらえますか」
言い方はなんかおかしいが、やっと警官らしい仕事してくれた。
「スイマセンね。ちょっと出てきていただけますか?」
「マジですか!」
ちゃんと免許書も見ているな。
てっ、これじゃ~どっちが上司か分からんな~
「では減点させていただきました。あと、一旦停止ですと7000円になります」
「しょうがね~、振り込んどくよ」
「ありがとうございます。またのご利用お待ちしています。ありがとうございました!」
やっぱ、おかしい~と思った。
その時だった。
一人の男性が後藤さんに挨拶してきた。
「お久しぶりです。後藤さん」
「金田さん!あっ、彼は今日から入った新人」
「自分の名は河村秀二であります」
「私は、金田益三です」
「金田さんなあ、うちのホテルABASIRIで6年バイトしていた人だ」
ホテルじゃね~だろう。刑務所だろう。しかもバイトじゃね~し、と心の中で激しくツッコンだ。
その後、なんだかんだと、よく分からないうちに、夕方になっていた。
「もうすぐ、夜のバイトの子が来るから、挨拶したら今日はもういいぞ」
バイトの子って、またおかしなことを言い始めた。
大丈夫かこの人……
「おっ、来た」
「あっ、自分今日からここに配属された河村秀二です」
「あっ、自分、バイトの本間海ッス。よろしく」
おい~、本当にバイト人かよ!
しかも金髪にピアス、ズボンのポケットに手を突っ込んで、ここ本当に交番所?
「本間くん、金髪にしたらいかんだろう」
おや、格好に注意し始めたぞ。
「サービス業なんだから、マニュアルにも茶髪までと書いてあるでしょう」
だから、サービス業じゃね~だろう。しかも茶髪もいかんだろう。
その前に何故バイトを雇う!と、心の中でツッコンだ。
一応上司なので……
「スンマセン。あっ、店長、バイト募集のチラシ作っときました」
「あっ、ありがとう」
だから、なんでバイトを募集するんだ。
コンビニじゃね~んだぞ!
○×派出所 夜のバイト募集^^
18歳以上で(高校生・前歴のある方は不可)
17時~1時(自給850円 22時以降は自給1000円)
土・日のみ方大歓迎!
一緒に悪者退治をしよう!!
なんだこれ~
これが今の日本の警察なのか~
「うわ~!!はっ!あれ?な、何だ!夢だったのか」
いや~夢でよかったです。
そして、今度こそ本当に出勤です。
さすがに緊張します。
そして中に入ると……
「5人揃って!警察戦隊ポリスマン!よしゃ~今日も気合入れて怪人たちと戦うぞ!」
「おお~」
に、日本もおしまいだ……