表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/24

転生

あなたは前世の記憶がありますか?


○月×日……


この日、山井出真太やまいでしんたという16歳の少年が病で死んだ。


そして少年の魂は黄泉の世界へ……


冥界で閻魔によって彼の罪が裁かれた。


閻魔

「山井出、お前は16歳という若さでこの黄泉の世界へ来た。お前の事を閻魔帳で調べたが、おまえ自身の中で重い罪といえば10歳の時にお菓子を盗んだことくらいか」


真太

「あ、あの時は考えが幼稚で……」


閻魔は真太の顔を鋭い目で睨みつけた。


真太は閻魔の威嚇に目を逸らした。

そして震えながら彼はこう言った。


真太

「僕には夢がありました。パイロットになって鳥のように大空を羽ばたくという夢が……」


閻魔

「お前の犯した罪はそれほど重くはない。新たに生まれ変わり、来世で幸せになるがよい」


真太

「そ、それでは……」


閻魔

「ただし、転生後は今までの記憶が消えてしまうがな。だがお前の願いどおりの生き物に転生してやる。そして大空を羽ばたくがよい」


そして彼は新しく生まれ変わった。


時は流れ……


彼は大空を自由に羽ばたけるようになった。


だが、それと同時に前世の記憶が蘇ってしまった。


これは異例な出来事だ。


真太

「お、思い出した。僕はかつて人間という生き物だったんだ!そして自由に羽ばたける生き物に生まれ変われたんだ」


彼は喜んだ。

この後に待つ恐怖も知らずに……


真太

「あっ!あれは僕が住んでいた家だ!懐かしいな~」


彼は窓の隙間から侵入した。


真太

「まさか自分の家まで自由に飛びまわれるなんて。ありがとうございます閻魔様。僕は今鳥のように自由に羽ばたいています」


彼は未だ自分が何に生まれ変わったのか知らない。


真太

「鳥なのかな~もしかして、蝙蝠だったりして、あそこにある三面鏡で見てみよう」


彼は自分の姿を見て驚いた。


彼の姿は、鳥でも蝙蝠でもプテラノドンでもなかった。


彼が新たに生まれ変わった生き物……

それは……

ゴキブリだった!

彼はゴキ野郎になったことで、今まで自由に空を羽ばたけたのだ!


そして彼は、かつての母親に見付り、スリッパで叩かれ、また黄泉の世界へと戻っていった。

ゴキに生まれ変わってから、今までで、一番羽ばたいた瞬間でもあった。


めでたし、めでたし




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ