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プロローグ

 どうして。

 どうしてお嬢様だけがこのような目に合わないといけないのだろう。

 断頭台に繋がる階段を一歩、また一歩。

 上りながら私はふと思う。


 「ごめんなさい。あなたまで巻き込んで……、ごめんなさい」


 これで何度目の謝罪だろうか。

 お嬢様は私に何度も何度も謝罪を口にする。

 自分も今まさに断頭台に向かう最中だというのに……。

 自分のことではなく、従者に過ぎない私のことを想い、考えてくださっている。

 私のこの身命は既にあなたと共にあるのだから自分のことだけを考えてくださればいいのに。

 ただ、死の直前まで私のことを考えてくださっているその御心に対しては素直に嬉しく思ってしまう。

 このひとの為なら死んでもいい。


 私は断頭台に繋がる階段を上り切ると首を固定された。

 隣ではお嬢様も同じく首を固定された。

 私は死んでも構わないのだが、ただ……。

 私はお嬢様には生きてもらいたいと思っている。

 でもことここに至ってもはやその望みは叶わないだろう。

 だから私は最期に精一杯の笑顔をお嬢様に見せることにした。

 お嬢様の罪悪感を少しでも軽減することを願って――。

 私はこれがなんでもないかのように笑う。


「お嬢様、謝らないでください。共に死ねることを光栄に思います」


「…ッ」


 次の瞬間、私の意識は暗転した。

 最後に見たのは泣きながらも笑うお嬢様のお顔だった。

 

 ああ、どうしてだろう。

 どうしてあなただけがこのような目に合わねばならないのでしょうか。

 私を救ってくれた愛しい御方……。

 もしも生まれ変わることがあるのならばまたあなたの隣で……。

 あなたと共に。


 

 

 

 

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