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第2話 発見

第3話です。よろしくお願いします。

 (クッソォ!俺が思い浮かべたたのはこんなのじゃなかったのに...。)

 拓真は、トボトボ歩きながら、歯軋りをした。


 喋れるようにはなったものの、だからといって大して状況が変わったわけではない。チート能力もチート武器を何もない。そして、今気がついたのだが、金もなかった。

このままでは、モンスターにやられて死ぬどころか、先に飢え死にしてしまうだろう。

 拓真は大きくため息を吐いた。


 町の中心まで戻ってくると、1人の女の人が、大声を上げていた。


「すみませーん‼︎誰か!誰か私のルーちゃんを!小さな子猫を知りませんか‼︎?」

 どうやら飼い猫を探しているらしい。

 

 拓真は、見て見ぬふりをした。

もちろん、助けようかな?という思いもあった。だがしかし、今は自分自身もマズイ状況なのだ。人を助けられる余裕は拓真にはなかった。

 (ごめんなさい、きっと別の人が助けてくれますから...。)

 そのまま通り過ぎようとしようとした。

が、女性の次の言葉で拓真はピタッと立ち止まった。


「見つけてくれた人には、それなりのものを差し上げますから!」


 拓真はクルリとと女性の方を向くと、手を差し伸べた。


「麗しきお嬢さん、僕が助けてあげますよ。」


 拓真は物欲に負けたのだった。



 拓真は、女性から、猫の特徴などを聞き出した。

 色は、茶色と白の混同。いわゆる三毛猫だ。目はオッドアイになっていて、片方は黄緑、もう片方は青色らしい。そして、足には(これは飼い主さんが付けたようだが)銀のリングをはめているそうだ。


 拓真はこれらの情報を頭の中で復唱すると、さらに質問を続けた。

「どこかに居そうとかの心当たりは無いんですか?」


すると、女性は少し目を伏せると、口を開いた。

 「その...迷いの森にいるかもしれないのです。」

「迷いの森?それって...どういう場所なんですか?」

拓真が、疑問を口にすると、女性は驚いた顔をした。


 「知らないのですか⁉︎

この町からヘディ村まで行くために通る森ですよ。

木々が多く、昔の人はよく遭難していたので、そう呼ばれているんです。まぁ今は道ができたのでそう簡単には迷いませんがね。」


「へ〜、それでどうしてそこにいると思うんです?」

「これは、私が馬車に乗って迷いの森に入った時でした。突然、ルーちゃんが馬車から飛び降りたんです。そのまま森の奥へと入り込んでしまって...。」

「どこに行ったか分からなくなった、ってことですか。」

「はい...。」

「となると、ほぼ確実にそこにいるということですね?」

「はい、その通りです...。」

女性は小さな声で答えた。


「なるほど、分かりました。必ず探し出して見せましょう!」

拓真はニカッと笑うと、グッと親指を立てた。



 そして、今、拓真は森を目の前にしていた。

森の中には大量の木が植わっていて、薄暗い。これは、昔の人が迷うのもよく分かった。


 拓真はゴクリと唾を飲むと、森に足を踏み入れた。


 森の中はひんやりとして、薄暗かった。

 拓真はズンズンと進んでいく。進む進む進む。

一時間歩き続け、拓真は気がついた。


 (これ、無理ゲーじゃね?)


猫はおろか、人1人いないのだ。探すもクソもない。

 (大体、この森が広すぎんだよ。さっき来た道がどっちかもわかんねぇぞ。)

そこで、拓真の頭の中に不吉な2文字が思い浮かんだ。

 (...俺、遭難してないか?)


ドッと冷や汗が流れ出る。


「だ、誰かいませんか〜!!誰か〜!ここが何処か!教えてくれませんか〜‼︎!」


森の中に、拓真の声だけが鳴り響いた。

ガクッと肩を落とした瞬間、甲高い声が聞こえてきた。


「何、アンタ!何叫んでんの⁉︎うっさいのよ!」


九死に一生を得たような気分になった拓真は首を振り回して、声の主を探した。


「どこだ!どこにいるんだ⁉︎頼む!遭難したんだ!助けてくれ‼︎!」

すると、再び声が響いた。


「どこって...アンタの足元にいるじゃないのよ。」


足元を見ると、そこには小さな鳥が立っていた。


「ウ、ウッピャァァァァ‼︎‼︎!‼︎」

驚きのあまり、叫び声を上げる拓真に、鳥はさらに話しかけてきた。


「な、何よ!小さいからって馬鹿にしてんの⁉︎

というか、アナタ、見たことない姿してるわね。一体何者?」


腰を抜かしてしまった拓真は、口をパクパクさせると、喋る鳥をじっと見つめた。


(もしかしてこの能力って...全動物に使えるのか?)


鳥は不思議そうに拓真を眺めていた。


 拓真は、少し落ち着きを取り戻すと、鳥に話しかけた。

 「あ、あのさ。この森から出る道を知らないか?俺、どうやら迷ってしまったみたいなんだ。」

「道?知らないわね。」

「空飛べるんだからその辺もわかんねぇのかよ。」

「空飛べるからと言ってもね、森から出る道なんか知らないわよ!アタシはずっとここに住んでて、出る必要もないんだから‼︎」

そう言うと、鳥はフンッと鼻息をすると、バッと羽を広げた。


「全く、よく考えたらアタシはアンタなんかに構ってる時間はなかったんだわ。さよならね。」

小さな羽で羽ばたき始める。


「お、おい待てよ!」


拓真の呼びかけも通じず、鳥はヒュウッと飛んで行ってしまった。


「嘘だろ、おい...」


呆然としているとガサリと葉が擦れる音がした。

そちらに目を向ける。


 今度は歯を剥き出しにした、巨大な犬が5匹、立っていた。


 「え、えーと、森を出る道を知りませんか〜?」

拓真は冷や汗を流しながら尋ねる。

 「知らぬ...。」

真ん中にいる犬が答える。

「そ、そーですかー。そりゃあ知りませんよね〜、ハハハ。」

拓真は少しずつ後ずさる。


その動きを敏感に察知した真ん中の犬は、グァッと飛びかかってきた。


「ぐぉぉぉッッッ!!」

すんでのところで、拓真は身をよじって避けた。


 「チィッ...。」

犬は舌打ちをすると、再び攻撃の姿勢に入る。

今度は後ろの4匹も攻撃態勢に入り込んだ。


バッと5匹一緒に飛びかかってくる。

拓真には逃げ場がなかった。

(ヤバい、死ぬー)

 拓真が死を覚悟したその時、目の前に茶色い影が飛び込んだ。

 「グギィッ!」

猛犬たちが吹っ飛んでいき、木にぶつかる。

拓真は思わず目を見張った。


 なんと、尻尾が二股に分かれた1匹の猫が、猛犬たちを薙ぎ払ったのだ。


 銀のリングをはめた、オッドアイの猫が。



 

どうだったでしょうか?

これからは一週間に一回投稿くらいにしようと思います。

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