第9話 シュエリー、復讐相手と対峙する。視点、シュエリー
私はシュンをパーティーに入れるため、色々な作戦を立てていた。
しかし、今はそれどころではないようね。
ミエリーとエミリーを助けないといけない。
あの小柄の男は覚えがありませんが、あの二人組は昼間の......。
妹たちは男たちによって、縄で口と手足を拘束されていた。
「おそらく、復讐に来たのね? いいわ、相手になってあげるからかかってらっしゃい」
ふふ、ここでシュンに私の力を再確認させれば、きっとパーティーに加わる気が少しは湧くはずよ。
私が杖を構えると、2人の男たちを両脇にどけて奥から小柄の男が現れた。
「お前が俺の子分を可愛がってくれた村人娘か。うーん、結構いい容姿してるねぇ」
「へへ、スマインさんやっちゃってくださいよ。あいつ村人冒険者のくせに俺らのクエスト横取りしたあげく、歯向かってきたんすよ」
スマインと呼ばれる小柄な男は、大柄の2人のスネをつついた。
「てめぇら、こんな小娘相手に負けておいて恥ずかしくねえのか」
「「うぅ、すいません」」
スマインは頭をぼりぼり掻いた後、懐からメリケンサックを取り出した。
「魔闘器!? こいつ魔闘士だよシュエリーさん、気を付けて。援護するよ」
魔闘士、杖ではなく武器に魔力を集めて戦う上級クラスのファイター。
流石貴族といったところでしょうか。
正直、中級魔法使いの私には正面からぶつかるのは厳しいかもしれない。
だけど......。
「援護? いらないわよ。あなたはそこでじっと見ていなさい。私の華麗な戦闘ぶりをね」
加勢されたら私の実力が発揮できないからね。
ここは拮抗するぐらいまでは頑張って、シュンに私をアピールしなくては。
後は頼みこめばシュンがやってくれるでしょう。
なんてったって勇者パーティーだった人だし。
「シュエリーちゃんっていうのか、君かわいいからさ、今降参したら許してあげてもいいよ。ただし、今後俺の妾になるって条件だけど」
「妾ですって? 笑わせないでよ。あなたみたいなおチビさんなんて願い下げよ」
「「あ、お前言っちゃいけねえよその言葉。スマインさん、落ち着いてください」」
スマインは子分たちの慌てようとは真逆に、無言でファイティングポーズをとった。
煽って見たけど、意外と冷静なタイプなのかしら。
切れやすいタイプなら、隙が生まれて私にもチャンスがあると思ったのだけれど。
「シュエリーちゃん、もう妾はなしだよぉ。てめぇは、俺にボコボコにされた後ぶち〇されてガキ共とまとめて売春宿にぶちこんでやらぁ!!!」
スマインは魔闘器をはめた拳をジャブすると、水の塊を放った。
貴族といっても所詮人間ね、短気な奴はどこだっているわ。
「っはは。馬鹿で助かったわ!」
私は彼の放った水の塊をギリギリで避け、杖の先に魔法陣を展開した。
「光のマナよ彼の目に集え! フラッシュスプレー!」
杖の先から飛び出た光はスマインの目向けて放たれた。
「なんだこりゃ!? 見えねぇ!」
「「スマインさん!」」
スマインは両手で目を抑えこみ悶えた。
「ふふ、完全に油断したわね。これで終わりよ! 水のマナよ集っ......えっ!?」
「キュルルル」と、魔法陣が展開している音が私の背後から鳴り響いた。
振り向くと、壁にぶつかった水の塊が魔法陣を展開していた。
しまった、あの魔闘器の力!?
避けられない!
「危ないシュエリーさん!?」
致命傷を覚悟した次の瞬間だった。
私はシュンに身体を覆われていた。
どうやら彼が飛び込んで私と共に倒れたようだ。
「大丈夫?」
「えぇ、ありがとう。シュンあなた血が! あなたの方が大丈夫なの!?」
私が顔を上げると、辛そうな表情を必死の作り笑顔でかき消す彼の姿があった。
どうやら飛び込んだ時、肩にスマインの攻撃が当たってしまったようだ。
「どうして魔法を発動させないのよ、馬鹿! いや......私のせいでこんなごめんなさい」
私はシュンの不可解な判断に疑問が消えなかった。
けれど、私の不注意で怪我させてしまった事実は拭えない。
あぁ、私こそ油断していたわ。
もうパーティーに入ってなんて言えない。
でも、こいつだけは私が倒さないと。
「へへっ、ボーイフレンドに感謝しろよシュエリーちゃん」
スマインはそういうと、目のダメージが全くなかったかのように両目を開いて笑って見せた。
うっ、どうやら相手も私同様かなり芝居好きのようね。
「今度は本気でいくから、その猿芝居もできなくしてやるわ!」