第81話 カタリナVSクロノス 前編
くそぉ、この俺を気絶させるとはなんて魔力量しているんだあのガキ。
許せねえ、あのガキ2人今すぐ殺してやる。
「落ち着けクロノス。とりあえず今は、バロニカに偽装して試合に出るんだ」
イヴァンの野郎、計画しか頭にねぇな。
「わかったよ! もうそれはいい!」
俺はイヴァンを強引に押しのけ、再びフィールドへ戻った。
とにかく今は、戦って全て発散してやりてぇ。
運がいいのかわからんが、いいサンドバッグになりそうな相手だぜ。
カタリナか、盾使いと聞いていたがここまで勝ち上がるとはね。
「人魔一体、ゴーレム」
俺は試合開始と同時にゴーレムへ変身し、奴の大楯へ岩のような拳をぶつけた。
しかし、拳は奴の盾の効果で粉砕されてしまう。
なるほど、反射するのか。
カタリナは盾の内側から剣を引き出し、俺の肩を突こうと踏み込んできた。
「遅ぇんだよ!」
粉々になった右腕はすぐさま再生され、飛び出た刃先を砕いた。
このまま懐へぶつけてやる!
俺は羽先を砕いた右腕をそのまま伸ばし、無防備となった女の胴体を狙った。
「クソっ! なんだこの煙は!?」
しかし、その直後盾から落とされた黒い玉によって身を黒煙に包まれる。
俺は視界を失い完全にあの女の姿を把握できなくなった。
「おい! 小賢しい真似しないで真剣勝負しろや!」
ちっ、だんまりかよ。
埒があかねえ、一旦グリフォン化して上へ逃げるか?
そう考えてすぐに、黒煙の外から何かが飛んでくる。
チクチクと身体に刺さるが、大した痛みはない。
肩に刺さったそれを抜き、目を凝らすと木製のトゲであることがわかる。
こんなもの、指でペシャンコにできるぞ?
いや待て!
俺は頭を咄嗟に防御し、グリフォン状態となり飛翔した。
「おーっと! カタリナの奇策により、バロニカの風船は破裂された! 残り一つとなり、早くもピンチか!」
クソが!
そうだ、頭に血が上って忘れてたぜ。
これが殺し合いじゃなく、ただの試合ってことを。
風船割れば勝ちなんだから、こういう雑魚が考えるような攻撃もくるに決まってるじゃねえか。
「よし、もうイライラすんのはやめたわ。純粋に試合を楽しんでくぜ。行くぞカタリナ!」
俺のこの大会での目的は、あのガキ2人を弱らせて抹殺すること。
それ以外はただのゲーム、遊びだ。
コイツの攻撃を全て攻略し、圧倒的な格の違いにひれ伏させればいい。




