第7話 ミリア、勇者パーティーを抜ける。視点、カリブ
俺の名前はカリブだ。
由緒ある勇者族の高潔な血を受け継いだ、エリート中のエリートである。
そんな俺様にとって、このクエストは超イージーであったはずだ。
にもかかわらず、この無様な状態はなんなのだ。
俺のせいなのか?
いや違う、断じて違う。
「ミリア、ブス! 貴様らなぜポーションを切らしていたんだ! 貴様らのせいで、簡単のはずのクエストを失敗してしまったではないか!」
俺は腕を抑えながら2人を見つめた。
ブスはいつものように何も言わない。
ミリアもこちらから目を反らしやがる。
あぁ、イライラする。
俺は腕を振り上げ、ブスの頬を叩いた。
「なんとかいったらどうだブスめぇ! あぁ?」
再び頬を叩こうと振り上げたが、ミリアによって止められる。
彼女の目は鋭くこちらを睨んだ。
「カリブさん、今回のクエストの失敗は全員の責任です。カタリナさんをこれ以上責めないでください」
未だかつて、このような目で俺に反抗してきただろうか。
「全員の責任だと?」
「はい。今まではシュンさんがMPの心配をまったくさせず、スキルを何度消費しても大丈夫でした。
しかし、今はアイテムを使うタイミングを見極めなければならないんです。だから、カタリナさんだけではなくカリブさんも今後は......え?」
ミリアめ、俺にも責任があるというのか?
許せない、こいつらがポーションを切らさなければ達成できたんだ。
「ミリア、おまえ少し顔がいいからって調子こいたこと抜かしてんじゃねえぞ? 誰のおかげでちやほやされていると思ってるんだ? 勇者パーティーに入れさせた、このカリブ様のおかげだろうがぁ!」
戦闘の役にもたたない無駄にでかい乳をぶら下げやがって、少しは俺の役に立ってもらうぞ。
俺は鷲掴みにしようとミリアの胸に手を伸ばす。
「カリブ様、流石にそれ以上はおやめくださいませんか?」
ブスめ、俺の前に立ちふさがりよって。
俺は再びカタリナの頬を叩いた。
「いつもいつも、澄ました顔するなブス。今度は今までの比じゃないぞ、泣いて声を漏らすまでやってやる!!!」
突如、俺の頬に痛みが走る。
頬に手をやると、血が流れていた。
目の前で弓を射たミリアの姿がある......つまり奴が。
「どういうつもりだ、おまえ......」
「カタリナさんにまた手を出したら、今度は本気で撃ちます」
ちくしょう、今の俺は腕が片方ない。
いつもの俺ならミリアごときの攻撃など大したことないが、仕方ない。
「わ、わかった。だからそれを下げろ」
俺が手を下ろしてもミリアは顔を背けることなく、見つめてきた。
そしてブスの手をとり、2人は駆けだしていったのだ。
「おい! どこへ行くつもりだ!」
「私とカタリナさんは今日でパーティーを抜けさせてもらいます!」
「ふざけるな! 俺を置いていくのか貴様ら! 許さないぞ!」