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第6話 勇者パーティー、ゴブリンキングに敗れる。視点ミリア


 カリブさん、どんどん大技使って前進してMP切れないのでしょうか。


「危ない! ファイアーアロー」


 私は青い炎をまとう矢でカリブさんの背後を狙うゴブリンを射抜いた。


「ありがとうミリア。おいブス、お前が俺をちゃんと守らないからカッコ悪い所みせちまったじゃねえか、あぁ?」


 ゴブリンの攻撃を盾でいなしているカタリナさんをカリブさんは背後から蹴飛ばす。

カタリナさんも危ない!


「反射!」


 危機一髪のところカタリナさんは盾の付与効果である反射(敵の攻撃の威力を跳ね返す武器の付与効果)を使って攻撃を凌いだ。

もし反射の付与効果がない盾だったら、危うくカタリナさんは...。

カリブさん、今回はシュンさんがいないということわかっていない。


「カタリナさん、ポーションは?」


「あぁ、私はもう」


「えぇ、そんな。私のをどうぞ」


「ありがとうございますミリアさん」


 あぁ、これでもう私とカタリナさんのポーションは無くなってしまいました。

大技をたくさん発動させているカリブさんもきっともう......。


「着いたぞミリア、ブス! ここがゴブリン共の巣穴だ」


 私たちは声が反響するほど広い場所に出た。

上を見ると空が見え、どうやら外の光が差し込んでいるようです。


「へへ、観念しろよゴブリン共」


 カリブさんは巣穴にいるゴブリンの子どもたちを剣で惨殺していきました。

え、子どもだけではなく孵化していない卵も含めると倒してきたゴブリンとの計算が合わない。


「カリブさん! 気を付けてください、ゴブリンはまだ少なくないかもしれません」


「ぐわぁあ!」


 おぞましい声が鳴り響いた次の瞬間、カリブさんの左腕が......。

嘘、ゴブリンキングが誕生していたなんて。

ゴブリンキングがいたとなると、このクエストは中級ではなく上級クラスに引きあがる。

カリブさんの怪我、私たちのMPも残りわずかの状況、もうクエストは続行不可能です。


「カタリナさん、私がゴブリンキングの気を反らすのでカリブさんを頼みます!」


 カタリナさんは無言で頷きカリブさんに近寄った。


「近寄るなブス! 俺はまだ戦える、安心しろ。報酬でギルドの治療魔法かけてもらえば腕の一本ぐらい治る。それよりこのままクエスト継続だ、ポーションを寄こせ!」


「...ません」


「なんだと!? なんでお前もうポーションないんだよ。使えねえな、ミリア! ポーションをくれ!」


「私ももうありません! だから早く撤退を!」


 ゴブリンキング、とても巨体とは思えないスピード。

斧を避けるので精いっぱい、なんとか早くカリブさんが逃げる時間を作らなきゃ。


「どけミリア、うぉお! ドラゴンキラー!!!」


「えぇ!? カリブさん!?」


 私の頭上を飛び越えたカリブさんは片腕で剣を振り降ろし、斬撃を放った。

斬撃はゴブリンキングの身体を真っ二つに引き裂き、後ろの壁にまで影響を与えた。


「カリブさん、MPが切れているはずじゃ。あぁ、それよりカタリナさん大丈夫ですか?」


 カタリナさん、さっきまで元気だったのに凄い疲労している。


「ブスのMPをもらったのよ。これでクエストも終わりだ。早く戻ろうぜミリア、俺も今は感覚が麻痺しているけどいつ痛みが戻るかわからねえからなぁ」


「カリブさん、今回は大丈夫でしたけど流石に身勝手っ......え、カタリナさん」


「ミリアさん、私は大丈夫だから。帰りましょう」


 私はそれ以上何も言えませんでした。


「ぐぉおお!!!」


「おい、嘘だろ......」


 帰ろうとしたその直後、別の通路からゴブリンキングが3体現れました。


「ちくしょう、まだいやがったのか」


 カリブさんは再び剣を握りかけますが、うめき声を上げて出来ずにいました。

この状況でまともに動けるのは私だけ、一体どうすれば......。

あ、あの上にある岩を落とせば。

外れないで、お願い!


「ぐぁおお!」


 やった!


「カリブさん、カタリナさん、撤退しますよ。手を貸しますから、なるべく早く!」


 私たちは、命からがら洞窟を逃げ出すことに成功しました。

しかし、このクエストの失敗は勇者パーティーの評判を落とすきっかけとなってしまったのは言うまでもありません。

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