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第41話 シュン達一行、現実逃避する。視点、シュン

「シュンさんもしかして、窮地に立たされると生存本能が高まるというやつなんですか?」


 ミリアさmmはフォローのつもりで言葉を投げかける。


「いや、もう平気だからそのことは忘れてくれ」


 俺は3人の冷ややかな視線を無視して、周りの大群をどうするか考えを巡らした。


「シュエリーさん、コンボ技ってやつ今使えるんじゃないか?」


「そうね、それしかできそうなのはないわ」


 そう応えるシュエリーはミリアに作戦を伝えた。


「わかりました。私とカリナさんであそこに追い込めばいいんですね?」


 ミリアさんは素直に頷くが、カリナさんはシュエリーさんの傍から離れようとしない。


「はぁ、後で甘えさせてあげるから行ってちょうだい」


 カリナさんはシュエリーさんからそういわれると、素早くミリアさんの後を追った。


「カリナさん、ポーションどうぞ」


 俺は彼女に回復薬を投げ渡し、様子を見守った。


__数分後__


 2人がゴブリンキングを誘導するのを見ていると、隣で地面に魔法陣を展開しているシュエリーさんに話しかけられる。


「シュン! そういえばなんで私たち掴んだのに、洞窟から脱出しなかったの?」


「あ、そういえばそうだね。あはは」


 巣穴に転移魔法があるっていわれて間違えてしまった。


「あははじゃないでしょう! あんたのせいでこんな事態になってるのよ!」


 魔法を発動中のため詰め寄られてはいないが、怒気の込められた声を浴びせられる。

言い返すこともできないぐらい俺に非がある。


「お二人とも! もう少しで誘い込めます!」


 シュエリーさんの文句を延々聞き続け、ミリアさんの掛け声がなければもう少しで心が折れそうになった。

これでやっとプライマイゼロぐらいまで汚名を挽回できるかなぁ。

そう思っていると、ゴブリンキングの数体が魔法陣に侵入。


「ブラスト! さぁカタツムリ君、これはちゃんとやってよね!」


 シュエリーさんに変なあだ名をつけられ、危うくむせ返りそうになったがなんとか腕を構える。

海面から魚が跳ね上がるように数体の巨体が空中に飛ぶと、俺は凝縮したマナをそこへぶっ放した。

巨体は皮膚、骨と順番に消滅していき地上に投げ捨てられた石斧だけが残される。

へへっ、これで少しは文句が減るかな。

視線をシュエリーさんに向けてみたが、睨み返されてすぐに反らす。

流石に褒めてくれないと傷つくなぁ、ようやくみっともなくないことできたのに。

落ち込んでいると、遠くからミリアさんが2つの風船を揺らしながら走ってくる。


「シュンさ~ん! あれが大技ですか~! すごいですね!」


 あぁミリアさん!

君はなんて満面の笑みで褒めてくれるんだ。


「うわぁ!」


 しかし、彼女は数メートル手前で凹凸のない地面に躓く。

ミリアさんは戦闘モードの時は滅茶苦茶クールに見えるけど、気が抜けるとこうなる。


「シュエリーさん、私も...」


 彼女と戻ってきたカリナさんはシュエリーさんの前に来ると、無表情のまま腰を落とす。


「はいはい」


 顔色の変化はないが、頭を撫でられているカリナさんの耳は反応している様子。


「みんな浮かれすぎよ!」


 シュエリーさんが一喝すると和んだ空気はしまり、再び重たい雰囲気へと変貌した。

俺も含め、現実逃避をしたくなったのかもしれない。

さっき数体を倒したけど、状況を好転させることはない。

いくらブラストで敵を浮遊させて倒せたって、この数相手じゃ切りがないことを理解する。

引き付けた大群は再びこちらに進路を変え、迫ってきている。

あぁ、とうとう本格的に詰んでしまったかもしれない。

そう諦めかけるが...。


「転移魔法陣にいるゴブリンキングを倒せば、逃げれますけど...無理ですよねあの数は」


 カリナさんのその言葉によって、俺の頭は静電気に触れたような感覚を受ける。


「シュエリーさん! 聞きたいことがあるんだけど!」


 俺は彼女の両肩を掴み、鼻息を荒くして迫った。


「ちょっえ、何シュン...。もしかして、最後だからとかそういうあれ?」


 顔を赤らめるシュエリーさんに俺は間髪入れず喋りかける。


「転移魔法陣って魔法も通せるの?」


 その言葉にキョトンと顔を変化させた彼女は、何も言わず首を縦に振った。


「いけるってことだよね! よっしゃまだ希望は残ってるかもしれないよみんな!」


 喜びまくる俺を見て、3人はまた冷ややかな視線を向けてくる。

いいさ見てろ。今度は本当に挽回できるからな。

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