表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/122

第39話 シュエリー、カリナに悩まされる。視点、シュエリー

 やっぱりカリナは何か事情があるみたいね。

こんなに辛そうな顔して、誰にも打ち明けられない何かがあるんだ。

いくら攻撃してきたからといって、そんなの私は放っておかない。

でも、死体の山が数十はあるけどまだこんなにゴブリンキングがいるなんて。


 カリナの様子を見ると、力を出し尽くして立っているのもやっとみたい。

逃げようにも抱えながらじゃ追いつかれる。

戦うしかないけど…私1人でこの数を相手にするのは流石に…。

いや、何としなきゃいけないんだ。


「カリナ、あなたはやっぱ下がってて」


「嫌です。私はシュエリーさんにもしものことがあったら…」


 涙を拭いたカリナは鼻を啜りながらそう応えた。


「そう、じゃあ後ろを見ててくれる? 私が気づいていなければ教えてちょうだい」


 そういうと彼女は渋々頷き、少し後ろに下がった。

後退しながら「ごめんなさい」と何回もなんか呟いてるけど今は無視。

こっちに集中しないと。

私はカリナが十分距離をとったのを確認して、杖を構え直す。

倒さなくていい、奴らの動きが鈍ればその隙に逃げる。


「水のマナよ集え! ウォータールーム!」


 私は魔法陣を展開し、洞窟の壁や天井に触れるぐらいの巨大な水の塊を作り出した。

この中に群れが入れば、良ければ窒息してくれる。

悪くても動きが鈍って逃げれる。


「さぁ逃げましょうカリナ!」


 私が彼女の手を取り、走り出そうとしたその時。

ゴブリンキングたちは丸太のような手足で豪快に漕ぎ、軽々と水の部屋から飛び出た。


「えー! そんな身体して泳ぐの得意なんて聞いてないんだけどー!?」


 私は思わず目を丸くし、口を閉じるのを忘れた。

ショックで思考が止まっていた自分を正気に戻したのはカリナだった。


「シュエリーさん、ごめんなさい私。ごめんなさい、許されないのはわかっています。でも、ごめんな…んぐっ」


 私はまたしても涙ぐんだカリナに詰め寄られ、思わず彼女の口を手で塞いだ。


「カリナ! それはもうわかったから、この状況どうするか一緒に考えて!」


「あっ、ごめんなさい私また何か迷惑かけちゃったみたいで。本当にごめんなさい」


 あーダメだこりゃ。

カリナは完全に自責の念に駆られてる。

彼女の頭のネジも戻してあげないと、敵に対処するどころの問題じゃないわねまったく。


「ほらカリナ! 落ち着いて、もう許してるし大丈夫だから…ね! よしよし」


 私は彼女の身体を胸に埋め、頭を撫でた。

カリナって歳上よね?

なんで私が慰めてるのかしら?


「ふへへ。シュエリーしゅきぃ」


 しゅき?

あのカリナがそんなこというわけ…間違いよね?

私は胸に埋まっていたカリナの顔を持ち上げた。


「うわっ、めっちゃ蕩けた顔してるぅ!?」


 まさかこれって、幼児退行というやつ?

気を張りすぎて色々爆発してしまった感じかしら?

て、考察している場合じゃっなーい!

どうするのよ、さっきより状態悪化してるじゃない。

カリナ離れてくれないから杖を構えにくいし。

こんな感じでやられるなんてみっともなさすぎるわよ。

頭を抱えているとゴブリンキングは私たちを取り囲んだ。


「いやー!? もう終わり!? カリナ、やっぱ許さないから! あなたのせいよこれ! もう!」


「うわぁ、スピードまだ調節できないや! 2人とも、俺の手なんとか捕まえてくれ!」


 絶望する私の後方から突如、シュンが猛スピードでこちらに浮遊しながら接近してくる。


「シュン! あなた何で戻って」


 よく見ると、目を回したミリアさんも彼の腰にしがみついていた。

どういう訳か知らないけど、私はカリナの手を握りながらもう片方の腕でシュンを待ち構えた。


「よし、掴んだ!」


 シュンがそういうと、先ほどよりもさらに加速したスピードでゴブリンキングの群れを突破していく。


「シュエリーさんならきっと、カリナさんを助けに行くって思ったんだ」


 …シュン、あなたがこんなに頼りになるなんて思いもしなかったわ。


「シュエリーさん! その生暖かい目で見つめるのやめてくれない? 恥ずかしいのだけれど」


「あら、成長したわね〜と母親のような気持ちで見ていたんだけど迷惑かしら?」


「なんで俺より若いシュエリーさんにそんな目線向けられなきゃいけないんだよまったく」


「まぁたしかに一理あるわね。ここにも1人、歳相応じゃない感じになられてしまった子がいるのよね」


「シュンさん、先程は殺そうとしてしまい申し訳ございませんでした。事情は後でお話しします」


 カリナの方を見ると、さっきの溶けた顔はすっかり消えいつものキリッとした姿に戻っていた。


「え? 誰のことシュエリーさん」


「あははー、いいわよもう。はぁ」


 さっきの幼児になったカリナ、2人にも見せたかったけどもう無理そうね。


「シュンさん、この先にゴブリンキングを転移して呼び寄せている魔法陣があるはずです。その魔法陣を破壊すれば、もう奴らは増えません」


 さっきそれいって欲しかったんだけどね。

私がジト目で彼女を見つめると、照れて顔を晒した。


「わかった! そこまでかっ飛ばすよ!」


 シュンはそういうと、私たち3人を抱えているにも関わらず更にスピードを付けて飛行した。

まぁとりあえず、ピンチは逃れたからよしとしますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ