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第17話 盗賊退治のクエストを受けた。視点、シュン

 俺とシュエリーさんは、最近出没する盗賊集団を捕まえるため山道を進んでいた。

貧乏貴族の俺は彼女に頼まれ、一頭しかいない馬と馬車を親から何とか貸してもらった。

彼女の作戦では、儲かっている旅商人というフリをして賊を誘き寄せるのだとか。

それはいいんだ...。


「なんで俺が馬車引きで、シュエリーさんが馬車にいるんだよ!」


 曲がりなりにも俺も貴族なんだけど?


「えぇ? だって今の私は金持ちの旅商人なんですものおほほ」


 シュエリーさん、フリなのに楽しみやがって。

結局また、カリブの時のも演技だったんじゃないかクソ。


「ちょっと、もう少しスピード落としてくださる? 揺れててくつろげないじゃないですわ〜おほほ」


 俺は苛立ちながらも馬を引いて速度を落とした。


「うるさいなぁもう、大体なんで盗賊を捕まえるクエストなの? ほとんどの冒険者はモンスター退治なのに、こんな」


「それはあなたの魔法が...敵よ!」


「え!?」


 苦しみを少しでもわかってもらおうと、馬車を引いている間愚痴を垂らし続けてやろうとしたその時だ。

シュエリーさんは馬車の上に身を乗り出し、降ってくる落石を水の魔法で逸らした。


「かかれ! あの女も捕えろ! ヒャッハーー!!!」


 モヒカンのいかにも悪人ですという面構えの盗賊たちが、緩い斜面の崖からこちらへ向かってくる。

俺は急いで馬車を止めると、シュエリーさんの横に着いた。


「シュエリーさん、俺はどうすれば?」


「そうね、合図したら私のMP回復をお願い」


 杖を構える彼女は、こちらに視線を逸らさず的確に指示を言い放った。


「わかった。頑張ってシュエリーさん」


 シュエリーさんは、先程防いだ落石を風と水の魔法を使って彼らが向かってくる前へ配置した。


「兄貴! なんか岩置かれちゃいましたけどヤバくねぇっすか?」


「あぁ? 何がだわからん」


「俺たちこのまま行ったら岩にぶつかるっすよ?」


「たしかに! 止まろう!!」


「いや無理っす! 馬がこんな斜面で急に止まる訳ないじゃないっすか!」


「え? それってつまり...」


「オワタですね兄貴! グッドラックっす!」


「馬鹿すぎねぇか俺ら?」


 盗賊たちは、そのまま勢いを殺すことができず岩に衝突した。

馬から投げ飛ばされ、宙を飛んだ彼らの身体をシュエリーさんは水の魔法で捕まえた。


「やったわねシュン、これでアジトの情報が聞き出せるわよ! おほほ!」


 俺はいつでもMPを回復させられるように彼女の肩に手を置いていたが、どうやら今回は使わなくていいようだ。

というか今回といわず、まじでシュエリーさん強すぎて俺要らなくね?

なんか勇者パーティーにいたときより無能感というか役に立ってない感があるぞこれ。


「さ、彼らを捕まえて今夜は野営しましょう!」


「お、おう」

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