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第15話 シュン、カリブと再会する。視点、シュン

 俺は先日、シュエリーさんによって無理矢理パーティーを組まされた。

それだけならいいけど、まさか1000万ジェニーもの借金を負わされる羽目になるとは。

そこまでして俺をパーティーに入れたい理由はなんなのだろうか。

その疑問を解決するためにも、今日はギルドのある集会所へ俺は来ている。

彼女が一緒にクエストを探そうと言い出したからだ。

あぁ不安だなぁ。

魔法が発動できない俺にCランクのシュエリーさんが受けられるクエストをこなせるとは思えない。


「やぁ、早いわね。待ったかしら?」


 シュエリーさんはフードを取り、俺に声をかけた。

まったく、自分から予定を決めたのに遅刻するなんて。

この前を歩く小柄な背中は、自分勝手というかマイペースである。

その自由さに今後のパーティーでのトラブルが一瞬頭をよぎるが、借金がある以上俺に選択肢はない。

俺が深くため息をついたのに見向きもせず、挨拶早々にシュエリーさんは集会所の中へと入っていく。

追いかけるように後ろを歩くと、彼女の小さな背にぶつかった。


「ご、ごめん」


 彼女が急に止まったことが原因であると内心思いながらも、反射的にそう言ってしまった。

何か文句が出るのではと彼女の後ろ姿を見ながら考えていると、奥から舌打ちが聞こえる。


「ちょっと、前見て歩いてくださる?」


 シュエリーさんが話しかけている男のあの頬の傷、見覚えがある。


「あぁ? 見てたぜ、問題があるのはそっちだろ?」


 彼女の前でカリブが声を荒げていた。


「はぁ!? こっちは避けたでしょ? あなたが避けたほうにわざわざ動いたんじゃない」


「お、そこにいるのは誰かと思えば無能のシュンじゃないか」


 やばい、気づかれた。

カリブは目の前の小柄なシュエリーさんを荒っぽくどかして距離を詰める。


「ふざけるんじゃないわよ。無視したあげくに暴力を振るうなんて」


 どかされてよろめいた彼女をカタリナさんがそっと支えた。


「ごめんなさい、カリブ様は少々気が立っているので」


 俺は彼女が倒れなかったことに安心しつつ、ミリアさんがいないことに気づく。


「ブス! ふざけたこと抜かしてんじゃねぇ!」


 カリブはカタリナさんの頬を叩いた。

俺がいない間にカリブの彼女への扱いが悪化したらしい。

今更ながら、パーティーを抜けたことに罪悪感が芽生えた。

彼はまたしても舌打ちをし、こちらに顔を戻す。


「お前さぁ、今何してんの?」


 突拍子もない質問に思わず後ずさるが、鋭い目つきでこちらを見るカリブに俺は素早く答えた。


「今はまぁ、シュエリーさんとパーティーを組んでいるよ。

これからクエストを探そうかなぁって思ってたところさ」


「ふん、無能のお前にはピッタリだな。

このガキ、Cランクってことは村人冒険者だろ? 魔法の使えないお前にはこんな弱い仲間しか作れないんだろうな」


「いや、シュエリーさんは別に弱くはないよ。最近だって貴族2人相手に勝ってたし」


 俺がそういうとシュエリーさんは頬を紅潮させ、「ふっふーん」と鼻息を吐いた。

それに対し、カリブは腹を抱え笑い上げる。


「お前面白いジョーク吐けるようになったんだなぁ。

もしかして、パーティーを辞めさせられてから芸人にでもなったのか?」


「カリブ、話があるんだろ。

そういう煽りはいいから」


「少しは秀でたものが出来たと思ったが、どうやら芸人の才もないようだ。

そんな能無しのお前にもう一度チャンスをやるよ」


「チャンス?」


「あぁ、もう一度勇者パーティーに戻れ」


「はぁ!? シュンは私とパーティーをく...んぐ」


「いいぞカタリナ、そのガキの口少し塞いどけ」


「すいません」


 カタリナさんは申し訳なさそうにシュエリーさんの口を手で塞いだ。

一体何故、カリブは抜けさせた俺を戻そうとしているのだろうか?

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