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第12話 シュン、星を破壊する。視点、シュエリー

—少し前—


「シュエリーさん、危ないから下がってて」


 なんで私の股下から来たのかしらこの人。

いや、そのことは今は忘れましょう。

私は頬を伝う雫を拭った。

威勢良く勝負に乗って何もできずに助けられちゃった。

もうパーティーは無理ね。

私って本当に中途半端な力しかない。

てっ、何一人で反省会してるの!

命の危機だっていうのに。


—現在—


「いいんだシュエリーさん。あいつの言っていることは事実だから」


「え!? 本当にFランクなの? なんでもっと先に......」


「おまけにな、こいつは勇者パーティーにいたといってもMP回復と雑用だけ! 魔法の一つも発動できない雑魚なんだよ!」


 いってたぁぁぁ。

ずっと弱いって言ってたぁぁ。

私今だけじゃなく過去の行動からも時限爆弾起動させちゃってるのこれ?

どうすればいいのよ、相手は上級ファイターよ。

もうなんか自分が嫌になるわ。

て、また反省会している場合じゃないって!


「落ち着いてシュエリーさん、俺がなんとかしてみせるから」


 慌てる私に落ち着いた表情でシュンは宥める。


「差し詰め、お前の身体が目当てだったんだろうぜぇシュエリーちゃん。酷い男だよなぁ、騙して◯リ捨てしようとかクズすぎるよな。ま、そんな男捕まえたシュエリーちゃんも見る目がな......」


「シュン! あなたはなんでそう慌てずにいられるのよ。

考えてみなさいよ、私じゃあのチビに勝てない。

あなただって無理でしょ?

絶望的じゃない?

こうなれば私の色仕掛けで相手の目を向けさせるってのはどう?

その隙にミエリー達を連れて逃げてちょうだい」


「話を聞けゴミども!!!」


 私が慌ててシュンに作戦を伝え、服をはだけさせているとスマインが大変激怒していた。

あれぇ、なんで怒っているの?

もしかして私の身体が幼児体型だから??

ボインがタイプだったってこと?

やばい、スマインのあの怒りようじゃ逃げる暇なんて。


「そんなことしなくていいからシュエリーさん。俺に任せて、あと服着て」


 私より弱いって自分で言ったくせに、かなり強気ね。

もしかして、カッコつけてる?


「ふん、本当にやる気か勇者パーティー元お荷物さんよぉ」


 スマインがそういうとシュンは鋭く眉を寄せて睨みつけた。


「あぁ、俺は誰より弱いよ。

Fランクも勇者パーティーのお荷物も全部あんたの言う通りさ。

だけど、それは結果であって原因ではないんだ」


 原因ではないってどういうことなの?

弱いのは、魔法を発動できないのは何か理由があるってことなのかしら?

あれ、そういえば発動できないと言ったけどさっきは私を守って何か発動させてたじゃない。


「言い訳は見苦しいぞ雑魚。もう興が削がれたぜ。お前らまとめて血祭りにしてやる!」


 スマインが再び炎と風の魔法陣を展開したその直後だった。

今度ははっきり見える。

シュンが腕を天高くに突き出したかと思えば数秒で、空がまた青くなった。

そう、さっきもこの魔法を発動させていた。

私は今度はちゃんと捉えることができ、光の柱を追った。


「嘘、なんて威力なの?」


「お、おい! やっぱりお前の魔法だったのか!?」


 私とスマイン、敵同士でありながら多分同じことに驚いてるはず。

星が、木っ端微塵に消滅した。

目を点にしてその光景を眺めていると、塵となった星の破片が彗星となり空を流れる。

理解できない状況に口をあんぐりさせられていると、シュンは至って冷静に話し始めた。


「俺、これ以上威力を下げられないんだ。だから、覚悟して。

あ、でも上級ファイターのあなたなら耐えられるのかな」


 シュンの天に構えていた腕は、そのままスマインに標準を合わせた。


「ま、待ってくれ! 少し落ち着けってなぁ、俺ら同じ貴族だろ?」


「同じ貴族だからって、シュエリーさんやミエリーちゃんたちを傷つけて許されると思っているの?」


 私が接してきたシュンのどの顔とも違う。

瞳孔が開ききって、怒らせるとこんなに怖いのね。

私よく今まで死なずにいたわね。

結構酷いことした気がするけど、危なかったぁ。


「ま、待って! 本当に、あぁごめんなしゃい! もう2度と悪いことしないので許してくだしゃい! ねぇ、お願いだからぁ! 待っ......」


 スマインは先程までの威勢は嘘のように消え、尿や涙、鼻水が滝のように溢れ出した。

シュンはスマインが目を瞑ったのを確認すると、再び空に腕を向けて魔法を発動させる。


「あはぁ、助かっだぁ」


 ショックが大きかったのか、スマインは白目を向けてその場で気絶して倒れる。

私は殺そうとしてきた相手ながら、同情して思わず胸を撫で下ろした。

座り込む私の方を振り向き、シュンは笑顔で話しかける。


「シュエリーさんの真似して演技してみたんだけど、上手くいったね!」


「え、演技!? どこからが演技なの?

もうわからないわよ! というかこっちみないで!」


 私も一幕が終わり安心したせいか、下着が少し濡れてしまった。

乾くまで立てない、うぅ。

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