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第1話 パーティー追放。視点シュン

「シュン、お前は今日限りでパーティーを抜けてもらう!」


 暗い森の中、津波のように声が響く。

俺の前で見下ろすような視線を向ける声の主、カリブはそう発した。


「なんでいきなりそんなこと......」

突然のクビ宣告に決まり文句のようなセリフが漏れた。

動揺する俺に彼はそんなこともわからないのかと、ため息交じりに話しを続ける。


「MP回復や荷物持ちとか雑用、色々やっているじゃないか」


 俺は戦闘で前面に出ることはできないが、それでもまったく貢献していないわけではない。

いくらカリブがリーダーで決定権があるからといって、今回は流石に酷すぎる。


「MP回復だとぉ? そんなのアイテムで十分なんだよ! 今まではパーティーに身分の低い者を入れたくなかったから仕方なくお前をパーティーに入れていたがもう限界だ。お前はクビ! このパーティーには別の奴を入れる」


「お、俺のことをアイテム以下だって言いたいのかカリブ!」


 そう発言すると、カリブは突如勢いよく俺を突き飛ばした。

尻もちをつく俺を鼻で笑いながら彼は話した。


「アイテム以下? 違うな、お前はゴミ以下だ! 同じ勇者族でありながら魔法の1つも発動できない。ただMPが人より少し多いだけの無能だ。

お前みたいなゴミ以下の人間が俺と同じ血が少しでも混じっていると思うと気分が悪いぜ」


 この世界の魔法は人類が誕生してから数千年後、火・土・風・水・光・闇の6属性に分類される。

しかし、俺の魔法はどれにも属しておらずただマナを放出することしかできない。

マナを放出することは訳あってできず、俺はMP供給を主な役割としている。

なので、ギルドのランク制度では貴族階級でありながらFランクとなっている。

カリブは俺のことをFランクでもパーティーに入れてくれたから、他の奴とは違うと思っていたが、どうやら人数合わせだったらしい。


「わかった、そこまで言うなら抜けるよ。数か月の付き合いだけどさよなら」


 ここでどれだけ残りたいと説得してもカリブの答えは変わらないだろう。

世の中にはどう頑張っても分かり合えない相手というのがいる。

仮に説得出来ても、居心地の悪いパーティーになるに違いない。


「「カリブ様、シュンさん大丈夫ですか!!!」」


 先ほどのカリブの声で眠っていたはずのカタリナさんとミリアさんが、額に汗を垂らしながら駆けつけてきた。

俺は2人の横を作った笑みで通り抜ける。


「ごめんねミリアさん、パーティーを抜けるんだ」


 ミリアさんはショックで声を発せなかったようだ。

カタリナさんは状況を察したのか、申し訳なさそうにこちらに小さく謝る。

頭を下げる凛々しい顔立ちの彼女に、俺も少し遅れて反応した。

そして俺はカタリナさんに、カリブに聞こえないほどの小さな声で頼み事をした。


「カタリナさん、ミリアさんのこと頼みました」


「カリブ様が本当に申し訳ございません。ミリアさんのことは私がなんとか守ります」


 こうして俺は、パーティーを抜けさせられギルドのある町へと戻った。

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