Part.1 (1)
読者の皆様はじめまして。作者の川瀬です。
筆が遅く、なかなか話が進展しない当小説でございますが、少しでも気になったことがあればお気軽に感想くださいませ。参考にさせていただこうと思います。
それではどうぞよろしく。
朝、俺は無機質な電子音によって意識を呼び戻された。
ベッドの横に隣接する学習机の上から、それを手探りで取り上げる。
七時半。
この時刻を今俺が認識しているということはどうやら遅刻はしないで済みそうだ。
俺はそのままそれを左腕へとはめ、掛け布団を足でけり上げ、しっかりとしない足取りで廊下を伝い、トイレに行った後、洗面所へ向かった。
鏡を覗き込むとうつろな顔。休み明けだってのにどうしたんだよ、俺。こんなんじゃ、今週もたねえぞ。
俺は蛇口から出る水を手で受け、それを豪快に顔へとぶつけ、両手でほほをたたいた。
寝ぐせのついた髪をくしで適当にとかし、整髪料を付けて全体的に適当なはねをつけた。
家着兼寝巻を制服に着替える。
カーテンの閉まったリビングは薄暗く、キッチンの上には昨日夜に買っておいた食パンが置いてある。
食パンをトースターに放り込み、カーテンを開け、テレビをつけた。
いつも見ている朝の情報番組で天気予報を見ようとしたのだが、すでにそのコーナーは終わってしまったらしい。仕方ないので、俺はウインドウを開き天気予報のページへとび、この地域の降水確率を確認した。
「午前、午後とも0%です」と表示と共に音声が流れる。降らないに越したことはない。
そうしているとトースターがチンッと鳴った。焼きすぎて表面がパリパリとした食パンを水で流しこみ、玄関になげてあるカバンを拾って、アパートを出た。
家から学校まで川を挟んで徒歩十五分。朝のホームルームのチャイムが鳴っている間に俺は自分の席に腰を下ろす。
俺の席は窓際の一番後ろ。日当たり良好、ステルス性抜群、先生の居眠り発見者索敵レーダー網にも引っかかりづらいというベストポジション。一学期最初の席替えでこの席を手にできたのは非常にラッキーだった。といってもうちの学校じゃどうもこういう黒板から遠い席は人気がないようで、競争率は低く、余った席をあてがわれただけなのだが……
今日のホームルームも特に筆記する必要性もない事柄で、先生が事務的に欠席者を確認するぐらいだった。
「おい、一時限は物理で理科室だぜ」
机に突っ伏していた俺に光成が話しかけてきた。
「わかってるよ」
俺は筆箱をカバンから取り出し、この重たい体をひきづり後ろのロッカーまで行き、教科書を取り出し理科室に向かった。
理科室について席に腰を下ろす。
「この前出した課題集めるぞ、後ろの人集めて」
席の後ろの生徒が前に向かって課題のプリントを集めながら歩いてくる。
「望月くん、課題は?」俺の横にやってきた牧瀬は後ろからかき集めたプリントの束を手に、両手を頭の後ろで組み椅子の背に寝そべり天井を見つめていた俺の顔を覗き込んだ。
クルクルとカールのかかった彼女の髪の毛が俺の視界に横たわる。
俺は振りかぶって体勢を元に戻し、彼女から顔をそむけ右手を横に振った。
「もう、ちゃんと出さないと去年の二の舞踏むよ」
やれやれ、といった感じで牧瀬は俺の席から離れていった。
「出してない人は必ず出すように」と先生は念を押して授業へと入った。どうせ出してない奴(俺を含む)は言われても学期末ギリギリにならないと出さないがな。ただ、まともに出してないのが俺以外に何人いるかは知らないが……光成は出したんだろうか?
俺は光成の座っている方に目を向けた。
光成はプリントを回収しに来た牧瀬が催促すると「えっ、今日だっけ? マジかよぉ、もういいどうでもいいわ」と彼女に告げた。
牧瀬は俺のときと同じような顔つきをして、光成のもとを離れていった。
自分と同じような人がいると安心することが普通はできるんだが、それが光成では同族意識が働くだけで、周囲に後れを取ってないという安心感は大して生まれてこないな。
授業はいつも通り先生の独り相撲で進んでいった。この授業では当てられることがないので、うわのそらでいても特に問題はないのである。俺は右手でペンを回しながら隣の校舎の軒下にできているツバメの巣を窓越しに見ていた。時々、親が戻ってきては子供に餌を与えては離れていった。
そうしてその光景を何度か見たところでチャイムが鳴った。すぐさま先生が授業の終わりを言い渡した。
俺はペンを筆箱に入れ、片手で教科書と一緒につかみ席を立ちあがった。
ああ、だるい、そして熱い。梅雨時の晴天は他の季節よりいっそう日差しがきつく感じられる。周りにはもう学ランを着ている生徒がいなくなっていた。夏服に変えると冬服との違和感を感じるのでいつもギリギリまで冬服を着ていたのだが、俺もそろそろ夏服に移行するか……
教室に帰った俺は学ランを脱いで椅子にかけた。シャツの襟を首元でつまんで上下にはたはたさせて空気を送り込む。
「望月、悪いちょっとお前のディノスで今日の時間割見せてくれよ」光成が俺の机に両手をついてそう言った。
「自分でみろよ」俺は言った。すると光成は、はあ、とため息をひとつして、
「いやぁな、この前から俺のは調子が悪いんだよ。たぶんこの前河川敷あたりでジャミングを食らったんだが、そんときにウイルスにでもやられたんじゃねぇかな」
「それはついてないな。分かった、いま出すから」
俺は左の手首のディノスを起動させ、うちの学校のサイトから今週の時間割を表示し、光成の前にかざしてやった。
「次は古典か……。午後はしょっぱなから数学かよ。もういい、ありがとよ」
俺はディノスのウインドウを閉じ、シャットダウンした。
『Display Information of the Space』の略である『ディノス(Dinos)』。空間上に存在する情報を表示するデバイスだ。一世代前に横行していたらしい携帯電話というものにとって変わったツールだ。腕につけて起動ボタンを押せば、空間上にホログラムが表示される。デスクトップには各ツールへのショートカットと時計が表示されている。カスタムすることもできるので、女子のデスクトップはところ狭しと友達と写ったピクチャなどが貼り付けられていて、大変なことになっているのをよく見る。ちなみに、デスクトップなどの呼び方は、以前まだモニターで据え置きだったころの名残だとか。小学校の社会で年をとった先生が「昔は据え置きだったから、外で気軽に使えるなんて便利になった」なんて言ってたような気がする。
うちのクラスでディノスを持っていない奴は二、三人しかおらず。ほとんどが便利ツールとして愛用している。
「それにしたって河川敷辺りでジャミングを受けただって?」
「麻美に遅くなるからって連絡をしようと思ったんだけどな。通信状態が全然悪くてまともに会話できなかったんだよ」
「あそこのサーバーもハックされたのか?」
「最近、夜中にあそこでたむろってる連中がいるのを見るしな、ちょと前に駅の裏あたりがダメになったかと思えば今度はこっちかよ」
光成はそう言いながら、自分のディノスの起動ボタンを何度も押していた。
「ダメだ。全然起動しねえ。もう修理に出すしかねえのかなぁ」
そう言って、ディノスを腕から外して自分のカバンに投げ込んだ。
「出したら二週間近く妹が、また、うるさくなるだろうな」俺は微笑しながら彼に言った。
「全くだぜ。前に修理出して連絡が取れなくなった時、俺が夜遅くに帰るとよ、すげぇわめかれたんだから。連絡とれないんなら早く帰ってきてよね、だとよ。どこまで保護者ぶってんだか。朝はたたき起こされるしなぁ」
「それはお前が自分で起きないからだろ」
「ほっといてくれてもいいんだぜ。俺は遅刻でもかまわねえし」
「んなこと言うもんじゃねえぜ、ほらセンコウのお出ましだ」
「おお、やべえやべえ」光成は席についてカバンから古典の教科書をとりだした。
俺も急いで後ろのロッカーに行き、さっきの物理の教科書と引き換えに古典の教科書を取り出し席へと戻った。
「今日は、このワークノート持ってこいって言ったぞ。持ってない奴は見せてもらえ」
あぁ、持ってきてねぇ……。
その一時間、俺は隣の光成にワークを見せてもらいながら授業を受けた。
授業が終わって、
「お前結構こういう忘れ物はないよな」と光成に聞いた。
光成は得意そうに
「俺は、ワークとかああいう副読本は全部後ろのロッカーに入れてんだよ。だから言われてからとりに言ったろ。どうせ家では勉強しねえし。その代りそれでロッカーがいっぱいになっちまうからお前みたいに教科書までは入れられないけどな」
「おい、最後のは皮肉か?」
光成はニヤリとこちらを振り返って、
「いいや、そんなつもりじゃないけどな」と言い捨てた。
俺は、副読本は全て家において、教科書をここにおいてるからな。光成みたいに逆にするか? でもカバンが重くなるのは勘弁だな。
その後三、四時限も終わり、昼休憩。教室で机をくっつけて弁当を広げる女子や、食堂へ食べにいく連中がいるなか、俺は売店でパンを買い、自分の席で家で沸かしたお茶と一緒に流し込む。いつもどうりだ。しかし、隣の光成を見てみると男子の弁当とは思えないほどの色鮮やかなお弁当。ミニハンバーグに刺さっている爪楊枝の後ろがパンダの形になっていてとてもかわいらしい。
「最近は菓子パンよりそちらがお好みで?」俺は問うた。
「分かってるくせに」と光成が顔を伏せて言う。
「また、最近は凝りだしたな」
「味がましになったのはいいが、こんな中身じゃなぁ……」
「ああ、去年あたりはひどい味だった」
「他人のお前が言うんじゃねえ。ま、事実食えたもんじゃない日もあったがな」
それを聞いて俺は思いだした。光成はその食えたもんじゃない弁当を俺に食わせようとしたことがある。あの時一口食べたが、その嫌な余韻が五時限目の授業になっても残ったのを思い出す。
「お前、あの弁当俺に食わせただろ。昼飯代が浮くと思って初めは喜んだけどよ……あの時は妹さんを呪ったぜ」
すると光成は豪快に笑いだした。
「アハハ、そうそう、そうだったな。あの時のお前の顔ったら……ククッ」と言ったきり、口に手を当てて下を向いてしまった。
「おい、そこまではまることないだろ」
「……悪りぃ、悪りぃ、その事を家に帰って文句ついでに麻美に言ったら、ひどくすねてな。それから数日間弁当の代わりにお金を渡されるようになったんだよ。値ははってもうちの学食はおいしいからな。あれはあれで良かったな」
「俺も奮発して学食にしようかな」
俺はそう呟いて味気ないパンを口に押し込んだ。
昼食を終えて俺は屋上へと向かった。
屋上には基本誰もいない。だから俺はここを選ぶ。
壁に腰掛けて青空を見上げる。こうやって冴えない男たちが机に突っ伏して寝、死んでしまっている教室から逃避しているのだ。
今日は雲が少ない。天井にぽっかりと大きな穴があいている。ツバメが一羽通り過ぎて行った。
俺は立ち上がり、フェンスの外のグラウンドを見た。端っこで野球部が素振りをしている。ご苦労なことである。去年は一回戦負けだったが今年はもう少し頑張ってほしいものだ。といっても新入部員が三人では難しいだろうな。
彼らに幸運が訪れることを願って、また、元の位置に腰をかけた。
俺は目を閉じた。寝てしまおうかと思った。寝て知らぬまに放課後になってしまえばいいのに。本当に退屈だ。
風に吹かれながら、そんなことを思っていた。そしていくらかたった。チャイムはとっくのとうに鳴ってしまっていた。
扉のきしむ音が聞こえた。
屋上には俺以外普段こないのに含め、今は授業中である。
俺は目を開け、自分の入ってきた扉の方を見た。
黒く長い髪。それが屋内へと消えていった。
誰かが立ち去っていったようだった。ただ、顔は確認できなかった。印象に残っているのは黒くてきれいに揃い流れるように空を切っていた髪の毛。
学校の女子全員を知ってるわけじゃないけど、あんな髪は見たことない。
俺はその一瞬の光景が頭について離れなかった。
少ししてチャイムが鳴った。
俺はディノスを起動して時刻を確認した。
五時限目の数学が終わったようだ。たぶん光成が望月は保健室行ってますとうまいこと先生に言ってくれているだろう。しかしさすがに二時限続けてでは怪しまれるだろうな。
俺は腰を上げ、さっきの何者かが開けっ放しにした扉を閉めて、教室へと帰っていった。
教室に帰り、席に着くと当然のように光成が聞いてきた。
「おい、どこ行ってた。また屋上か?」
「悪い、ちょっと寝ちまって」
「あんまり頻度が多くなるとこっちもフォローしきれねえよ」
「わかってるよ」
午後の授業が終わり放課後になった。
俺はカバンを肩で担ぎ教室を出た。後ろから背中をどんと平手で叩かれた。
「俺も帰るわ。ただ、少し付き合ってくれよ」
光成はそういって俺の前を歩き始めた。
校門を出てから彼は言った。
「河川敷のサーバーだな」
「え?」
「河川敷のサーバーだよ。あそこがたぶんやられてるんだ。今日はそれを確かめに行く」
「あの橋の下にあるやつか。朝、通ってくる時は特につけてなかったから気づかなかったけど」
「お前、セキュリティは更新したか?」
「昨日定期更新でしたばかりだがどうした?」
「なら今からネットへ繋げ。おそらくそこへ近づけば近づくほど通信状態が悪くなるはずだ。昨日更新したならウイルスはたぶん大丈夫だ」
「俺も通るとこだしな、今から繋ぐ」
俺はディノスでネットへと繋いだ。歩くと今いる場所にある情報がウインドウに表示される。右上の通信状態を示す指数は良好。特に問題はない。
光成の家は俺と同じように学校と川を挟んでいる。ただ、橋を渡ってからは俺とは反対側だ。俺も橋を通っているため、もしあそこに問題があるなら俺のディノスもいつダメになってもおかしくはない。
住宅街を抜けて、河川敷に差し掛かったころから通信状態が悪くなってきた。さっきから途切れ途切れだ。
「だいぶ悪くなってきたぞ」
「もう橋が見えるとダメか」
俺たちは橋に向かってさらに進んでいった。橋まで百メートルあたりのところまで来たところで『Can't communicate』と表示が出た。ウインドウはそれだけをしか表示されなくなった。
「完全に途絶えた」
「やはりここか」
光成は橋の下を目指して夕陽を受けて輝く河川敷の土手を下り始めた。
俺も後に続いた。
橋の下に着いた時、ウインドウさえもが突然に閉じてしまった。
先についた光成が設営されたサーバーのウインドウを開こうとボタンを押していた。
「とりあえず、通話の機能がつかえるかどうか試してみよう」
そういって光成は立ち上がったウインドウから通話のアイコンをタッチした。
「お前のアドレスってどうだっけ?」
俺はアドレスを表示し、光成に見せた。
「いまから認識させるぞ」
光成は俺のアドレスを口頭で読み上げた。
もしサーバーが正常なら俺のディノスがコールを受け取り、通話がこのサーバーと通話状態になるはずだ。
サーバーは「しばらくお待ちください」と表示していたが、その後いきなり落ちてしまった。
「くそっ! ダメか」
光成は右足でサーバーの設置されている支柱を蹴った。
その後、いくらボタンを押そうともサーバーは動かなくなってしまった。
「またハッカーたちにやられたのか」
「この街の半分程度がすでにこんな感じだ。そのうち、俺たちの家や学校でも使えなくなるかもしれない」光成は頭を手でかきむしりながら橋の支柱を背にして座り込んだ。
頭上を電車が通り、数秒間大きな金属音が鳴り響いた。
鳴り終わると光成は立ち上がって言った。
「ディノス壊れたから連絡できないし、はやく帰んないと麻美がうるさい。憂さ晴らしに遊んでいたいがもう俺は帰るよ」
肩を落として光成は橋の上へと上がっていった。
俺はその後、本当にダメなのかとボタンを何度も押したり、自分のディノスでネットに接続するのを何度か試してみた。しかし、なんどやっても変化はひとつも起こらなかった。
さっきまで出ていた日が沈み橋の下ともあって暗くなっていた。
あきらめて帰ろうと思い、橋の下から出ようと思った。しかし、その前方から何人かこちらに向かってくるのが分かった。この時刻、そしてこの場所だ。もしや……
俺はすぐに引き返し反対側から橋の下を出た。そして気づかれない様にうかがった。
そこには五人の若者、学生服を着ている。俺たちとは違う。おそらく南高の奴らだ。
「今日の集会最悪だったぜ。あのクソ校長がずっと話しやがるから足がもう棒になったかと――」
「だよな、いつか学校近くもハックしてあいつにもひと泡吹かせたいぜ。どうだ、手始めに今日はどんなのを作る?」
橋の下には崩れ落ちた橋脚のコンクリートや、誰かが捨てていった段ボールなどが散乱しているが、彼らはそれぞれ思い思いにそれらに腰をかけていた。
「じゃあ、今までは壊すだけだったけどよ。今度は壊れるときに爆弾とメッセージを表示しねえか?」
「よし、ならさっそく作業に取り掛かろうぜ」
そういうと、五人は自分たちのディノスから見たことのないアプリケーションソフトを起動させ、なにやら作業を始めた。
こいつらだ。このサーバーをハックしたハッカーはこいつらだ。
光成のディノスはこいつらによって作られたウイルスにあたって壊れたようだ。
本当ならすぐにでも抗議をしたいが、こちらは一人。手は出せない。
俺は彼らに気づかれないように立ち去ろうと体をひるがえした。
突然、俺は両肩を掴まれた。
そしてかなりの力で壁に押し付けられた。
背中に強い圧力がかかる。
くそ、捕まったか。
俺は反射的に相手の腕を右手で掴んだ。
しかし、その腕は細く、男のものとは思えなかった。意識してみれば俺の肩を掴む手もそんなに大きくはない。
暗くて相手の顔はよく見えない。
「静かにして」
透きとおった声。明らかに女だ。そして、おそらく若い。
俺はてっきりハッカー連中に捕まったものだと思っていたものだから、事態の急変に動揺し声を失った。
「明日、話がある。それまで自分ひとりで彼らに手を出すようなマネはしないこと」
俺の顔の前でそう言っている。唇の動きだけが暗い中でわずかに感知できた。
生温かい吐息が俺の首元にかかる。
「わかった?」と一言。まるで大人が子供に諭すように――
俺は右手で掴んでいたその細腕を放した。
それが応答になったのだろうか目の前の女は俺の肩から手を放し橋の上へと歩いて行った。
あっけにとられていた俺だが、すぐに我に返り、後を追った。
土手に生えている草を掴みながら、とにかく急いで上へと出た。
しかし、橋の上に出てみると周りには誰もいなかった。ただ、橋の下のハッカーたちの陽気な笑い声だけが聞こえる。
今のは一体……
空にはもう星がちらつき始めていた。