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雪月花 Ⅱ

作者:仙田洋子
 高見沢春子三十九歳。会社員として働きながら、俳壇でも活躍中だ。二足の草鞋を履きこなし、傍目には何不足なく見える彼女にも悩みがある。 同世代の俳人は次々と結社の主宰となり、弟子の指導で俳句に恩返ししているが、マイペースで忍耐力のない春子は、俳句を作ることは好きでも、結社で弟子を教えるなどということには全く興味を持てない。そういう自分はエゴイスティックなのかと後ろめたさを感じていた。 そんな折、カルチャーセンターから俳句教室講師の依頼があった。カルチャーで教えるだけならば結社を運営するより遙かに気楽だ。新しい才能を育てられるかも知れないと即座に引き受けたが、やる気のない生徒達にキレた春子は、生徒の句の記された清記用紙を破り捨ててしまった。教室は崩壊し、春子はクビになったが、春子の厳しい指導に惚れ込んだ五人の生徒に頼まれて個人的に教えることになった 当初、才能なく春子をうんざりさせた五人だったが、禅寺での花見吟行句会で心の悲しみを詠んだ秀句が見られるようになり、変貌していく。春子も、五人がつらさや切なさを乗り越えて生きるための杖として俳句にすがり純粋な気持で向かい合っていることを知り、辛抱強く教えようと決心した。
 一方、春子は見合いに失敗し、会社の仕事にも生きがいを感じられなかった。四十歳を前に、芭蕉の「つひに無能無芸にして只此一筋に繋る」のように俳句に賭けるしかないと、思いを強めるのだった。
 やがて五人の勧めで春子は「デネブ」という結社を立ち上げ、主宰となった。弟子も増え順調に発展していく「デネブ」だったが、最も熱心に結社を勧め、身を粉にして働いていた木村編集長が失踪し、「デネブ」を退会してしまう。
時ほぼ同じく、春子の未発表大作『桜八景』がAMIという若い美女によって勝手に『夜桜お七』と改題され、有力総合誌『俳句群像』新人賞を射止めた。春子は『俳句群像』の永山編集長に盗作だと抗議したが、AMIを広告塔としたい編集長に、未発表の『桜八景』をどうしてAMIが盗作できるのかと反論され、証拠のないことを理由に相手にされない。
だが、春子には思い当たるふしがあった。編集長を説得し、桜の名所の霊園でAMIと一対一で会うことになった。満開の桜に牡丹雪が降り、やがては月が昇るのでは、と思われる三月の夜。が、待ち合わせ場所に現われたのはAMIではなく思いがけない人物だった……。
2020/04/25 00:00
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