第6話 ユーリ 15歳の誕生日⑥
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本編に入る前に説明をする。ユーリたちがいる国の名前はアルセント王国。アルセント王国はユーリたちが存在する世界『カディオン』にある三つの大陸のうち中央大陸の東南から南を統治している。また、アルセント王国は西でドルクティス帝国と国境を挟んでいる。その帝国と向かい合う西に腰をおく貴族がスレイマン辺境伯。また、西には高ランクの魔物が多く存在するバール山脈がある。 ローグが収めるブレイゼル勇爵領は西南の街と広大な大地である。また、バール山脈とも近い。スレイマン辺境伯領の近くにあるバール山脈を上とするならば、ブレイゼル勇爵領に接する山脈は下となる。 王都は国の中央に位置している。
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父さんはアンリと母さんが落ち着くのをまち、落ち着いたのを確認した後、また話し出した。
「ユーリ、お前はゲキの子供でもあるが、俺の子供である。お前が俺の後継ぎとなるのは変わらない。」
「うん。わかってる。」
「それでだが、お前も貴族な訳だから、お前が旅をするに当たって渡さなければいけないものがある。」
父さんは俺に装飾の施された短剣を俺に渡した。
「これはお前が勇爵、、、お前の場合は次期公爵であることを証明する短剣だ。これがあればお前は勇爵家嫡男として身分を保障される。基本的に使って欲しくはないが、やむをえぬ場合はこれを使え。絶対になくすなよ。一応、これは短剣だから護身用としても使えはするが、耐久力はくそだ。それに国王陛下から下賜されたこの短剣を血で汚すのは貴族間では恥とされる。気を付けろ。」
俺は短剣を受け取り、これを持つ意味、重さに緊張しながらもしっかりとまっすぐに父さんをみて、うなずいた。
「よし、なら今日は解散だ。あ、明日は身の支度をして明後日にはもう家を出てもらうからな。」
「「 は? 」」
俺とレヴィア、アンリ、ランはその言葉に固まるのだった。
俺は自分の部屋に戻った。勇爵・・・父さんは帝国との戦争で一騎当千の活躍をしてその地位を得た。勇爵は王国建国以来2人しか選ばれていない。その2人目が父さん。確か1人目は300年前に選ばれて、でもその人は誰とも結ばれずに一代限りとなったんだっけ。 勇爵は建国以来の法律で定められてる制度で、1人で国を滅せるほどの強さを持つ人間を国と敵対させないために設けられた。今までにも国に貢献して爵位を賜った人はいたけど基本的に騎士爵か、準男爵。勇爵はその圧倒的な、桁外れな、誰も追随できないほどの強さを持つ故に他の貴族の下につけば国家転覆を目論むことが、それどころか事実できるだろうから、公爵と同じ地位が保障されている。貴族は上下関係が絶対だし、派閥なんてのもあるらしいから。ちなみにうちは派閥に入っているわけじゃないけど強いて言えばうちは王族派になる。父さんが王族派と公言しないのはしたらしたで王族派の中のしがらみが面倒くさいんだって。いちいちパーティとか出るのが嫌らしい。王侯貴族は上から王族>公爵・勇爵>侯爵・辺境伯>伯爵>子爵>男爵>準男爵・騎士爵。俺は父さんが引退したら公爵になるわけなんだよな。あくまで勇爵という称号は父さんのみが名乗ることが許されるんだよな。今までは俺は勇爵家の嫡男だったけど今日からブレイゼル公爵家時期当主になるわけか。はー、、、気合入れないとな。さて、明日は早く起きないといけないし、寝るか。
俺は明日に備えて寝た。疲れていたのかすぐに意識を失った。