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(仮題)太陽の戦士  作者: ヤンペエ
第1章 旅立ち
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第5話 ユーリ 15歳の誕生日⑤

大事な話になる故長くなります

「と、父さん・・・何言ってるんだよ。俺の父さんは父さんだろ?」

俺はそう言いつつ、母さんの方を見た。だけど母さんは下を向くだけで何も言わない。リュートさんやカーラさんも同様だ。いつもの母さんや彼らならばかじゃないのって怒るのに3人とも何も言わない。

「・・・父さん・・・俺は・・・父さんと母さんとの間に生まれた子供じゃないってこと・・・なんだ。」

「・・・そうだ。お前の本当の父親の名はゲキ。俺の兄だ。そして、お前の母親の名はシュナ。かつてアリアの従者をしていた女性だ。」

「ゲキ・・・シュナ・・・」

「今からお前がどうして俺たちの息子となったか、、、それを話す。アンリ、レヴィア、ラン、君たちも今は混乱していると思う。だけど聞いてほしい。」

アンリを見てみるとショックが大きのが顔から見て取れる。けれど、父さんの声でなんとか落ち着いて聞こうと姿勢を正した。・・・アンリはしっかりしているのに俺がずっと呆然としている訳にはいかないな。

「父さん、教えてくれ。俺の本当の両親に何があったのかを。」

「ああ。まず俺とアリアが、兄、ゲキがシュナさんと初めて出会った時まで話は遡る。あれは20年前のことだった・・・」



俺が15歳、兄が17歳だった時だ。俺たちは身よりがいなくてな、故郷の村の人とはあまり良い関係が気付けなかった。まあそれで居心地が悪くなって俺の成人を機に2人で旅立った。俺たちの村はこの国、アルセント王国の北東部の方にあって、俺と兄は王都に向かう為に北を迂回した。その道中、夜中に盗賊に襲われていた人たちがいたんだ。俺と兄は昔から強くてな、まあ強すぎたから村でも気味悪がられていたのはあるんだけど、、、まあそれはいい。とにかく俺たちで盗賊を討伐したんだ。その時襲われていたのがアリアとシュナさんだった。盗賊に不意打ちで夜襲を仕掛けられたせいか騎士達はほとんど亡くなっていた。故に俺たちが急遽護衛をかってでた。当時のアリア達は俺たちを警戒していたが背に腹は変えられないと思ったのかな、俺たちに護衛をさせることを許可した。それでもともと王都へ向かう旅路が西部のアリアの実家、、、スレイマン辺境伯家が納める領都に目的地が変わった。そのたびの途中で俺たちは少しずつ打ち解けあっていった。特にゲキとシュナさんは同い年だからか、お互い意識しあうようになった。まあそれで俺たちは領都についた。名をウォールゲート。そこで俺たちは別れる予定だったんだが、、、ゲキはシュナさんと離れたくなかった。なのでウォールゲートにある冒険者ギルドに登録することになった。また、ゲキは俺以上に強かった。誰も太刀打ちできないほどに。当時のスレイマン辺境伯の筆頭騎士団団長と試合した時もゲキは圧勝した。それを評価されてゲキはスレイマン辺境伯直属の冒険者という立場を得た。あ、俺はアリアにその時懐かれたのがお義父さんの怒りを買って、しかも昔はヤンチャで色々アリアを連れ回していたから尚更良い印象を持ってもらえなかったので直属にはならなかった。アリアは当時は学園に通っていて休みを用いて友達に会いに行っていた。その帰りに俺達と出会って、学園に戻るまでは俺とよく遊んだもんだ。まあそんな感じで1年ちょっとがすぎた。まあそれで俺は1年でCランク、ゲキはBランクになった。ゲキは真面目で性格も良かったから評価が高かった。街でも評判がよかったよ。ある日ゲキは指名依頼を受けてエルフの里へ向かった。そこで自分の相棒となる刀の前身、世界樹の枝を手に入れて、エルフの錬金術師に刀を作ってもらった。それを手に入れてからより一層ゲキは強くなっていった。そして俺が18歳、ゲキは20歳の時ゲキはSランクになった。そしてゲキは心でずっと決めていたこと、Sランクになったらシュナさんと結婚するって決めていたことを現実にした。2人は結婚した。2人は幸せそうに暮らしていたよ。それで2年後だ、俺が20歳、ゲキが22歳のときシュナさんはお前を授かった。ゲキはシュナさんが無事にユーリを産めるようにと、王都にあるシュナさんの実家に向かった。シュナさんの実家は大手の商会でな、シュナさんのお母さんがアリアの母、、、まあ、お義母さんと学園で同級生だった関係で儒者と主人っていう関係になったんだけど。それで一年経った後くらいで連絡がきた。シュナさんが無事にユーリを産んだこと。産後少し体調を崩したことで連絡が遅れたこと。王都を出発してウォールゲートに向かっていること。俺やアリアはそれを聞いて喜んだよ。それで俺とアリアは門の前で2人、ユーリを迎える為に待っていた。けど予定の時刻になっても現れなかった。そっから数時間待っていたんだ。それは突然のことだった。王都とウォールゲート間の方面で大きな爆発音が響いた。咄嗟に外に出てみてみると、それは領都からは遠かったけどそれでもはっきりと見えるくらいの、大きな火柱が何本も経っていた。そしてその中心にとてつもない存在感を放つ、巨大な何かがいた。それが実際何だったのか俺にはわからなかった。まるで太陽のような、火でできた球体がそこにはあった。ただそれをみて俺は初めて恐怖した。そして嫌な予感がした。俺はすぐに現場に向かった。いつの間にか火の球体だった何かは姿を消していた。俺が現場に向かう途中だった。ユーリを大事に抱えていたシュナさんとゲキがいた。ゲキは下半身を失っていて、シュナさんは腹に大きな風穴を開けていた。シュナさんとゲキは今にも息を引き取りそうな状態だった。ゲキは2人を守りながらあの何かと戦っていたんだ。そしてお前を守り通した。2人は息を引き取る直前に俺に伝えた。お前のことを代わりに育ててほしい、俺たち、私たちはユーリをいつまでも愛していると。。。そしてゲキは俺に刀を渡した。いつかユーリに渡してほしいと。それが2人の最後だった。



「・・・俺はその時誓ったんだ。ゲキ達を殺したあの存在を今度会ったときには絶対に立ち向かう、敵をとるって。ゲキの分も強くなってやるって誓った。それから少し経った後色々あったよ。俺はより一層強さを求めて何十匹ものAランク以上の魔物と戦ったりした。そのときにシュウと出会ったり、帝国が戦争を仕掛けてきて俺が1人で3万人以上の軍を叩き潰した。それがきっかけで俺は勇爵という地位をえた。今の国王がそのときまだ第一王子でな、戦争に従軍していて、俺は顔を何度か合わせる機会があったんだがなかなか馬があってな。彼が俺を支持をしてくれたんだ。勇爵にふさわしいって。まあそれでユーリを引き取った後お前を母親代わりとしてみていたアリアに俺が求婚してこの領地を下賜された。これが全てだ。」


「そんなことがあったなんて、、、」

俺の本当の両親にそんなことがあったなんて・・・

「一応俺は英雄だなんて言われているが、俺にとっての英雄はゲキとシュナさんだった。あのときあの存在と戦えた2人は英雄だ。実際ウォールゲートでは今でもゲキとシュナはみんなに讃えられている。」

「ユーリ、シュナはとても素敵な人だった。私にはときに優しく、ときに厳しく、本当の姉のように私は彼女を慕っていたわ。あなたの両親はとても素晴らしい人たちだった。」

母さんは泣いていた。母さんにとってこれは辛い思い出なんだろうな。

「母さん、父さん、話してくれてありがとう。俺、しれてよかったよ。俺にこんなに素敵な父さんが2人、母さんが2人いるなんて。俺は恵まれていたんだね。」

「そうでずっ!! ぐすっぐすっ お兄様は私のお兄様でず! ばにもかばりまぜん!!ぐすっぐすっ」

アンリが号泣しながら言った。それを聞いて母さんも号泣し出した。

「あ、ああ、ゆうりぃ、、、、あああああ」



俺はそっと母さんとアンリを抱きしめた。


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