勇者VS邪神①
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真っ暗だった入口を抜けるケンヤ。
真っ暗だったのは入口だけで、ケンヤの目の前にはだだっ広い荒野が広がる。
あまりに現実的では無い光景に、転移? それとも別空間? 困惑する。
入った瞬間、真っ暗な入口も消えてしまった。
すると……聞き覚えのある声が!
「ケンヤ! 久しぶりだね〜!」
振り返ると……無邪気に笑うゴブリン……いや、体格はゴブリンだが、肌の色は濃い紺色、頭には角が生え目は血のように赤い。
「やっぱりマモルか……デュポーンになったんだな!」
マモルの顔が華やぎ
「そうなんだ! 凄いだろう、邪神だよ! 邪神!」
楽しそうなマモルにケンヤは
「そっか……なんかマモル、幸せそうじゃん!」
えっ! っと驚くマモル。
「お前、自分で気づいてないだろ? 前はもっとギスギスしてて会話もあまり成り立たなかったからな……今は……うん! 楽しそうだ! 俺もなんか嬉しいよ」
目を細め、まるで身内の幸せを喜ぶ様に語るケンヤにマモルは少し苛立ちを感じる。
「ふん! お前に僕の何が分かるんだ? 確かに今は楽しい、オノクリス達がいるからね! けど……、お前に僕がどれだけ……僕がどれだけ酷い事されて来たか分かる訳ない!!!」
マモルの回りに幾つもの魔法陣が現れ、その魔法陣が更に分裂広がって行く!
ケンヤは辺りを見渡し
「こ、これは……」
マモルがニヤリと笑う。
「驚くのはまだ早いよ!」
広がりきった魔法陣から光が発生、夥しい魔法陣からの光に思わず目を伏せる。
伏せた目を再び開くと……
そこには地面を覆い尽くす程のロードが!!
召喚には2種類の方法がある。
1つは予め魔物と戦いテイムする方法、これはあのイービル・アイに等に用いた方法だ。
もう1つは現存する魔物を無理やり召喚し、支配する方法、悪魔達を召喚した際に用いた方法だ。
前の邪神が魔人を召喚した時に用いた方法もこれに当たる。
では今回のこれは?
後者の方法で召喚をし、これだけの数のゴブリンロードを支配した!?
この数のロードを召喚するのも支配するのも、想像を絶する!
だかそれだけではない!
この世界にこれだけの数のロードは存在しない。
では何故?
マモルの召喚したのはゴブリンだ、そのゴブリンを召喚する際、ロードにまで進化させたのだ!!
正にデュポーンゴブリンが故の能力!
「どう! 凄いでしょ! 前はこの半分も召喚出来なかったからね! それもボブばかりでロードはちょっとだっから。これだけじゃ無いよ! ドンドン召喚していくからね! 違う魔物も召喚するから!」
ケンヤはゴクリと喉を鳴らすと2本の剣を抜く。
その顔には薄ら笑みがこぼれていた。
「へー! 二刀流かあ! カッコイイ!! じゃ行くよ! 皆、かかれーーーー!」
グオーーーー!!!
数万のゴブリンロードの軍勢が雄叫びを上げ、ケンヤに襲いかかる!!
勇者対邪神の戦いが始まった!
ケンヤは両手に持つミスリルソードを振るう! 剣先から衝撃波が発生し、剣の届く範囲以外のロードも次々倒れて行く。
それを見たマモルは
「何なに、それ! すっげぇ!! よーしっ! 僕も!」
マモルはロード達に防御力アップ、攻撃力アップのバフ(能力アップ)魔法をかけて行った。
ロードのステータスがマモルのバフによって跳ね上がる!
だが……
「う、うそだろ……」
数万のバフのかかったロード達はまるでバフなどかかって無い様に次々と倒されて行った。
ケンヤがチラリとマモルを見ると、ニヤっと笑い視線を外すとロードの軍勢に剣を振るう!
一方その様子を見ている悪魔達は……
「な、何! あれ……有り得……無い……」
「おいおい、嘘だろ! 一振で数十、いや、数百単位でロードを倒しているぞ! 魔法も無しで……」
「ただの剣の一振りにこれだけの威力……」
悪魔達は振り返り
「シル様、あの勇者……ホントにただの戦士職なのでしょうか……」
シルはドヤ顔で答える!
「当然!! 宅のケンヤは凄いんざます! それにまだ本気じゃ無いザマスよ!」
まだ本気じゃ無い!!
衝撃を受ける悪魔達!
「確か……雷龍の時とは装備が違うわね……」
トオルとサラが自慢げに応える。
「雷龍さんの時は防御優先で斬魔刀使ってなかったし!」
「だよね、今使ってるのも何時ものミスリルソードに皮の鎧だもん!」
ざ、斬魔刀!?
悪魔達は知らないその武器に困惑する。
トオルは悪魔達にニヤリと笑うと
「僕達も斬魔刀で戦う所はまだ見てないけど、斬魔刀は見せてもらったんだ! あれは凄かった!」
「うんうん! アバロンさんなんか怖くて逃げたしちゃったし!」
「トオル殿! シル様! 敵の前であまり味方の情けない話しは……しないで欲しいでござる……」
情けない顔をするアバロンだが、悪魔達への警戒は怠ってはいない。
悪魔達はその話しに戦慄を覚えるが、マモル様もまだ本気では無い!
再び2人の戦いを見守る。
どんどん数が減るロードにマモルは少し趣向を変える事にする。
「じゃあこんなのはどうかな?」
マモルが召喚しだした魔物は……
5体のネクロマンサーだ!
ネクロマンサー
死者や霊を用いた術を使う者のこと。
死霊使い、屍術師などと訳す事が出来る。
死体をアンデッドに変えて操る姿が知られる。
ソードマジックファンタジーにおいては、魔法も得意な種族で、火、風の魔法に長けており、長距離攻撃を持たない戦士等は、自分の攻撃範囲外から攻撃を受けると、一方的な展開に陥ってしまう。
ただ、懐に入ると防御力は低いので、レベルの高い者なら簡単に倒せる。
だかその懐に入るのは容易ではなく、弾幕の様な魔法の攻撃をしのがなければならず、ケンヤの様な戦士職にとって、凶悪な魔物には変わりない。
マモルが指示を出すと、5体のネクロマンサーが巨大な火の玉を作る!
風魔法と併用し、どんどん大きくなる火の玉!!
「やっちゃえ!!」
マモルの声と共に、直径3メートル程に成長した火の玉がケンヤを襲う!!
「げっ! マジかよ!!」
その巨大な火の玉から逃げる様に避けるケンヤ。
これ……剣で切れるのか? 魔法を剣で切れるか実験しとけば良かった……
後悔するケンヤだが
確かにミスリルって魔法伝導高いって金属だったっけ? 切れないまでも威力を弱める事は出来るかも?
次々に襲って来る火の玉の中心部をワザと避け切りつける。
ケンヤの剣により軌道が変わった火の玉が回りのロード達を襲う!
「「「グガーーーー!!」」」
ロード達に次々に引火し、ケンヤの回りは炎の壁に包まれた!!
「これ……、魔法は防げたけど……結構ヤバくね?」
ケンヤが呟いたその時、左肩に激痛が走る!
炎の壁に気を取られている隙に、ネクロマンサーからの風魔法で肩口を切られていたのだ!
ニヤリと笑うマモル。
只でさえ風魔法は視認しづらい魔法である。
数万のロードに炎の魔法、そこへ来て炎の壁だ! 幾らケンヤでも隙は出来る。
幸い事前にシルがかけた魔法により、それ程深手は負ってはいない。
急ぎポーションを飲むと、片手でロードを屠りながらコンソールを開き、アイテムのある項目をタップする。
それまでに装備していた皮の鎧から黄金に輝く鎧に兜、手甲に足鎧が一瞬で装備された!
光の装備1式を装備したケンヤ!!
全身を覆うその装備を見ただけで、それまで絶え間なく襲って来たロード達は一瞬躊躇してしまった。
その隙にケンヤは剣をネクロマンサーに向け振るう!
なんの真似?
マモルが不思議に思っていると……
ボトっ、ボトっ、ボトっ、ボトっ、ボトっ
5体のネクロマンサーの首が落ちたのだ!!
マモルは驚愕する
「な、なにをしたあ!!!」
ロードを屠りながらチラリとマモルを見ると
「恥ずかしくて言えない……」
少し赤くなり何故かロードに当たり散らすかの様に剣を振るいだした!!
マモルにしてみれば驚愕どころの話しでは無い!!
戦士職のケンヤが遠距離攻撃をしてきたのだ!!
今の攻撃を自分に向けていたら……
マモルの頬を冷や汗が伝う。
その様子を見ている悪魔達とトオル達。
「「「出た! ケンヤ流真空波斬!!」」」
真空波斬!!
悪魔達は驚愕する!!
「な、何! 真空波斬って!! おかしいでしょ!? あの勇者はただの戦士職よね? なんであんな強力な遠距離攻撃が出来るのよ!!」
「異常過ぎる……アレ、ホントに人……か?」
「それにあの装備……雷龍の時は鎧と盾は見たが……まさか全身光属性の防具なのか!」
「そうよ! あの装備よ! しかも一瞬で装備変わったわよ!」
オノクリスの言葉に反応するのはミコトだ。
「敵にこんな事教えるのも変だけど……私達転生者はコンソールのアイテム欄をタップするだけで装備変更可能よ! ゲームでは普通の仕様。最初私もゲームと同じ仕様に驚いたけど……」
ゲーム?
知らない単語に困惑する悪魔達。
ミコトは続ける。
「マモル君も転生者で同じ事出来るけど……種族ゴブリンとヒューマンでは圧倒的に装備出来る装備品の数はヒューマンが上、しかもケンヤさんはゲーム最初期からの古参プレイヤー、まだまだ強力な装備やアイテムを持っているはず!」
ミコトの話しにゴクリと喉をならす悪魔達。
画面上では黄金に輝くケンヤが次々とロードを倒し、マモルもロードにバフをかけながら、次の秘策を出すタイミングを伺っている。
勇者と邪神の戦いにもうすぐ決着がつく。
時話で決着がつくはずです……多分……




