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シルウェストレ

読んで頂いている方々本当に感謝ですm(_ _)m


今までサブタイトルを第一話とかにしてたんですが、なんか味気ないのでタイトルをつけました。

 北の森に入ってからかれこれ数時間、ケンヤは見つけたゴブリンを手当り次第倒していた。


 その数なんと50に手が届きそうな勢いだ!


 20匹ぐらいまでは数えてたが、途中から面倒くさくなって数えるのをやめた。


 最初の5匹までは魔石回収時に吐く……


 6匹目からは我慢出来る様になり、10匹超えた辺りからは流石に慣れた……


 今では鼻歌を歌いながら魔石を回収している。


 今も倒したゴブリンの胸にナイフを刺し、魔石回収作業中である。


「いや〜人間の適応能力って凄いね!」


 ザクザクとナイフで胸を切り裂き魔石を取り出す。


 数を伸ばせたのは20匹ほどの集落を見つけたからだ。


 集落を攻めた時数匹に囲まれたりしたが、ゴブリンに傷を負わされるようなステータスはしていない。


 それに何故か自然と身体が反応し、訓練もしていないのに達人のような剣技を披露していた。


 ゲーム内では高レベルの魔人達とも、剣だけで戦ってきたケンヤだ。現実世界で反映されるとそうなるのであろう。



 回収作業を終え一息つく。


「さてそろそろ帰らないと、その前に何処に川でもないかな?返り血でベタベタだ……」


 ゲームでは気にもしなかったが、血糊ってだけでも気持ち悪いのに、不潔で汚いゴブリンの血だ!


「病気になったりしたら大変だし…」


 って、思っていたら



(こっち……)



 ん? なんか聞こえたような……



(こっちだよ)



 辺りを見渡すが何も見つからない。


 するとケンヤから見て、斜め右方向の木の枝の1部がユサユサ揺れていた。


 ん? 何かいるのか?


 良く目を凝らすが何もみえない。


 しかしその枝の1部から確かになんらかの気配を感じる。



(あっ! そっか! コレじゃあ見えないよね〜、ちょっと待ってて)



 揺れていた枝の上にうっすらと何がが現れる。


 最初は薄く段々と存在感が増していき、とうとうハッキリとその姿を捉えることができた。


 腕を組んで枝の上で「どやっ!」ってケンヤを見下ろす。


 全長は15~20cmぐらい? 黄緑色の髪の毛に人の様な形で、着ているのは髪の毛と同じ黄緑色の膝丈のワンピース、足元も同じ色のブーツ? を履いている。

 その背中には半透明の羽があった。



(フ、フェアリー? 妖精か? そんなんゲームには居なかったぞ!?)


 ケンヤがその存在にフリーズしてると


「なによ! 反応薄いわね! せっかく姿見せたんだから、なにかリアクションしなさいよ!」


 なんかプンスカ怒ってます……


 意思疎通出来る見たいだし、とりあえず話しかけてみよう。


「お前妖精か? 妖精なんて初めてみたからビックリしただけだよ」


 なんて聞いてみたら、なんかさらに顔を赤くして怒りだした。


「よ、妖精ぇ!? あんな羽虫と一緒にしないでよね!! あたしは精霊よ! 森と風のせ、い、れ、い!!」


 精霊ね〜


「ほうほう! 精霊……妖精との違いってなに?」


「ぐっ!」


 あ! 言葉に詰まった……


「と、とにかく妖精なんかよりずっと凄いの! 偉いの! カッコイイの!!」


 ……らしい


「んで、精霊なのは分かったけど俺になんか用?」


「あっ! そうそう、あんた面白すぎだからついて行こうと思って! 良いでしょ? 精霊がついてるなんて自慢出来ちゃうよ! どやっ!」


 どやっ! ってなに?


「ついてくるって……てか何が面白いんだ? 俺ゴブリン狩ってただけだぞ?」


「だってさあ〜、ゲロゲロ〜になってて、その前はズコーって転んでてさあケラケラ」



 …………




 無言でロングソードを抜いて振りかぶる……


(消滅させねば……消滅させねば……消滅させねば……!!)


「ちょ、ちょ、タンマ! タンマ! 剣を収めて! 忘れる! 記憶消去するから、とりあえずその殺気抑えてえ〜」


 おっと……思わず暴走しそうになった……精霊が剣で切れるのかどうかも分からんし一旦落ち着こう。


 ロングソードを鞘に収める。


「ふう〜、何今の殺気! 人間が精霊に恐怖をいだかせるなんて……あんた何者?」


「ただの戦士職の冒険者だよ」


(ただしレベル90だけど)


「ただの戦士? 確かにゴブリンと剣だけで戦ってたね〜 なんかスキル使ってる風でもなかったし……ただ有り得ないくらい強かったけど……」


 ずっと見てたのね……


「なあ、それより水場案内してくれね〜の?」


 話し逸らす意味でも尋ねると


「あ! 忘れてた。てへぺろ」


 てへぺろって……


「よし! 案内してあげる。あたしシルウェストレ! あんたは?」


「ケンヤだ」


「ケンヤね! では水場に向かってレッツラゴー!!」


 レッツラゴー……ちょい引き気味でシルウェストレの後をついて行った。



 シルウェストに案内されてしはらく歩いてると、水の音か聞こえてくる。


「もうすぐだよ!」


 早く早くと手招きする。


 その姿に少し苦笑しながら水の音のする方に向かうと、小さい沢が見えてきた。


 それほど水量は多くないが、身体や装備を洗うには十分だ。


 早速装備を脱ぎ身体を洗う。


 …………



「なに見てんだ…」



 シルウェストレが両手で顔を隠してる……ただ指は全開に開いていた……


「み、見てないし〜! に、人間の男の裸なんて興味ないし〜!」


 なんだかな〜


 精霊って皆こんななの? 神聖なイメージ持ってたけど、実物はそんなもん欠片も感じね〜


 精霊に少し残念な気持ちを抱きなが、身体や装備を吹き終えると、辺りはかなり薄暗くなり始めていた。


「ヤバイ! 早く森をでないと!」


 流石に暗くなってから街に帰るとまた門番に叱られてしまう!


 急いで装備を付け直し、早足に帰路につこうとすると


「ちょっとちょっと! あたしを置いて行く気!?」


 シルウェストレが急いで追いかけてきた。


「お前本気で俺についてくる気なの?」


「当たり前田のクラッカー! 絶対ついて行く!!」


 意味わからん……


「多分ついて来ても、特に面白い事なんて起きね〜ぞ? 俺は冒険者として成り上がろうなんて、これっぽっちも思ってないし、お気楽にこの世界楽しみたいだけだからな!」


 波乱万丈の人生なんて必要ありませぬ! ビシ


「問題ないよ! あたしがケンヤを気に入っただけだから!」


 う〜ん……、精霊連れた戦士……なんか色々厄介事に巻き込まれそうな予感しかしない……


 ここは心を鬼にして…って思っていると


「連れて行ってくんないなら、あんな事やこんな事ピサロの街の人に言いふらしてやる!!」


 うぐっ!!


 こいつ悪い子です……精霊って名の悪魔じゃないかしら……


「それに戦士と風の精霊って相性良いんだよ? 知ってた?」


 知りません……だってソードマジックファンタジーに精霊なんて居なかっし……


「まあそれはおいおい説明するとして、今断られても絶対ついて行くからね!」


 まあね〜、49年間ここまで人? に気に入られた事ないから、戸惑っているけど嫌な気分ではない。


 まあ、ああは言ってるけど、直ぐに俺に飽きて森に帰りそうだし、ここは了解してあげよっか!


「分かった! そこまで言うならついておいで、そんで飽きたらいつでも森に帰っていいからな!」


 折れてやると


「やっふぃ〜!! じゃあ改めてケンヤ宜しくね」


 って手を差し出してくる。


「こちらも宜しくな!」


 少し照れ隠しで苦笑しながら人差し指をだした。


 俺の人差し指をシルウェストレの小さな右手が掴んで握手をする。


 お互いなんか恥ずかしくなって少し顔が赤い。



「あっ、やっべっ! 早く帰らないと! シルウェストレ急いで街に帰るぞ!」


「了解!」


 ケンヤとシルウェストレは急ぎ足でピサロに向う。



 暗くなりかけてる森の中、ズドンと言う音の後にケラケラと笑い声が響く。




 ケンヤとシルウェストレ、今後長きに渡り相棒となる2人の出会いであった。






ケンヤに相棒を付けたくて、シルウェストレ登場させてみました。


ご意見等書いて頂ければ嬉しいです。

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