呪われた雷龍①
ブクマ&コメントありがとうございますm(_ _)m
今回も投稿遅れて申し訳ございません。
魔族領北北東の極寒の地にあるダンジョンを目指すケンヤ達。
「これ北に向かってるんだよな? なんか全然寒くないんだが……」
ケンヤが不思議に思い呟くと、ケンヤの膝の間に座るミコトも振り向き
「ですよね? 私も不思議です。最初ケンヤさんにくっ付いているから暖かいのかと思ってたけど……それだけじゃないみたい」
「ああ、俺もミコトの体温で暖かいと思っていたけど……」
お互いに大分慣れて来たのか、イチャつきだすケンヤとミコト……
それを生暖かい目で眺めるトオル、サラ、アバロン……
「ケンヤさん……なんか吹っ切れたみたいだな……」
「だね……あれもう普通に後ろからミコトさんを抱きしめてるし、ミコトさんはミコトさんで回されてる腕に手を添えちゃってる……お兄ちゃん、これ報告したら荒れるかも……」
「だな……」
ピサロの某メンバー達が荒れ狂う姿を想像し、今目の前の出来事を報告するか悩むトオルとサラ……
2人がそんな事を心配していると
「あら! 寒くないのはシルちゃんのおかげよ!」
「そっ! あたしのおかげ! あたし偉い! ビシっ」
シルのおかげ?
ケンヤが問うと
「あらやだ! パートナーのケンヤちゃんがわからないの? よっぽど魔王ちゃんと……ブツブツブツブツ……」
な、何かしら……
キョドるケンヤとミコト……
「身体の回りに薄ら空気の膜が出来ているのに気付かない?」
空気の膜?
ケンヤ達は自分の身体の回りを確認すると……
「ほ、ホントだ! 全然気が付かなかった!」
トオルが目を丸くする。
「ふふふ! このシル姉さんのさり気ない優しさ! ビシっ」
「おお!! パチパチパチ」
トオルとサラがシルを拍手で讃える。
確かに凄い!
「シルは風の精霊だったな! こんな事も出来るのか!」
素直にシルを讃えるケンヤ。
「シルちゃん凄いのよ! 格で言ったら私達神龍より上だからね!」
ま、マジ!!
びっくりぽんです。
「今から会う雷ちゃんなんてシルちゃんのパパの弟子だし!」
「「「弟子!!!」」」
色々と衝撃の事実が……
「シルちゃんのパパはそれは厳しくてね〜……良く雷ちゃん泣いてたわ……、それをシルちゃんが慰めてたの! 雷ちゃんもシルちゃんを慕ってたわ〜」
…………精霊に泣かされる神龍……
中々にシュールな絵だな……
エッヘンと腰に手をやり胸を張るシル。
「なあシル……この際お前に何が出来るのか教えろよ、知らないとこれからの戦いに困るだろ?」
今まではそれ程シルの助けは必要無かったが、これからは必要になるかもしれない。
戦力の把握は重要だ!
シルは人差し指を顎に当て
「ん〜とね〜、どちらかって言うと防御系が得意かな? 前に使った結界とか! 後治癒も出来るよ」
ち、治癒!!
「治癒って……ヒールとか?」
ケンヤが驚き尋ねると
「ん〜、あたし達精霊はね、人族みたく魔法の詠唱とか必要ないのよ。だからそれがヒール? てのと同じか分かんないけど、腕とか足ぐらいならちぎれてもニョキニョキ再生出来る! ビシっ」
ニョキニョキって……
表現は酷いが……最上級の治癒魔法並の事が出来る訳か……それって凄くね!
「ふむ! シル殿が治療を出来るとなると……このパーティは理想メンバーが揃っているでござるな! 物理攻撃特化のケンヤ殿とスピード特化のトオル殿、魔法職のサラ様と魔王であるミコト殿、物理と魔法のバランス型の私アバロン、そして防御と治療の出来るシル殿、このメンバーだと……邪神がどれ程強かろうと負ける要素がないでござる!」
アバロンはそう言うが……
「そんな簡単にいくかな……」
トオルが呟く……
皆がシンとなる中、ケンヤのお気楽気質が炸裂する。
「このメンバーで勝てない相手だともう人族は詰みだし、難しく考えても仕方なくね? 邪神と戦ってみてダメなら一目散に逃げる! そんで勝てる様になるまで鍛えて再度挑戦すればいいと思う。幸いシルが治療出来るから、シルさえ無事なら皆の怪我は治せるんだしな!」
ケンヤの言葉に皆肩の力が抜けた気がした。
「逃げる際はわたしに任せて! 私の必殺『ダイヤモンドダスト』は目眩しにも使えるから!」
フロストドラゴンがケンヤの発言に乗っかる。
「フッ」
…………
トオルが小さく手を上げ
「あの……光龍さんが、逃げる事前提って! とツッコンでます……」
い、いや……光龍さん……通訳必要なツッコミって……
皆がトオルに冷たい視線を送る。
「ほ、ほら! お前のせいでまた俺が変に思われたじゃないか!!」
「フッ」
…………
脱力するトオル……
と、トオル君……頑張れ……
かなりの距離を飛行し、雷龍の居るダンジョンまで後少しの所でフロストドラゴンは急ブレーキをかけた!!
突然の事で皆前のめりになり、ケンヤのミコトを抱きしめる腕に力が入る。
「ミコト大丈夫か!」
「うん、大丈夫です。ケンヤさんがしっかり抱きしめてくれてるから……」
ケンヤを振り替えりほんのり紅色した笑顔で応えるミコト。
ミコトになんとも甘い笑顔を向けるケンヤ……
アバロンに押しつぶされながら、その様子を溜息をつき眺めるトオルとサラ……
フロストドラゴンの背の上で平和な空気が流れているが……
「ちょっと! イチャついている場合じゃないわよ!! 雷ちゃん!? こ、この気配……悪魔!!」
皆フロストドラゴンが何を驚いているのか理解出来ない……
「雷ちゃん……呪われちゃった見たいね……」
呪い?
「なんで悪魔が……彼らの敵は………………ブツブツ」
ブツブツ自分の世界に入り出すフロストドラゴン……
「おいおい、ちゃんと説明しろよ! 何が起こってるんだ?」
ケンヤが呆れてフロストドラゴンに問うと
「あ……ごめんなさい! けど……」
フロストドラゴンはチラリとシルを見る。
シルは視線を受け珍しく真顔に……
「あの子達が何を考えているのか分かんないけど……、ケンヤ……ごめん! まだ今は言えないの……」
あの子達? まるで知り合いの様な言い方だな……
シルの目をじっと見つめるケンヤ。
申し訳けなさそうにケンヤの目を見るシル……
シルとの視線を外すと溜息をつき
「分かったよ! まだって事はその内話してくれるんだろ?」
ケンヤの言葉にシルの表情がパッと華やいだ!
「うん! ちゃんと話す! さっすがケンヤ! オットコマエだね〜」
何時ものシルに戻り、ケンヤも笑顔になる。
すると……
「ケンヤさんとシルちゃんの信頼関係って……凄いんですね……」
ミコトがボソッと呟く。
それを聞いたトオル、サラ、アバロンは
(((こ、この状況で嫉妬!! 魔王が精霊に嫉妬!!)))
ケンヤはケンヤで
「信頼関係……まあこの世界に来て最初に出来た相棒だからな!」
(((み、ミコトさんの嫉妬に気が付いてない!!)))
天然な魔王に超鈍感な勇者……
このカップル大丈夫…………か?
3人が心配していると……
「ちょっと! 遊んでないで雷ちゃんをどうにかしなきゃ! とりあえず向かうわよ!!」
そう言ってスピードを上げるフロストドラゴン。
ケンヤ達パーティ、神龍、邪神、悪魔、フロストドラゴンにシルが隠す謎……
それぞれの思惑が交差し始める。
ケンヤ達パーティ面々、不安はあるが口には出さない。
ケンヤと一緒なら何が起こっても大丈夫だと思えるから……
ケンヤとミコトがイチャツキダシタ……
実年齢49と15……
け、決して作者の願望ではありません!
決して……




